RC Car Trend Vol.7──────────────────── 98/09/01(発行部数:248部)

〜 Contents 〜
1.TOPな人々(その4)
2.速報! 1/10 JMRCA全日本オンロード
3.Q&Aコーナー:ワークスへの道(その1)
--------------------------------------------------------------------

(編集長より)
みなさんこんにちは。何だかここのところ月刊誌のようになっていますが、 とりあえずかろうじて続いております。ホームページ強化と取材と編集と自 分のマシン作りと子育て(と仕事)をいっぺんにやるのはなかなか大変なも んです。今回は、「お知らせ」も充実してますので、最後まで読んでね。

1.TOPな人々(その4)by Y.Mishima

――― 斉田 芳伸(さいだ よしのぶ) ―――

トップサーキットの昼下がり、ひとしきりラジコンを走らせて一息つくと、 まるで陽炎のようにユラ〜っと現れる男が一人、まるでジェフベックのワイ アードのジャケットのように、いやいやあれはドアーズだと歳がばれるよう な会話の中、斉田さんは現れます。

斉田さんと会ったときの挨拶は「昨日も飲んだの?」か「今日も二日酔 い?」が定番です。最近は仕事が忙しいらしくあまり飲めないみたいですが、 どのくらい飲むの?ときいたら「いっぱい!」って言ってました。やっぱり 飲んどるやんけ。

こんな事書くとただのオヤジですが、じっさいはかなりカッチョイイです。 音楽関係の仕事をしているので見た目もミュージシャン系でカッチョイイの ですが、斉田さんの本当のカッチョ良さはその中身にあります。なんて言っ てイイのかわかりませんが「男」って感じです。(本当にわからん)

あんまりスロットルを離すの好きじゃないみたいですね。どんなに難しいラ インでも限界まで攻めるのが斉田さんのスタイルです。トップでは定期的に コースレイアウトが変更されますが、シケインなどまっすぐ行けそうで行け ないラインを、私は“斉田ライン”と呼んでいます。やっぱりここは突っ込 んでいかないと男じゃないでしょう。スロットルワークで悩んでも、斉田さんの 「とりあえず握っとけ」 という名ゼリフで目がさめます。どんなに難しいラインでも男の走りは忘れてはいけません。

そんな走り方ですから、やはりクラッシュからは逃れられません。ベストラ インを追い求める者の宿命とでも言いましょうか(言いすぎ)、派手なクラッ シュも斉田さんの得意とするところです。ただし、はまったときの走りっぷ りは見事ですねー。あれをずっと続けられたら誰もついて行けないのではと 思わせる気迫がそこにはあります。冷静沈着に走るエキスパートも大変参考 になるのですが、江戸っ子の私はあの熱い走りに心を奪われてしまいます。 スローイン・ファアーストアウトでなく「ファーストイン・ファーストアウ ト」、レースに勝つことよりポールポジションという響きに酔ってしまうのは、 やはり斉田さんの影響なのでしょうか。ああ、また握りすぎ・・・ あの走りに追いつくには先が長そうです。

斉田さんはトップで1番の面倒くさがりです。モーターを取り替えるのが面 倒で下のクラスに出ようとしたり(私は一緒にレースしてみたかった)、セッ トがいまいち決まらなくても「ま、いっか」で済ませます。当然壊れた車を 修理するのも面倒くさいのですが、何故かいつのまにか直っていることがあ るのです。別にマジシャンじゃありませんし、超能力を持ているわけでもあ りません。実は、斉田さんがめんどくせ〜といって席を離れていると、他の 人が「しょーがねーなー」って直しちゃうんです。強要している訳ではない のですが、きっとみんな斉田さんが好きなんですね、これも人柄のなせる技 かな。今日もまた、ドカンという痛々しいクラッシュ音と共に、サーキット の隅々まで響き渡る斉田さんの雄叫びが聞こえると、渋谷の夜は更けて行き ます。

2.速報! 1/10 JMRCA全日本オンロード

去る8/21−23日に開催されたJMRCA 1/10オンロード全日本選手権の結果の お知らせをいただきましたので、遅ればせながらご披露します(ラジマガよ り早いので許して)。レポーターは、本誌第5号でもご紹介した、あの北澤秀 朗選手です。(情報自体はレース直後に頂きました、3位入賞が嬉しくてしょ うがなかったのね、初(う)いやつじゃ、ハハハ)

1位 正美君(ヨコモ)
2位 松本さん(京商)
3位 北澤 秀朗(ヨコモ)
4位 村井さん(HPI)
5位 吉岡君(HPI)
6位 原君(ヨコモ)
それ以下はもろもろ

それにしても、大したもんです。北澤君にとっては、これがチームヨコモと して初のメジャー参戦にして堂々の表彰台。彼自身も自負(後述)している ように、「タミヤGPのレベルも捨てたもんじゃない」ことを見事に証明して くれた格好です。拍手!

9月には、いよいよ正念場の1/12が待ち構えています。楽しみですねー!

(9月21日号外より)

9月20日、矢田部アリーナにおいてトウェルブの全日本選手権が行われました。 われらが北澤秀郎くんは予選8位のスタートから、決勝3回のヒートを 3位、2位、5位と素晴らしい成績で走り、総合3位にはいりました。
いやー、すごいね。

1回目2回目のヒートはスタートの混乱を見事にかわして上位に踊り出て、 そのまま好位置をキープしたままゴール、第3ヒートはとうとうスタートで 絡まれてしまい最後尾に落ちたものの、落ち着いて順位を回復、 ほとんどバッテリーダウンもなく走って5位フィニッシュとしました。

*** 上位リザルト ***

優勝 広坂 正美
(やっぱり強いです。ほとんど全車ラップする勢い、3ヒートで ラップされなかったのは北澤君と原君だけです。)

2位 原 篤志
(安定感が一段と増してきた。ポスト正美No.1!)

3位 北澤 秀郎(バンザーイ! キミもまだ22歳。若い若い)

北澤君はプロテンに続く表彰台ゲットです。この勢いでツーリングもがんばれ!

3.Q&Aコーナー:ワークスへの道(その1)

先のレースレポートのとおり、今回より、ライターとして北澤君が加わってくれることにな りました。現在、チームヨコモの一員として活動している手前、発言内容に 制約があるかも知れませんし、時間的にもなかなか大変だとは思いますので 正直なところ、読者の方にはあまり期待して欲しくはないのですが、何はと もあれ、超A級ドライバーのコメントを仰げるのは本誌としても心強い限り です。今回はとりあえず、彼の紹介を兼ねて、編集長のフェラーリ伊藤自身 が、超基本な質問で攻めてみました。

*** Question ***

「どうしたらワークスに入れるの?」
(ウラ:筋金入りのタミヤ派だった秀朗君が「転向」した動機は?)

*** Answer ***

どうやったらワークスになれるのか、僕も昔よく考えたことがありました。 ラジコンをやり始めて、ちょっとしたローカルレースでは優勝争いの一角に 名を連ねるぐらいになってくると、ワークスになりたいと誰しも思うもの ですね。

僕が一番そう思ったときは、中学生から高校生にかけて、青山(注1)でブイ ブイ言わせていた頃でした。なんてったって誰にも負けない自信があったか もしれません。その頃知り合った海野(幸次郎)さん(注2)をラップする くらいの勢いはあった気がする(実際あった)。

で当時、ベルサーキット(注3)で有名なチームがあって、そのチームの人に サポートの話を持ちかけたのですが、全然相手にされなかったのを覚えてい ます。

いま思えば、タミヤGPのようなビギナーの多いレースでいくら勝とうが、 「しょせんタミヤでしょ」と言った考え方の人がたくさんいて、サポートド ライバー暦うん十年とかいう人から見れば、全く眼中になかったのかもしれ ません。

そこでちょっとムカツイチャッタ僕は、JMRCA(注4)のレースをちょっとず つかじり始めたわけです。JMRCAのレースには、なんと言ってもワークスやサ ポートドライバーのお目にとまる可能性があります。プライベーターでちょ っとでもいいところを見せれば、「ちょっと君速いね」なんて言うこともある のです。

でも、声のかかるチームにも色々あってまたこれが大変なんです。モーター などの、パワーソースなどを専門にサポートしてくれるところから、車から 何もかもサポートしてくれるところ、プロポなどのサポート、タイヤだけの サポート、もしくはこれらの色々な組み合わせなど、さまざまです。自分の 実力がめちゃめちゃあって、本当にうまい人ならサポートメーカーは黙って いても寄ってくるのですが、多くの人がそうでないと思うので、ここではま ず、サポートドライバーになるきっかけを話しましょう。

(次号につづく)

(注1)
タミヤGPイン青山・・・ 「RCT−TV」をご覧あれ!

(注2)
タミヤGP全日本第2回(F1)、第3回(ツーリング)優勝者。同GP のダブルタイトルを有するのは今もって彼ただ一人。広坂正美の時代が訪れ るちょっと前、空前のバギーブームに乗って高校生ながら見事JMRCA電動バ ギーを勝ち取り、某大学の一芸入試を「ラジコン」でパスした経歴の持ち主 でもある。オープン当時はトップサーキットにも足繁く通い、バイトをやっ ていた時期もある(懐かしい・・・。当時は京商ワークスだったが、ラテン的 な本人の性格からしてあまり真面目に取り組んではいなかったらしい(え、 そんなことないって?)。

(注3)
東京・狭山でインドアカーペットコースを構えてJMRCA等をホストし、 一世を風靡した名所。一時は吉祥寺の駅前商店街にも2号店を構える勢い を見せたが、その「尖った」経営方針が災いしたか、96年にあえなく閉鎖。 次は私が・・・20年後かねえ)。

(注4)
「日本モデル・ラジオコントロールカー協会」の略称。郵政省の外郭 団体として組織され(電波は郵政省の所轄)、歴史・権威ともに最高格式のレ ースを開催する。まあ、実車のJAFみたいなもんですな(レッカーのことじ ゃなくてレース主催者の話!)。考えてみれば当然ですが、正美クンみたいに JMRCAのレースで優勝すると、トロフィーに書いてあるのは「郵政大臣 杯」の御文字。JMRCA主催のレースは、最高格式にふさわしく、原則「何でも あり」で、社員ドライバーや、サポートドライバーなども出場するオープン なもの。ある意味でタミヤより平等でもあり、不平等でもある。

(注記の文責は編集長・伊藤にあります)