posted on Aug 16, 1998
updated on Oct 12, 2000


シャシー研究室スペシャル

M−03セッティング・メモ

さて、そんなわけで おもむろに走り出したM-03ですが、案の定、走ってみなければ分からないことがいろいろ出てきました。 このコーナーでは、日を追って順に出てきた問題点と、その解決策をメモしていきます。

まずは、タイヤ。

まず、避けて通れないのはタイヤ・セッティング。
慣れれば、走りはじめの5分で解決するレベルのお話ですが・・・。

さて、タイヤ・セッティングの基本はリヤのグリップを確保すること。
リヤがグリップすればそれだけフロントのグリップ限界を上げることができるからですね、ハイ。
というわけで、リヤは問答無用でファイバーモールドA。それも、荷重が限りなくゼロに近いですから、 インナースポンジは生*用品よろしく「つけてる感じがしない!」みたいなのがよろしい。 極端な話、ノーマルのインナースポンジでもいいくらいです。とにかくソフトにしましょう。 同じAコンパウンドでも、新品よりも中古のほうがさらに柔らかくなりますから、レースには当然、中古を使いたいですね。 パーティングライン(トレッド中央の合わせ目)が残っているド新品も可ですが、こちらは、 接着不良とかパーティングラインの減りによる特性変化がありますから、気をつけてください。

次に、フロントですが、こちらはある程度、硬くないといけない。モーターとバッテリーとサーボの荷重を受けながら、 さらにステアによる横Gも受けるわけですから、腰が砕けるようなインナーはペケ。・・・かと言って、あまり硬いと、 タイヤが片べりしてしまいますし、グリップが落ちますから、ほどほどの所を探っていくわけです。

・・・などといっても、所詮、タミヤ製品の組み合わせには限度があります。タイヤはせいぜい、 SグリップラジアルとファイバーモールドAの2種類。インナーは、モールド(黒・青)、 インナーフォーム(以上はいずれもツーリング用ですから、適当にカットしてサイズ合わせをします)、 それにリヤ用の60Dインナースポンジ程度ですから、最大限でも7、8通りの 組み合わせに過ぎません。最近は、タミヤの純正インナーが充実してきたので、 あえて他社製を使う必要はなくなっています。

・・・え、Mグリップやらノーマルはどうだかって?? グリップが低いということは、 それだけコーナーでアウトに膨らんでタイムダウンするってことですよ! レースに出るには、まず前後ともAグリップが使えるようにクルマを仕上げましょう。 Sグリップは、どうしてもしょうがない時に。その他のタイヤのことは忘れた方がいいです。

以上が、基本的な考え方ですが、では実際に私はどうしているかというと、現在は
フロント:ファイバーモールドA+ツーリングカー用モールドインナー・ソフト(青)
リヤ:ファイバーモールドAの補強布を剥いだもの+60Dノーマルインナースポンジ
を使っています。
ただ、この仕様でギヤデフを使うと、人によってはコーナーの入りがシビア過ぎるかも知れません。 そんな場合はボールデフを使うか、フロントのインナーをモールドインナー黒(ハード)にすると良いでしょう。

また、お遊び用としては、
フロント:Sグリップラジアル+(ツーリングカー用)インナーフォーム
リヤ:ファイバーモールドA+インナーフォーム
というのも結構イケますよ。

なお、ツーリングカー用のモールドインナーを使う場合、自分で適当にカットして幅と径を60Dサイズに 合わせておくことは言うまでもありません。

インナーフォームを使う場合も、(1)ホイール中央部の底に2mm程度のフォームラバーか両面テープを敷いて 底上げすることと、(2)インナーフォームの端を2mm程度切り落として幅を詰め、さらに サイドウォールに当たる角を斜めにカットして、タイヤ内圧が均等になるよう台形に整えておきましょう。 インナーがきちんとタイヤの内側に充満するようにしてやらないと、特にファイバーモールドの場合、 タイヤの形がしっかり決まっているだけに、かえってインナーの特性が表れにくくなっていますので。

本当は、前後同じタイヤを使いたいのですが、フロントのバネを柔らかくしてアンダーを出すとか、そういった ごまかしは避けたいので、そうすると、現状のRCメカの積み方ではどうも無理っぽいですね。受信機とアンプをもっと シャシー後端に寄せて、重量配分をリヤ寄りにする必要があります。リヤをもっとグリップさせれば、 フロントのインナーをもっと柔らかくできる、というわけです。極端な話、リヤの端に重りを積んでもいいくらい (ただし、そうなってくるとリヤダンパースプリングは黄色に変更ですね、きっと)。
ただ、そうするとせっかくのアンプとモーターの 配線が距離が伸びてしまい、電気抵抗が増えてしまいます。コースによっては、トップスピードが犠牲になるかも知れません。 電源コード自体の電気抵抗って意外に大きくて、たった10cmでもアンプ本体やタミヤバッテリーのコネクターの 抵抗並みになりますから、なるべく短くしたいのです。悩ましいですね。

やっぱり、ダンパーもちゃんとしなきゃ。

さて、あれこれタイヤについて語りましたが、次に重要なのがダンパー。せっかくソフトなタイヤでも、 ダンパーが固くては台無しです。オプションのスーパーローフリクション・ダンパーを使っている 方は、特に注意すべきでしょう。そのまま組んでしまうと、Oリングの締め付けがきつ過ぎて、 動きが渋いからです。

この解決法としては、Oリングを1コに減らす方法が有効です。問題は、どうやって1コ減らすか。 これまでに、OVAから出ているスペーサーを使う方法が知られていますが、同パーツは品薄で、 しかも純正パーツしか使いたくない私は考えました。・・・非常に単純なのですが、 いつも捨てている黒パーツ(Oリングケースのシール用に使っているアレ)を入れればよいのです。 これだと、ちょっとOリングより厚みが少ないので、私はテフロン製シール用パーツを上下逆さにして つじつまを合わせました。ノーマルのピストンの周辺を適当に切り落としたものでも使えますが、 こちらはほんの少し厚いので、上述の方法より動きは渋めになります。

(6/27/99update)TakeOff製の3mmアルミワッシャー(各種カラーあり)が入手も比較的容易で サイズもバッチリ。価格も実売320円程度と手ごろで、現状ではこれを使うのがベストでしょう。
また、Oリングですが、これは本来、ノーマル(朱色)で・・・と言いたいところなのですが、 いかんせんサードパーティーから出ているシリコン製の柔らかいもののほうがオイルシール性が 高いので、ユーザー個人の考え方によっては、そちらを使うのもやむを得ないところでしょう (ただ、EXPの間ではシリコンOリングの使用は既に「お約束」なので、逆の意味でイコールコンディション化しており、 これまで、レースでも特に問題にはなったことはありませんが・・・)。

ともあれ、以上のモディファイを施すと、スーパーローフリはようやく本来の力を発揮してくれます。 赤スプリングとの組み合わせで、驚くほどしなやかなリヤサスに仕上がること、請け合いです。
おっと、リヤサスは、地面に置いた時、5mmくらいは沈むようにしときましょうね。 伸び側設定がゼロでは、TOPのようなバンピーな路面では厳しいものがあります。
(6/27/99解説)跳ね上がった時に「足」がついてこなくなるのが問題なのです。ただし、あまり リバウンドのストロークが多すぎると、加減速でギクシャクしたり、バネ受け脱落などトラブルの 元になりやすいので、ほどほどに。

やれやれ、やっぱり・・・

さて、ここからいよいよ本番。トラブル集のはじまりです。まずは、この写真。
ものの見事に溶けてます。もちろん、「熱」のため。どうもネジ穴が緩みやすいなー、 とは思っていたのです。まさか、マウントが溶けてモーターカンが沈み込み、 ネジ穴がつぶれていたとは・・・。 おいおい、なんて粗悪なマテリアル使ってんだよー! コスト削減もいいかげんにして! タミヤの樹脂製モーターマウントの歴史は80年代初めのF-2以来、もう十数年になるけど、「溶けた」なんてのは今まで一度もなかった。 最初にモノを手にした時、懸念はしていましたが、一発でこうも見事に溶けてくれると、あきれてモノも言えません。
早く強化フレーム出してくれえぇぇ。(6/27/99update)う〜、まだ出ない。いい加減にしろ〜!!

熱溶融の一因は、私が必要以上にギヤ比を上げてしまっていたせいもあるのでしょうね。 18Tを使っていたのですが、後日、16TにしてもF1とどっこいどっこいのトップスピードを出していたところをみると、 当初のギヤ設定が高すぎたみたいですね(モーターはいずれも4コマ進角付きのMチューン)。 どっちみちタイヤが空転して立ち上がらないのだったら、ギヤは高い方がよろしい・・・ということで 上げ気味にしていたのでしたが、「Mチューンではムリするな」ということか・・・。
(6/27/99update)最近のレースでは、高速レイアウトの場合、ダイナランストックで20Tということも ありますので、「必要以上に高い」というわけではなかったかも。 熱容量の小さいMチューンならではのトラブル、と考えたほうがよさそうです。

スーパーローフリかスーパーミニか、それが問題だ。

答えは「CVAスーパーミニにスーパーローフリのバネ受けパーツ」です。


え、何のことかって?
M-03ユーザーの共通の悩み:「どうやって車高を下げるか?」への究極の回答です。 リヤはフロントよりダンパー長が2mm長いため、「Oリング5個入れ」ですんなり決まりですが、 問題はフロント。単純にスーパーローフリを入れただけでは、シリンダーが長すぎて 縮み側のストロークが足りない(ほとんどストロークがなくなってしまう)のです。 では、スーパーミニ使えばいいじゃん!・・・というのは誰でも考えるので、私も やってみたところ、あれれ?・・・逆に車高が高くなったみたい。

タネ明かしはこの写真。いずれも、バネ受けパーツが入る(ダンパーが組める) ギリギリのところまでスペーサーを組み込んだものですが、ちょうどOリング 1個分程度、スーパーローフリの方が全長が短いですよね。でも、 てっぺんからシリンダー下端まではCVAスーパーミニのほうが、 これまたOリング1個分程度短い。・・・ということは?

そうです。バネ受けの厚みが違う!

そこで、CVAスーパーミニにローフリ用バネ受けを使えば、フロントの車高を 十分に下げながら、縮み側のストロークを1〜2mm増やすことができるわけ。 やってみる価値は十二分にあるモディファイですよ、いかが?
現行のタミヤGP規定でも特に禁止されているわけではありません(私しゃどーせ出場できんので関係ないけど)。

以後のセッティング変更履歴

(8月中)
・フロントにツーリングカー用モールドインナー黒(ハード)を入れたファイバーモールドAタイヤをテスト。現在はこれがベスト。
・とりあえずモーターを熱容量の大きいスポーツチューンに換装し、さらにオプションのヒートシンクも装着。 連続走行も避けるようにしたので、フレーム溶解に至ることはなくなったようです。
フロントのみにオプションのスタビ・ハードタイプ(銀色)を装着。 レイアウトはタイトですが、目立った干渉はなく動作はきっちり出ているので好感。 ちなみにFFの場合、リヤにスタビ付けてもほとんど意味ない (コーナーのターンインでは、荷重がかかるフロントを中心にロールするため。リヤ駆動車でリヤにスタビ付けるのと同じ理由ですね) し、重くなるだけなのでやめたほうがいいです、というのが私の持論。
・KOの小型FM受信機(KR-297FZ)を購入、リヤフレームの内部の出っ張りを削り落とした上で、 フロントフレームとの接合部の空間に受信機を埋め込み、重量バランス(前後、左右)を改善。

(9/15/98追加)
・ようやくフレームを新品に交換しました。今度は溶かさないぞー。
・オプションのトーイン付き強化リヤハブを組み込みました。これでアンダーが強まるので、 Fタイヤのグリップをさらに上げてトラクションを稼ぐことができます。 願わくばフロントにもモールドインナー青(ソフト)またはインナーフォームを入れたファイバーモールドAを使いたいのですが。
・リヤハブと同時に発売されたバッテリーのクイックチェンジャーは、取りあえず買いましたが不採用。重くなるだけなので。
・フレーム交換時に念のためギヤデフを開けてびっくり。ベベルギヤのシャフトがガタが出るほど擦り減って ハウジング内にアルミ粉がびっとり。結構、減るもんだ(空回りが激しい?)。 とりあえずクリーニングと注油だけで済ませ、交換は次回に。
・フレーム交換時に、STサーボ用コードの取り回し用に開けていたフレームの穴開け位置を変更し、コードの取り回しを改善しました。

(2/21/99追加)
今日はトップサーキットでナイトレースでした。これまで、ナイトレースは雨で流れたり、都合がつかずということでまったく参加できなかったのですが、 ようやく実戦に登場することができました。当日は気温が5〜6℃と極めて低温だったため、直前の練習走行で、当初フロントタイヤに予定していた、 ファイバーモールドA+モールドインナー・ソフト(幅カット済み)を Sグリップ+ハードスポンジ(テムズ製)に変更した以外は、リヤタイヤは標準セットの ファイバーモールドA+タミヤ・インナーフォーム(幅はカットして調整)を使い、その他のセッティングも 上記の状態のままでレースに臨みました。考えてみれば、Fタイヤのみ交換しただけのぶっつけ本番で5ヶ月ぶりに走らせた(しかもダイナランストックで!)わけですが、 レースレビューのとおり、自分としては十分満足のいく結果を残すことができ、ますますもってこのページの内容に自身を深めています。

あえてプラスアルファの改良を施すとすれば、デフをボールデフに変更してコーナー脱出速度の改善を図る(できるかどうかはコース状況による)とか、 サーボをミニサーボ(フタバS9602やサンワSRM-141HRなど)に交換して重心を落とすことくらいでしょう。 しかしこの変更は、前後の重量バランスやステアリングのレスポンス(FFですから)に影響するので、注意が必要です。 当方でも、今後機会をみてテストしてみたいと思います。

(5/20/99追加)
今日は再びトップサーキットでナイトレースです。今回は極めて高速なレイアウトなため、特にハイサイド対策を強化する必要があり、 サーボを軽量なサンワSRM-141HRに換装しました(写真は2000年10月の黒シャーシ換装後ですが、取り付け方法は当時のままです。なお、 サーボとアンプの間に納まっている緑色のものは、あのストレート社製「パンチ君」のハダカの姿です<被覆が重い!>)。 さらに、アルミスペーサーを噛ませて、サーボ取り付け位置を5mm程度下げています。
何といっても、ステアリングサーボは最も高い場所に位置する重量物ですからね。 ステアリングのトルクは細りましたが、操舵感が鈍るようなことはありませんでした。 予選中、タイムが伸び悩んだのですが、これはダブルエントリーにつきメンテの時間がなくてピニオンを 19Tで通したため。カレントリミッタも65%程度に設定しておきました。 カレントリミッタは、あんまり頻繁に作動すると燃費の悪化につながる場合がありますから、 あくまでも1周のなかで、1〜2ヶ所程度で作動するようなギリギリの所でセットするのがキモです。念のため。

なお、ピニオンについては、他の人々は20Tを使っていたようで、速いは速かったのですが、 決勝ではこれが燃費に響き、足をすくわれるドライバーも出てきました。さすがに40周じゃね〜。 モーターはほとんどの参加者がダイナランストックでしたから。 当日は、タイヤが冷えるとオーバーステア気味になった ので、予選1回目は大事をとってフロントにSグリップ+インナースポンジ・ハードで走りましたが、、 トラクション不足がひと目でわかるくらいひどかったので、2回目はタイヤウォーマーをしっかりかけた ファイバーモールドA+モールドインナー黒に換装したうえで、3分間の予選タイムの最初の1分を タイヤのウォームアップにあててタイムアタック。それでもギヤ比が低かったせいか、5位に甘んじてしまいました。 実はこの予選中にキングピンが脱落していた(理由はM04を組んでいるときにようやく判明しました・・・段付きビス長の違い) のですが、これを発見したのが決勝開始直前で、またバタバタ・・・。結果は優勝でしたが、スピード的には20Tの他車に明らかに劣っていました。 また、暖かくなってグリップも上がってきたので、ボールデフのほうがいいかも、という気がしました。

(10/12/2000)
一応、ローカルレースでの勝利という「示し」もついたので、しばらくほったらかしになっていました(笑)。 全国のMシャーシファンの皆さん、ごめんなさい!
気を取り直して、またM−03に取り組みはじめました。・・・というのも、念願の「黒シャーシ」が 「限定」という形ながら、トヨタBbのアフターサービス用パーツという形で入手可能になったためです! (ノーマルは850円ですがこちらは1000円です、念のため)
嬉しかったので、Bbが出た瞬間に早速3セットもアフターにオーダーしちゃいました。

もとに戻る
99年2月21日ナイトレース・レビューへ



このページは、タミヤRCカー専門サイト「RC_Car_Trend」が提供しています