(posted on Jul 24, 2007)
(updated on Aug 7, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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ポルシェ934ターボ(3)






リジッドアクスル、しかもモーターピニオンが直接ファイナルギアを駆動するいわゆる「ダイレクトドライブ(DD)」の構造ですから、 ギヤボックス回りはいたってシンプル。とはいえ、DD車のギヤボックス構造としてはデフも含めてこれで既に完成しており、 今のF103などでも基本構造は同じです。 写真では、減速を2段にして15.5/19.4という超ローギヤードにした乾電池仕様のケースを示しています。 ニッカド仕様ではモーターを写真とは逆向きに取り付けたギヤ比4.7/5.8のダイレクト駆動が標準です。

写真のモーターは都合により934標準装備の360ではなくポルシェ935以降に採用されたマブチRS-380Sです。ただし、一応、当時の 白い樹脂エンドベル+シングルコンデンサ仕様である点にはコダわってます<笑>
934/935の設計が斬新だったのは、ギヤボックスをシャシーからフローティングマウントするという、 現在DD車で主流の3Pサス形式からみると正反対(3Pサスではフロントアップライトにバネを入れてフローティングマウント) の方法を採用し、「サスペンション効果」を得ようとしていた点です。実際、これはかなり効果がありました。当時の食わないタイヤと ニッカド6V-1200mAh、360/380モーターの貧弱なパワーソースでも、しっかりサスが機能しているのが分かりました。当時は、 車が傾いだり、路面の凹凸でビヨヨ〜ンと跳ねるだけで、「うおぉ〜、サス効いてるぜ!カッコいい〜」 みたいな感動があったものです。ダブルウィッシュボーンサスでもないし、ましてや本チャンのリジッドアクスルとも全然違う 中身でしたけれども、「仕組み」としてはコレで十分だったのです。 ユーザーのハートをしっかり掴む、という意味では、このギミックは大成功でした。

もっとも、このサスシステム、3点支持だったので整備性やロール性は良かったんですが、いかんせん、シャシー剛性が低かったので、 スポンジタイヤ等のハイグリップタイヤを使うようになると、とたんにサスよりもシャシーがヨレるようになってしまい、 全然意味をなさなくなってしまいました。というか、むしろバタバタするので、540を使うようなハイスピード走行には邪魔な装備 でした。あくまで、ゴムタイヤでゆる〜りと走るのに適していたと。そういう意味では、今のタムテックギア934の ドノーマル仕様というのは、当時のデビュー当時の360+乾電池仕様の934の雰囲気を味わうには、まさにピッタリなんですよね。

360/380モーターはシャフト径が540より細いので、当時は専用のピニオンがありました。今から思うと意外ですが、934/935では、 歯数の多いほうがキット標準で、歯数
の少ないほうはスペアパーツとして別売されていたsp.12同梱品です。

タミヤがオプションパーツとスペアパーツを明確に分離したのは1988年以降です。 それ以前のオプションはすべてsp.系列に入っていました。ベアリングや540付きギヤケースセット、 スポンジタイヤ、FRPシャーシなど、みんなそうです。当時は、バッテリー、モーター、タイヤといった、 旧型のシャシーにも装備できるoptが中心だったので、特に違和感はありませんでしたけど。

当時は「低重心化」なんて発想は2の次だった(無視してたわけではないけど) ので、こんなタワーみたいなモーターマウントに 何の疑問も沸きませんでした、の図。単に低重心化するだけなら934の実車同様のリヤモーターマウントにすれば 良かったんですが、実はリヤオーバーハングはRCメカ用電池ボックスの収納スペースです。 とにかく、タムギアと違って室内にメカぎっしりでしたから、モーターの行き場は「上」しかなかったと。

タミヤ初期のモデルに装備された、ベベルギヤ式のデフ。当時としてはまさに最先端の素材だった ポリアセタール(POM)樹脂を採用し、優れた自己潤滑性と耐久性を獲得していました。確かに当時、 学校の校庭の土の上なんかを平気で走っていましたが、ギヤの石噛みなんて皆無でしたね。スパーもピニオンも換えたことなかったですからね。 今から考えると実にスゴイ話です。 石噛みの経験は、後にAYKシャシーでナイロン製スパーを扱うまでありませんでした。 「ナイロンってヤワいんだな〜」とその当時から感じたものです。 それでも今もってナイロン製スパーが多用されているのは、多分にコストの問題だと思いますが・・・。 POMって高いですからね・・・。

このPOM樹脂、当時は「ジュラコン」と表記されていました。これは独ヘキスト社(当時)の商標です。 日本では
子会社のポリプラスチックス社(当時)が扱っていました。つまりタミヤではヘキスト製のPOMを当初使っていた、ということでしょうね。 POMを最初に重合したのは米デュポンで、その商標は 「デルリン」です。しかし当時は「ジュラコン」のほうが日本のRC界では主流でした。今は「デルリン」のほうが幅を利かせていますが、 アメリカからの輸入品がみんな「デルリン製」と呼ばれていたので、そういうのにカブれた影響もあるのでしょう。今はもう、 供給元によって呼び分けるなんてこと、ないですものね。

ちなみに、ポリアミド(PA)樹脂は米デュポンの商標「ナイロン」が代名詞になっちゃってますし、 ポリカーボネート(PC)樹脂にしても、RCユーザーには馴染み深いのは同樹脂を開発した 米GEプラスチックスの商標「レキサン」でしょう。「レキサン」という商標も、80年代に 「舶来品」たるパーマやプロトフォーム製ボディの普及とともに浸透したもので、完全に「カブれ」の影響なんですよね・・・。 US製はともかく、日本製のポリカボディがどこまでホントにGE製のポリカ板を律儀に使ってるかなんて、知ったこっちゃないですわね・・・。

デフの話ついでなんですが、実はシャフトに取り付けるベベルストッパー(左写真の左側ホイルスペーサーではなくて上の写真の) の位置を微妙に外側に寄せておくと、 ホイール止め用のナイロンロックナットの締め付け具合でデフベベルの締め付け圧が変わり、デフの効きを変えられる、という、 優れモノでした。だからタミヤの80年代前半頃までのベベルデフ仕様のDDシャシーには、 特に「デフロック」なんてモノは要らなかったのです。
1980年にカンナムローラがLSD(リミテッドスリップデフ)仕様のデフを装備してきましたが、筆者はそれよりも以前に、 似たような効果を「組み立ての工夫」で実現してしまっていたわけです。当時まだ小〜中学生でしたけど。

実際には「スルスル」がベストだったのであんまりデフロックは意味なかったですが、こうやってデフの効きを調整する技を、 当時、どれだけの人が気づいてたのかな〜(少なくとも周囲には皆無)、と思うと、今でもチョットした自慢です。





左上からの一連の写真で、ギヤボックスの支持方法が良く分かると思います。 一見、常識的に思える4点支持ではなくあえて3点支持なのは、前進しながら横Gがかかった際にネジれてロールしやすい からでしょう。良く吟味された選択だったと思います。
電動RC初期のギヤボックスは、どのメーカーもこんな感じで、プレス加工したアルミ板にリン青銅製の軸受け用メタルを圧着、 という構造でした。当時既にオイルレスメタルが実用化されていて、マブチの380S/540S等に採用されていましたが、 タミヤが軸受けにオイルレスメタル(1150サイズで外周にスプラインの入ったもの)を採用したのは4作目の XR311コンバットバギー(1977年12月発売)からです。当時はオイルレスメタルなんていう軸受け材料の存在をタミヤのRCに触れて 初めて知った人も多かったのではないでしょうか。「プレーンベアリングには潤滑油なきゃダメだろ?」 というのが常識だったところに「多孔質の焼結メタルにオイルを含浸してるから注油不要」というのは画期的でした。

プレーンベアリングはシャフト側も磨耗するし、磨耗するとガタついてギヤのバックラッシュにも影響するのが泣き所で、 ボールベアリングの登場に伴い、みんなこぞって
ベアリング入りギヤボックスに交換したのは「お約束」でした。でも、オイルレスメタル自体が否定されてたわけじゃなくて、モーターの軸受けなどとして欠かせないものになっていることは皆様ご承知のとおり。 メタル製造元のオイレス工業もマブチモーターもいまや一部上場企業ですけど、今から30年前といえばまだまだ発展の初期。 当時、電動RCカー向けの需要が両社に果たした役割というのは、結構あったんじゃないだろうかと思います。








実際の走行でロールするのはシャシー側なので、こんな感じでロールしてます、の図。
ここまであからさまにフロントがリフトすることはなかったと思いますが・・・。ボディはシャシー側に付いているので、 フロントタイヤのインリフトは多少はあったはずです。
・・・というわけで30年前の回想やら当時の状況解説も織り込みつつ、今回も例によってあれこれ 独断と偏見でウンチクを並べてしまいました。あくまでも、田舎住まいのガキに過ぎなかった筆者の当時の環境に根ざした 勝手な思い込みですので、都会の方とか、地元静岡の方とか、当時既に大人だった方にはまた違った思いがあろうかと思います。 もし、そういった方々からご感想やコメントが頂戴できれば非常に嬉しいです(コチラからどぞ)。

まぁ今となっては、「934」のシャシーというのは、言ってみれば実車のフォルクスワーゲンやルノー2CVみたいなもんで、 スーパーベーシックな構成のなかにクルマの基本要素は全部詰まってる、というモノだったわけですね。 このまんまの状態でイマドキのパワーソースを積んで走ったら、それこそクラッシュ一発で全損しそうなヤワさですが、 いつかカーボン素材か何かで焼き直した「スーパーポルシェ」みたいなのを作って走れたら、楽しいかも・・・。







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