(posted on Aug 28, 2006)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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F103GT・RCTチューン(3)





メカ積み話ついでに、受信機とアンプの解説も。

受信機については、90年代前半のF-1全盛時代からの「慣習」で、ケースを外し、KOが販売しているバッテリーパック用の 黒い熱収縮チューブでパックしてます。10年前と比べると、受信機のサイズも2/3くらいに小型化しましたから、 軽量化の効果は薄れていますが、それでも3〜5gくらいの軽量化はできます。 ビスをチタン化に比べれば、今でもコストパフォーマンスの高い軽量化です。 やらないテはありません。受信機が薄く小さくなれば、レイアウトの自由度もさらに増しますし。 ケースが防磁仕様であれば話は別ですが、今回のKR-301Fも含め、一般的なRC受信機のケースには、 特に電磁シールドの機能はないですし、防水性や防塵性が特に高いわけでもありません。ワークスでもなければ、 メーカー純正のケースにコダわる必要はないでしょう。
パッキングの方法は、慣れれば非常に簡単です。
受信機を包める適当な大きさに収縮チューブを切りますが、それをそのまま受信機に被せるのではなく、 「チューブを切り裂いていったん板状に戻し、箱型に組み直す」のがキモです。余分な部分を切り捨て、 受信機の基板の形に合わせて、ピッタリと箱型に包むんです。包む際の貼り合わせには 瞬間接着剤を使います。張り合わせると適当に塗り広がるので、「点付け」でOK。包み終わったら先にドライヤーで 収縮させてしまいます。そして最後に、コネクターとクリスタルの部分をカッターで切り欠いてやれば、完成です。 写真では都合により全部切り欠いてますが、電源や3ch目のコネクターの部分のカバーは 切らないで残しておいてやれば、防塵性もアップします。
作例では、アンプはKO・VFS-2をチョイス。カツカツ狙いならVFS-1でしょうが、VFS-2でも性能的には十分過ぎるので、 将来のパフォーマンスアップの「伸びしろ」として保留しました。今年(06年)については タミグラ世界戦の代表権がかかっているカテゴリーじゃないですしね・・・。

VFS-1と2との違いは、もっぱらFETの性能(特にON抵抗)です。制御ステップ数や FETのスイッチング(PWM制御)周波数の設定幅など、過渡特性の調整や使い勝手に関わる部分はまったくと言っていいほど同じ。 そのFETの差にしても、VFS-2のスペックは、つい2年前まで最高峰モデルだったVFS-2000と同等とされています (FET個数はVFS-2のほうが少ないですが)。一般のスポーツ走行には十分です。 ならば、他の部分で他の人がやらないような工夫をすれば、VFS-1に迫るパフォーマンスを十分得られるだろう、 と考えました。
その結果がこのアンプ搭載位置。アンプ内部抵抗が小さくても、モーターコードが長くなってしまえば パワーソース全体としてのトータルな抵抗レベルは変わらなくなってしまう点に着目しました。 従来、F1系シャシーやバッテリーヨコ積みタイプのツーリングカーなどへのアンプ搭載は、 「メインシャシーからバッテリーをまたいでモーターヘ」というレイアウトが常識でした。 アンプは重量物であり、アッパーデッキに搭載するのはナンセンスでしたし、第一、そのような スペースを見つけるのはF1シャシーでは困難だったからです。しかし、アンプ重量が20gを切るまで小型軽量化した今、 レイアウトの自由度は増しています。アッパーデッキに載るなら、載せればいいじゃないかと。 重心位置は若干上がりますが、ボディのことを考えれば、無視できる程度の影響しかありません。 今回については、通常の軽量ボディよりさらに25g軽い軽量360モデナを選ぶことで、重心の問題も帳消しです。
確かに、VFS1/2クラスのアンプでも、現状ではまだ搭載には苦しい部分はあります。特に、 フリクションプレートの作動に伴うアンプ筐体との干渉は一番の問題です。

バッテリーの装着方法をキット標準どおりにバッテリーホルダー止めにしてしまえば、 もっとアンプ搭載位置を外側に寄せれば解決するのですが、話はそう単純ではありません。 作例では、見た目に加えて軽量化とバッテリーホルダーの路面との干渉回避を優先し、グラステープ 止め仕様に変更しています。グラステープ止めはやや面倒ですが、このほうが 絶対に良く走ることは、F1時代に十分経験してきたことです。レースを走るならグラステープ止めは必須。 そうすると、グラステープを通す部分を確保しておかなければなりません。
そこで、アンプ筐体をややセンター寄りにレイアウトしながら、ダンパーやフリクションプレートとの干渉を 避ける方策として、最初に試したのが、左写真の「フリクションダンパーポストへのスペーサー追加」。 ロール方向の動作量を規制することで、アンプ筐体との干渉を避けよう、というわけです。 写真はOリングですが、このほか、アソシの1/12シャシーに付属しているような形状のスペーサーを キット標準のポリカ製フリクションパッドから切り出してテストしたりしました。いずれも、ある程度の効果はあったのですが、 どうもイマイチ。ピッチング側まで規制されやすい点もイマイチ。また、タミヤGPのレギュレーション的にもグレーな感じなので、 このアイデアはボツに。
代わって採用したのが、op.273「フォーミュラ・リヤサスボールマウント」(1200円)。もともとツイックスクリュー用の穴があり、 かつてF103LMの後期(1999年以降でしたっけ?)にツイック追加が認められたのを 覚えていたので、このほうが問題になりにくいだろう、と判断。 ダメ出しされても、ネジを緩めるだけで簡単に対応できますし。

6月のレースでは特にツイックスクリューに関してオフィシャルからの指摘はなかったのですが、 サーボ搭載方法の指示徹底などの傾向から考えると、今後はツイックも禁止の方向になるかも知れません。 ツイックは、あればあったで、重心位置の高いツーリングカーボディが生み出す過度のロールを抑え、 アンダーステアを消してくれますから都合の良いデバイスなのですが、今後、主力ボディがクラージュに切り替わってしまえば、 ツイックがなくても走り的にはあまり変わらなくなるかも知れません。
ツイックはかなり締め込んでいます。左右のロール量は、ホイール外側が5mm弱ほど浮くだけに抑えてあります。 これにシャシーのシナりが加わりますから、実際にはもっとロールしますし。

ツイックを付けるのはリヤ側だけです。左写真はフロント側ですが、動作としてはリヤ側の設定が優先されるので、 フロント側にツイックを付けても意味がありません。

なお、RC雑誌の06年3月号あたりに、設計者(タミヤ有村氏)のアドバイスとして、前後のTバー取り付け方法を 変えることで(前をツイックに、後ろをOリングに、とか)、4WS的なTバー作動を期待できる、という話がありましたが、 筆者も試してみましたが、有意な変化は感じませんでした。考え方としてはアリだと思いますし、タミヤGPでも現在のところは OKのようですから、お好みで試してみてはいかがでしょうか。op.273の入手が先決ですが。

op.273を使ってボールサス化するメリットは、単にツイックのためだけではありません。 メインシャシーに 対するTバー取付位置が、Oリング仕様に比べて0.5mm程度ですが接近するので、 モーターポッド位置を上げたのと同じ効果があり、リヤグリップを一段と稼げることも重要なポイントです。 F1〜LMボディの時代は、フロント側グリップが絶対的に不足傾向だったため、リヤ車軸を下げ(車高は上げ)て、 リヤのグリップを落としてでも曲がるクルマに仕上げようというアプローチでした。このため、 リヤグリップの向上に寄与するop.273は「余計に曲がらなくなる」と評判が悪く、 ツイックの使用が認められるようになるまでは、あまり使い道のないoptだったのです。

これに対し、F103GTでは、ホイールベースがリヤ寄りに短縮され、ホイールオフセットによる 前後のグリップバラ
ンス調整も可能になったので、マキマキになるくらいフロントグリップを稼げるようになりました。 だから、リヤに関してはメいっぱいグリップを稼ぐ方向でセットアップできます。 車軸を上げ、op.113インナー+ソフトTバー+ボールサスの組み合わせで、 余計なウェイトを使わないで、考え得る最高のリヤグリップを稼げるわけです。

そのような点にも考慮しつつ、このようなアンプ配置を採用した結果、パワーソース系のコード全長は 従来のレイアウトと比べ、およそ15cm程度の短縮を実現。ケーブル径によっては ハイエンドアンプ1個分にも相当する抵抗をカット。ケーブル径も12ゲージに大径化。 コードの大径化は重量増(5〜10g増えます)を伴うのが通例ですが、全長短縮により、12ゲージでありながら、 従来のレイアウトで14ゲージを使うのと同程度の重量に収まっています。+側のバッテリー〜モーターコードも ノーカットの1本線でレイアウト。余計な抵抗の発生を極力抑えています。
フリクションプレートについては、軽量化やドレスアップを考えるとoptのカーボン製に換装したいところです。 しかし作例では、あえてノーマルFRP製のままとしています。確かに軽量化には寄与するんですが、 メリットは限定的なので、必要性としては後回しです。フリクションパッドも、個人的趣味として、 「色」が重要なので、あえてノーマルのままです。ある程度のフリクションが欲しいので、 optのテフロン製にする必要はあまりないと個人的には思っています。確かに、パッドへの塗布物の粘度も含め、 フリクションパッドのセッティングを厳密化したい場合にはテフロン製には一理あります。 筆者はそこまで細かな違いが分からないし、ツイックで規制したクルマだとあまり役に立たないパーツでもあるので、 「やるだけムダ」だと思っているだけの話です。ついで話ですが調整式ダンパーポストの調整ネジは ギリギリまで緩めてあります。
もしフリクションプレートをカーボン製に換えるのであれば、 お勧めは op.395「F103カーボンフリクションプレート」(500円)です。ダブルプレート仕様のop.148(600円)より安いし、 ビス取付部が皿ネジ加工されていて、位置決め精度がアップするからです。

フリクションプレートをノーマルのまま使い続けるにしても、取付ネジは皿ビスに変更しておくことを強くお勧めします。 このほうが見た目もスッキリしますし、第一、位置決め精度が段違いにアップし、フリクションダンパーのガタがなくなって スムーズに動作するからです。加工は極めて簡単。DIY店で写真のような皿モミカッターを買ってくれば一発です。そこまで しなくても、8〜9mm径程度の通常のドリル歯でナメてやれば、同じことです。
厳密に言い出したら、ネジの皿角度と カッターないしドリル歯の角度を一致させないとダメ、とかになってしまいますが、 限界的な取り付け強度を試すような場所ではありませんから、そんなことまで考慮する必要は全くありません。 テキトーな加工で十分に間に合います。1500円くらいで買えてしまうハンドドリル1本でできてしまう簡単な加工ですから、 ぜひ試してみてください。




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