(posted on Aug 16, 2006)
(updated on Nov 14, 2007)
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TA01(3)





リヤセクションにも、マンタレイ系シャシーには様々な工夫が凝らされています。まずはモーターマウント。

マンタレイ系シャシーのモーターマウントは「2段構え」になっていて、6通りのモーター取り付け穴が 開けられたマウントをまずモーターに組み付け、そのマウントを改めてバルクヘッド側に組み付ける ようになっています。

マンタレイはあくまでも「入門用」ですので、バックラッシュ調整を簡便化する狙いがありました。 このように、各取り付け穴にはピニオン歯数が指定されていますから、指定どおりに組めば、 誰でも間違いなく適切なバックラッシュが得られます。TT-01やF201などと同様、強引なやり方ではありますが、 ギヤモジュールが06モジュールだったので可能だったわけです。04モジュールじゃちょっと 無理でしょう。
しかしこのような「大雑把」なマシンが、どうしてカーボン材とチタンビスてんこ盛りの「チップフォースEvo」に まで昇りつめてしまったのか・・・。「時代」のせいだと言えばそうかも知れませんが・・・。 どっちみち試作はFRPやカーボンWデッキで走ってますから「先祖返り」しただけ、 という実もフタもない話もなくはないですしね。

写真を見れば察しがつきそうですが、このモーターマウント、取り付け部が貧弱で、ジャンプやクラッシュで 強く衝撃を受けると、根元からボッキリ折れてしまいます。といってもバルクに差し込む部分なので サイズアップして強度を上げるテも使えず、ハイパワーモーターにはoptで出たアルミモーターマウントが必須でした。

なお、ギヤ比表をこちら にアップしておきましたのでご活用ください。
アンテナマウントはここ。バギー仕様ではボディマウントとして使っていた部分をうまく転用しています。



ギヤケース内部の構成は透視図で示したほうが分かりやすいでしょうから、箱絵の写真を掲げておきます。

TA01では、まだどの程度売れるか分からなかったこともあったのでしょう、マンタレイと 同じギヤセットを同梱しています。つまりスパーのカウンターギヤがアルミ製のハイブリッドタイプです。 オフロードでのジャンプなどでの強いキックバックにも耐えるタフな仕様ですが、 製造コストはかさみます。素材が異なる別部品があるということは生産効率も悪いでしょう。

なお、マンタレイ用のギヤセットは90年10月発売のsp.394(1000円)でしたが、TA01発売に伴って sp.423「セリカGT-FOURプラギヤーセット」(900円)として91年8月に出し直されています。 たくさん売れる見込みが立ったからでしょう、100円ですが値下げも実現しました。当時はユーザーが多く、 ギヤの消耗も激しかったので、sp423の発売前に、sp.394は既に在庫が払底していたようです。
ちなみにTA01ではギアの仕様変更はされないまま終わってしまいましたが、後継のTA02では、スパーギヤが カウンターギヤ一体型ですべてナイロン樹脂製のツーリングカー専用タイプ (sp.529 600円)に切り変わりました。 こちらのほうが生産効率が高く、価格が圧倒的に安いうえ、若干軽量で駆動系のレスポンスアップにもなる、ということで、 sp.529が発売された94年1月以降、あっという間にsp.423も消え、sp.529が主流になりました。 通常のダート走行でも、sp.529で強度の問題を感じることはないのでしょうが、 たぶん、モーターを10Tとか9Tとかにしだすと、アイドラーの磨耗の早さ(ギヤの交換頻度)が違ってきそうです。
sp.394/sp.423は販売終了しているのに対し、 sp.529は2006年8月現在も現役のパーツで、 実売価格 も安いです。2006年現在の状況としては、マンタレイ系バギーが復刻されて間もないこともあって、 sp.394/423同等品のアフターパーツがカスタマーサービスで容易に入手できる状況ではありますが、 わざわざカスタマーから正札・送料込みの高いパーツを取り寄せて大事に使うくらいなら、 sp.529を2〜3セット用意してバンバン使ったほうが、気分的にも良さそうです。
この時代は、スパーギヤ歯数をどうこう言うユーザーは極めて少数派で、「マンタレイ用ギヤ」で通ってしまっていた のどかな時代? でした。数えれば分かりますが歯数は74Tです。93年1月にop.127「スカイラインスピードチューンギヤ」 (66T/69T)が出てギヤ比の問題が注目されるようになり、スパー歯数への関心が一気に高まりました。
マンタレイ系シャシーの駆動系では、アイドラー(ちなみに16T)は上の写真のとおり単独の歯車で、単純に回転の向きを逆転させる目的だけに使われているので、この部分での減速はなくて、スパー出力側の16Tと デフハウジングの39Tで最終減速を行っています。つまりデフ部分の39T/16T=2.438にスパー/ピニオンの減速比を 掛けてやればトータルのギヤ比(最終減速比)が得られる、という単純な構造です。TA03やM-03/04シャシー以降は、ギヤトレインのコンパクト化を狙って、 アイドラー部分でも組み歯車で減速を行うようになったので計算が面倒になりました。
TA01の特徴、前進角が付いたリヤドライブシャフトとサスアーム回り

TA01用のキット標準ドライブシャフト(ドッグボーン、39mm長)は、 丸棒から切り出しただけのシャフトの両端にエンドピンを挿入し、ピン固定を兼ねてナイロン樹脂でエンド部分を丸く形成したものです。 これはマンタレイ以降のバギーに採用されたサンダーショット系互換サイズのドライブシャフトと同じ仕様です。 仕様変更の目的はコストダウンとユニバへの乗り換え促進(ユニバのほうが丈夫だから)と思われます。 同じドッグボーンでも、シャフトエンドの丸い部分までオール金属製のサンダーショット用やTA04用のほうが、 エンドピン周辺の肉厚が厚い分、強度は明らかに勝ります。樹脂で止められたエンドピンは、すぐに緩んで抜け落ちやすく、 540パワーならまだいいですが、パワーアップに耐えられるシロモノではありません。従って、キットの購入に際しては、 ベアリングだけでなくユニバも必須のoptでした。当時のユニバは今より丈夫で安かったですけどね。


デフ部分には、このリヤハッチのビス4本を緩めるだけで素早くアクセスできます。 ボールデフの調整やメンテは結構ひんぱんに行なうので、サスアームやダンパーステーを バラさずにサッとデフをいじれるのは非常に実戦的で、 便利でした。
・・・というわけでTA01シャシーの解説を終わります。
1/10ツーリングカー第1号「トヨタセリカGT-FOUR」の発売から早いものでもう15年が経ちますが、 ようやく紹介ページをかりそめにもアップすることができ、ひとつ肩の荷が降りた気がします。

いまやツーリングカーシャシーは、TRF415MSXが登場するに及び、低重心化・高剛性化・軽量化など 相当に洗練されたものにはなりました。しかし一方で、当初の荒削りな面白さは薄れ、「飽き」が生じ、 気軽に楽しめなくなったユーザーの離散が起きているように感じます。 今こそ私たちは、「ルーツ」としてのTA01を振り返り、「ツーリングカーの楽しさとは何か?」 ということを改めて考えてみる必要があるのかも知れません。この紹介ページが、そのひとつのきっかけに なってくれたら、これ以上嬉しいことはありません。 (おわり)






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