近ごろヨコモで流行るもの・・・

北澤 秀朗の
WORKS流行通信

<その1:あなたはタイヤに何を塗る?>

(98年12月11日号、325部発行)

(編集長より)
みなさんこんにちは。寒くなってきましたね。
今年からヨコモワークスで大暴れ中のひでろーこと北澤秀朗(ひでお)がお贈りする 超EXPティップスのシリーズを始めました。
HPでも本編とは別のコラムとして展開していきますので、どうぞよろしく。

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このごろのツーリングカーブームがすごくて、皆さん色々なセッティングの工夫を してきています。中にはツーリングカーのゴムタイヤに何かを塗布しているところを 見た人もいるのではないでしょうか、そういうことで今回はこのゴムタイヤに塗る 「いかがわしいもの」について(これが流行なのか分かりませんが、一応 マイブームという事にしておいてください)話していきます。

まず、皆がゴムタイヤに塗っているものは、大きく分けて
(1)クリーナー
(2)グリップ剤
(3)潤滑剤
の3種類に分けられます。
何でこんなものを塗るかと疑問に思う人もいるかもしれません。
それには理由があって、主にタイヤのグリップを上げているのです。

まずクリーナーですが、これには様々な種類があり、コースの路面状態やタイヤの 種類によって色々なクリーナーを使い分けます。僕は普段ツーリングカーを谷田部 アリーナで走らせているので、ここで話すことは谷田部以外では通用しないかも しれませんので注意してくださいね。

クリーナーはヨコモのクリーナー、クロスのクリーナー、ワコーのクリーナー、田宮、 HPIのクリーナー、KUREのブレーキクリーナーを使っています。それぞれクリーナー の特性が違っていて、用途も違います。下に簡単ではありますがまとめてみました。

(ヨコモ)
タイヤに塗ると表面が脱脂されてグリップが上がる。しかし、タイヤがとても乾燥する 為、ホコリの浮いた路面などでは逆効果。湿気があるコースで威力発揮。

(クロス)
タイヤに塗ると表面が脱脂されてグリップが上がる。リヤより少しだけフロントタイヤ の方がグリップするために、後半のタイヤの熱ダレを引き起こす可能性がある。 タイヤが温まるまでアンダーステアが出る車に適す。(タイヤの熱ダレとは、リヤ タイヤがだんだん滑ってきて、オーバーステアになることを言う)

(ワコー)
タイヤに塗ると表面が溶けてベテベタになり、グリップが上がる。タイヤはあまり乾燥 しないので、ホコリに強い。最後まで安定したグリップが得られる。しかし、タイヤを いためる危険性あり。

(田宮、HPI)
この2つは、ほぼ同じ物と考えてよい。アルコールが主成分で、他のクリーナーより は刺激が少ない。タイヤに塗るとグリップが上がる。オイル路面で特に威力発揮。 タイヤ以外でもボディーをいためずに汚れが拭き取れる。また、スポンジタイヤに ついたグリップ剤を拭き取る時にも使う。

(KURE)
タイヤに塗ると表面が溶けてグリップが上がる。ワコーよりも塗ったあとでタイヤが 乾燥するので、湿気のある時に有利。寒い日などはあまり効果が期待できない。

次にグリップ剤ですが、一般的にスポンジタイヤに塗るものをゴムタイヤに塗る わけです。これを塗ると、クリーナーを塗ったときよりもグリップの持続があり、最後 まで安定したグリップが得られます。しかし、タイヤの減りが早く、タイヤの表面が ボロボロになって、熱だれを起こす原因にもなりかねないので注意が必要です。

一般的にグリップ剤を塗る時間なんですが、だいたい10分程度です。時間が 長いほど、さっき言った問題が出やすくなり、短ければ効果があまり期待できま せん。色々とやってみてください。今僕が使っているのは、パラゴンの黒缶と白缶、 川田のTQ8などです。それぞれ特性が若干違うので、実際やってみるといいで しょう。僕のやった感じだと、グリップ感は高い方から黒、川田、白缶の順に上がって行きます。
(編集長解説:もともとパラゴン白缶は持続力重視に振ってあるので、当然の帰結) でも参考までにとどめてください。

最後に潤滑剤です。なんでこんなものを塗ってグリップが上がるんだと思われる かもしれませんが、それが上がる場合があるのです。主にからからに乾燥して いる路面とか、556などの潤滑剤を少量タイヤに塗ると、グリップが上がるうえ、 車がコロガルような感じになります。しかし、この潤滑剤はどこでも通用する物では なく、ごく限られた条件のときにだけ威力を発揮します。塗ってかえって逆効果 だった場合もありますので、特に注意してください。

これら3つを最後にまとめてみると、

クリーナー 主に前半のタイヤのグリップを上げる。(1、2周目)
グリップ剤 主に全域のグリップを上げる。(5分間)
潤滑剤 前半から中盤までのグリップを上げる場合がある。その際にコーナーリングスピードも上がる。

こんな感じです。

重ねて言いますが、車やタイヤ、コース環境、路面の状態、気温、湿度その他あら ゆる条件で変わります。また、クリーナーとグリップ剤を両方使えば2つの特性を 合わせることが出来ます。まあとにかく色々やってみてください。あと、この技を やる前に、何も塗っていない普通のタイヤできちんとセットをとらないとダメです。 走らない車が、クリーナーを塗って走るようになるほど、甘くはありません。 セッティングの最後の最後だと思ってください。

(RC Car Trendよりお願い)
以上のノウハウはあくまでJMRCAなど、グリップ剤の使用が許可されている レースやサーキットでのみ利用してください。渋谷トップサーキットはグリップ剤 使用不可です!(路面が溶けてしまいます) 塗ったら猛烈にクサくなる (パラゴンなら、塗ったら最後、死ぬまでニオイは消えないと思ってください)ので、 すぐバレてしまいます。あらぬ疑いをかけられないためにもご注意を!

ただ、タミヤレースなどでも、クリーナーのように揮発性のものなら、塗っても 咎められることはありません。どうせタイヤに残らないんですから。

以上の点を十分に踏まえて、フェアなレースを楽しみましょう!



このページは、タミヤRCカー専門サイト「RC_Car_Trend」が提供しています