(posted on Aug 16, 2006)
(updated on Aug 21, 2006)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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TA01(2)





TA01/02は、TRFの結成〜オープンレースへの参戦など「カツカツ度」を高めていった80年代後半のタミヤのRC設計 アプローチのDNAを受け継ぎ、 入門用として簡素な構造を取りながら、各パーツのガタについては、かなり追い込んでいるのが特徴です。 複雑な面を構成しているダブルデッキシャシー用のスペーサー部品なども、プラモデルのように、気持ち良くピタッとバルクヘッドに 合います。ステアリングワイパーのガタも比較的少なめです。入門者の取り込みをさらに追及した 後継モデルのTA03シリーズやMシャシーでは、組み立てやすさを狙って、 驚くほど多いガタが「意図的に」設定されていたのとは対照的です。
TA01/02は、強度面でも「バギー譲り」の良さがあります。特にフロントバルクヘッドは、 少ないビス数なのに締結部は非常にしっかりしており、 クラッシュしてもバルクがヨレてトリムずれするようなことは皆無でした。似たような構造のTA03では、締結部の位置決めが甘く、 バスタブとバルクを接着しないとクラッシュでバルクがズレまくる始末でしたが・・・。

反面、サスアームについては、ここでクラッシュの衝撃を吸収しようとしたのだと思いますが、設定が柔らか過ぎでした。 軟質ナイロンという素材選択自体は良かったと思うのですが、形状的に薄っぺら過ぎました。特にフロント。

それでも当初は、タイヤグリップも低かったし、バネも柔らかかったので問題なかったのですが、後年、 タイヤグリップがどんどん上がり、バネもどんどん硬くなってくると、柔らかいサスアームがヨレてしまうようになり、 セッティングを難しくする要因になったのです。サスアームのスパンも短く、重心の高さと相まってロール量もキャンバー変化量も 多かったので、根本的に改良するには、全面的な設計変更が必須でした。TA03やTA04は発表当初から中途半端な印象でしたが、 TA05になって、ようやく行き着くところまで概ね到達した感じがします。
キット標準のセンターシャフトシステムは、「ブーメラン」を経て「サンダーショット」で完成したシステムを踏襲。 センターシャフトの剛性にはやや不安がありますが、 キット付属の540程度のパワーなら特に支障はないですし、構造が簡単で信頼性が高く、 駆動ロスも非常に少ないうえに、パーツ磨耗も少ない、全体として非常に優れたシステムに仕上がっています。タミヤの貴重な 設計資産として、これからも永く使われていくといいのですが・・・。

マンタレイ系バスタブシャシーには前後のバルクを結合するようなアッパーデッキは ないのですが、センターシャフトが突っ張ることで、 ピッチングの衝撃を吸収し、意外にピッチング剛性は優れたものがあります。
軟質ナイロン製のメカデッキ部には、ささやかなセンターシャフトガイドが付いていて、シャフトのバタ付きを防いでいます。

マンタレイの構成をそっくり受け継いだバスタブとメカデッキ周辺。

マンタレイ(初版)と同様、TA01も機械式スピードコントローラー(いわゆるスピコン)が 同梱されており、2サーボ仕様のRCメカ使用を前提としていました。TA01が設計された1991年当時、 まだまだアンプは総じて高価で「レース用」のイメージでした。ちょうど、 各プロポメーカーが、高級路線一本槍から「入門用アンプ」との2本立てに販売戦略を変え始めた時期ではありましたが、 入門用プロポの構成としては、「2サーボ仕様」のほうが明らかに安かったし、一般的だったのです。
マンタレイのバスタブは、「六角形に張り巡らされた補強リブ」がウリでしたが、コレがどの程度意味があったかは 良く分かりません。確かに、何もしないよりは強度はアップしたとは思うのですが、このリブのおかげで、 サーボなどRCメカの搭載位置がその分「底上げ」される格好となり、重心面では不利でした。バギーならあまり影響が なくても、最低地上高が数ミリのオンロードカーでは、1mm程度のリブでも重心にはそれなりに響きます。また、オフロード走行を 考えても、泥や砂がこのリブにへばり付いてしまうので、かえって掃除に手間がかかり、 メンテナンス性を悪化させる要因になっていると、個人的には感じていました。ただでさえ、「抜き穴」が開いていないバスタブは、 タイヤが掻き上げた土砂や草がバスタブ内に溜まって大変なんですから・・・。
今でこそお馴染み(もう廃れちゃった?)になったこのキャッチピン止め+サイドローディング方式の バッテリー装着法ですが、コレが正式に導入されたのもマンタレイがCカーの「ベンツC11」より1ヶ月先の発売で、 最初の事例でした(90年10月発売)。それ以前にも「サイドローディング」の例は数多くありましたが、すべて 柔軟性のあるストッパーを手でヒネって出し入れする方式でした。

開口部はバッテリーに合わせたタイトな形状ですが、実はこのタイトさがアダとなり、ダート走行には全く適しません。オフ車なのに! 小石がバッテリーの底に回り込むと、開口部にバッテリーのチューブがカジってしまい、バッテリーを引き抜けなくなるからです。 やはり、オフ車のバッテリー保持は、ファルコンのように、 「上からホルダーを被せる方式」か、ホットショットのような「吊り下げ式」が良さそうです。 これなら、バッテリーが石に引っ掛かって取り出せなくなることはないですから。
さてスピコンに話を戻すと、このユニット、実際のところ「ホーネット」以来、 基本的に同じ仕様のまんまです。spパーツとしては、車種ごとにネジ等の細かい付属パーツが異なった仕様で 何度も出し直されていますが、スイッチ基板と0.3Ωのセメント抵抗(sp.212相当)、抵抗を保持する金属/FRP部品はずっと変わっていません。 そして、実はBEC仕様です。つまりこのままミニコネクターからBEC対応受信機(AMのものに多い)のBATT端子に差し込むと RCメカが動き、2サーボ仕様でも受信機用の別電源は要りません(受信機側にレギュレータが内蔵されているため←それがBECの意味)。 ただ通常は、いきなりミニコネクターから受信機、ではなく、 間にRCメカ電源用スイッチをかましますけど・・・。
マンタレイ系のスピコン同梱キットには、このようなポリカ製防塵カバーも付属しています。 そもそも、スピコンを使わないので、カバーなんて使ったことありませんけど・・・。
スピコンを使いたくない理由は、「発熱」にあります。要するにハーフスロットルが使えないのです。 ハーフを使おうとすると、あっという間にセメント抵抗が灼熱地獄になりますからー! 以前、単セル放電用にと同じスピコンをバラで買い求めて試したところ、何も経験がなかったものですから あんなに熱くなるとは思っておらず、ちょっと触ったら思いっきり指をヤケドしてしまいました。痛〜っ!!

走行中は風で冷えるとはいえ、あくまでもハーフスロットルは「緊急用」で、基本的に「全開」で 走るのがスピコンの作法。タラタラとハーフで走ってると、あっという間に配線やボディを溶かし、 火を吹くこと請け合いです。パワー的にも、540以下に抑えておかないと操縦困難でしょう。 ただ逆に、機械式ゆえ、流れる電流がかなり大きくても、冷却さえできていれば、アンプのような壊れ方はしません。 だから今でもツインモーター車はアンプ仕様でなく、スピコンが採用されているのです。
スピコン用サーボはスピコンの前側にあるメカデッキの切り欠き部分に設置(サーボロッドとサーボホーンの配置を参照)。






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