posted on Oct 28, 2003
(updated on Jan 12, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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TT-01・RCTチューン

<タミヤGP編PART2(2)>





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<4>RCメカのハイレスポンス化

基本的な話ですが、「一体感」を得たければ、反応の悪い相手じゃ務まらない、というのは人間関係もRCカーも同じこと。これはクルマの遅い速いに一切関係なし。RCメカをグレードアップするだけで、自分の意のままに走れるようになるだけで、ずいぶんとタイムはアップするものです。

ただ、これまでの一連の「RCTチューン」では、あえてサーボについては安易なグレードアップを「封印」していました。コストアップがイヤだったからです。
しかし、XB付属サーボがベストでは決してありません。これまでのレース経験で、XB付属サーボでも十分な戦闘力と信頼性があることは確認できましたので、そろそろ、筆者がいまイチ押しの「フタバFP-S9650(9550じゃありません)」を採用し、更なる軽量化と低重心化、ハイレスポンス化を考えました。筆者は03年5月のタミヤGP以来、Evo3にS9650を搭載し、不具合のないことを確認済みです。サスブロックが曲がるようなクラッシュでも大丈夫なことも実証済み(笑)。

TT-01への搭載にあたっては、サーボセーバーの底面がシャシーに当たらないように、またステアリングロッドが水平になるよう気をつけなければなりません。結果、ショートタイプのアルミサーボステーを無加工で使用し、サーボを宙に浮
かして高さを合わせています。シャシー下面をえぐってサーボ位置を下げたいのはやまやまなんですが、ステアリングロッドの取り回しの都合上、左右の舵角に不具合が出ます。また、キット標準のプラ製のステアリングロッドは、XB標準以外のサーボだと長さが合わず、ニュートラル出しに無理が出ます。ピロボールがOKになるといいのですが。

なお、S9650はサーボの厚みだけでなく高さも低いため、ステアリングロッドはキット指定の「裏返し」にしないと届きません。マスは集中して好都合ですが厳密には指定外の組み方?(苦笑)一応10/26の東京大会ではOK頂きましたけど。サーボセーバーの取り付けビスは2.6mmタッピングなので、タミヤの初期のツーリングカー用組み立て式ホイールなどに付属の2.6×10mmを使用。
S9650はご欄のとおり、非常にコンパクトなサーボですが、0.11sec/60度(6V時)という十分な速度を持ち、デジタルサーボとしてトルクも4.5kgと大幅に強化されていますから、実質的には10年前のフルサイズサーボに匹敵するスペックです。ネオジウム磁石の基本特許が切れ、小さくてもハイトルク・ハイスピードなサーボが手に入るようになった時代になったのですから、これからのサーボ選びはサイズにとらわれず純粋に「性能」で選ばないとですね。

ハイレスポンス化はサーボだけでは不完全です。筆者はKOマーズRを使っているので、対応受信機として今回はKR-301Fをチョイス。ヘリオス用のKR-302Fも使えますが、実売価格がほぼKR-301Fの2倍もする、というのでアホらしいと思い、やめました。
S9650は幅も短いので、キット標準の穴をリューターで拡げて帳尻を合わせています。皿モミは本来は皿モミ用カッターで処理すべきで、実際持っているのですが、ドリル出すのが面倒くさかったので、リューターに適当なサイズの三角錐(すい)型の砥石をつけて削りました。多少ビス頭の角度が合わなくても平気平気。

それからついでに、今回のバッテリーのグラステープの止め方をご紹介。これはTT-01分会BBSに紹介されていたアイデアをマネさせていただきました。このように、センターシャフト脇の壁に穴を開けてやれば、グラステープの取り回しが非常にラクになります。コイツはぜひサーキットで流行らせましょう〜!
アンプは、この日のために買い置きしてあったKO-VFS2000リミテッドを満を持して搭載。FETが厳しく選別されていて、全てのFETが設計どおりにきちんと均等な負荷分担することにより、高性能がより長く楽しめるようです。もともとアンプに使うFETは品質のばらつきが少ないハズですが、あえて事前にチェックをかけて、アンプの品質を一段と上げている、という意味です。マッチドバッテリーと同じですね。まあ、FETの劣化なんて、使いつづけて出てくる差なので、下ろしたてのノーマルVFS2000との違いはモディファイド+マッチドバッテリーでも使わないと分からないのでしょうが、カネでなんとかなる部分は徹底的にやるのが今回の趣向、と割り切って、贅の限りを尽くしています。といってもノーマルVFS2000とわずか1000円くらいの違いでしたよね確か?
配線は、Evo3&TL-01世界戦2002年仕様で紹介した取り回しを踏襲し、最短距離で結線。カワダなどから出ている米General Silicone社製より被覆が薄くて取り回しやすいKO製13GAケーブルを使用し、さらに配線には「コダわりグッズ」で紹介のテトラの20%銀ハンダと「オンライン頒布コーナー」で取り扱い中の「高純度無鉛銀ハンダ」を全面採用。コネクターにイーグル模型/ABCホビーの金メッキコネクターをおごるのも10年来のお約束。あらゆる面で電気抵抗を低減。ただし「黒豆君」はありませんし、今回はキャパシターも重量増を嫌って控えめ。立ち上がりの電圧低下はドラテクでカバー。逆起電流対策としては、アクセル全開率の低いROX3では重量増になるだけなのでVFSハイパーブースターは使わず、VFS2000付属のスーパーショッキーをチョイス。
アンプの電子式スイッチは、先のラリークラス仕様車と同様に、ノーマルの位置に出してマーシャルの速やかな対応に配慮。
<5>冷却効率の改善

おおげさですが、要はヒートシンクを標準装備しただけ(笑)。
5月のROXでは、2分間の予選ヒートのみの走行だったこともあり、モーターヒートシンクを取り外して車重の帳尻を合わせました。しかし今回は、予選から決勝までフルにTT-01で走る方針だったので、さすがにそんな付け焼刃は効きません。予選後半の熱ダレを軽減する意味でもヒートシンクは必須なので、今回は軽量化を強化し、車重を犠牲にせずにヒートシンク追加を実現。装着したのはTB-01用です。脱着が容易でモーター交換に便利だからです。普段の練習には外れにくいTT-01用がいいと思いますが、実戦では車検などもあるので。
今回は、半導体ヒートシンク用の熱伝導グリスを接合面に塗布し、放熱効率を上げています。もちろん安いヤツではダメで、銀混入率25%の高性能品です。決勝などの長丁場で本来の機能を発揮するわけですが、ないよりあったほうがいいに決まっていることは全てやっておく、というポリシーのもと、予選から使用していました。今回はもったいぶらずに、ハミ出るくらいタップリ塗りましたのでそれなりに効いていたようです。
<6>重量バランスの改善と軽量化

これまでの経験を踏まえて、リヤバンパー上にトランスポンダーを配することで、かなり満足の行く前後バランスが確保できることが分かり、バラストを完全に廃止。これで15g軽くなりました。また、既にTT-01BBSでも話題になりましたが、ちょうど話題が出る直前くらいに自分でも出ていたアイデアとして、写真のとおり、前後バンパーのビスを減らすことで0.5〜1g軽量化。こういう地道な努力が重なって大きな差になるので、バカにしてはいけません。なお、リヤ側は1本止めですが、フロントは強度を考えて左右2本止めです。
以上は前後のバランスですが、今回は左右のバランスにも配慮しています。 最近、念願のデジタル秤が大幅に安くなり、4個まとめて購入、前回の9月のオフロードミーティング@こどもの国から本格的に使用しています。
ホイールごとの荷重を見るのは長年の課題だったのですが、いかんせん正確な測定がなかなか難しい。以前は写真のように100円ショップのバネ秤なんかも試したのですが、コレはさすがに精度が悪すぎてダメ。最近ようやく気付いたのですが、そもそもバネ秤は「皿が目に見えて動く」ので、荷重が変わると皿の高さが変わってしまい、四輪を別々の秤に載せると「水平」じゃなくなってしまうんですよね。測定方法に構造的な欠陥があるわけで、バネ秤を使う限り、いくら精度の高いモノで頑張ったって、測るたびに結果がバラバラで全然ダメなわけです。
これに対し、圧力センサー方式のデジタル秤なら、センサーが縮むといったってサブミクロン単位「事実上ゼロ」ですから理想的です。実際に測っても、4輪とも非常に再現性の高い測定をしてくれます。

動く部品がないので持ち運びもラクだし、ということで、筆者は今後、手頃なマシンスタンドとして愛用することに決めました。 マシンスタンドとして使ってれば、ピットではいつでもマシンの下にあるわけで、気の向いたときにマメに車重測定できますものね!
上掲の計測風景はレース後に改めて撮影したのですが、このときの測定結果は、軽量NSX2002ボディと3300HVバッテリーというTRF/GT1クラスの仕様でF左=302g、F右=332g、R左=380g、R右=398gでした。1個の秤で測った全備重量は1410g(4輪の合計値とは誤差あり)。フロント、リヤともバッテリー側のほうが重いですが、5%〜8%程度の差です。以上のことはレース前に分かっていたので、ヒートシンク、アンプといったモーター側の重量物は気持ちアウト側に寄せ、左右の動的なモーメントを均等に近づける努力をしています。実際の走行で問題になるのは、静止時のマスバランスではなく、遠心力や慣性モーメントのバランスですからね。実走行でも非常にクセのない走りでしたよ。(左写真は練習走行時の暫定仕様でヒートシンクも外しています)
コメントする場所がなかったのでここに書いておきますが、今回、アンテナはご覧のとおりバスタブ中央からサーボの前を回して、 バスタブ左側の上端を這わせて黒のビニールテープ止めしています。一見しただけでは、どこにアンテナがあるか分からないでしょ? コレで広いユザワヤでも電波の悪いROXでもノーコン皆無。ちなみに送受信機はKOマーズRとKR-301Fです。 電磁波を伝達するカーボンシャシーならもう少し配慮が必要ですが、通電性のない樹脂バスタブだとノーコンの心配はまずないので、 アンテナがモーター付近まで伸びても全然平気。
(1/12/2007更新)06年7月のタミヤGP規定の追加で、「アンテナは垂直に立ててボディ外に出すこと」という項目が 追加されました。なので、以後にタミヤGPに参加されえる際にはこのテは使えません!悪しからず
最後に、実走行後のモディファイについて2点。まずひとつ目は、右ドッグボーンの脱落対策。実は、筆者のマシンは少しでも舵角を確保しようということでサスアームのアップライトストッパーをキレイに切り落としていました。すると、ナゼか右側のドッグボーンばかりがわずか2、3周でポロポロ脱落。これには慌てましたが、よくよく見てみると、左に切った時はステアワイパーの先端がバルクに当たって余計に切れないのに対し、右に切った時はまだステアワイパーに余裕があって、これが外部からの衝撃で「カックン」と曲がり、ドッグボーン脱落につながっていることを発見。ならば、ステアワイパーが余計に切れないように、とバンパースポンジを押さえるパーツの軽量化で不要になった2mm厚程度の「板」をセンターシャフト脇に接着。これで万事解決。
もうひとつは、レース中に行った唯一の微調整、フロントギヤデフの固さ調整。神経質なハンドリングを心配していたので、当初は9mmワッシャーを3枚入れて、固めに仕上げていたのですが、どうもそこまで固くする必要もないらしい、ということで予選1回目、2回目と徐々に柔らかくしていきました。残念ながら今回は8人決勝となったため、決勝は走れなかったのですが、最終的にはほとんどノーマルに近いスルスルまで軽くしましたのでご参考まで。この間、ワッシャー3枚使うと、ドッグボーンとジョイントカップのガタがなくなり過ぎ、デフの作動を阻害することを発見。駆動には影響なかったので気付くのが遅れました。9mmワッシャーは2枚でやめておかないとダメ!ということなので、以後は皆さんくれぐれもご注意ください。
というわけで、とりあえず2003年版「RCTチューン」はおしまい!

12月に発売されるトーインリヤアップライトが普及し、タミヤGPでの重量&ギヤ比規制が新展開を見せれば、新たなセッティング方法論が必要となってくるかも知れませんが、とりあえずトーインリヤアップライトへの対応については前ページで触れておきましたから、十分対応できるでしょう(5/26/2004update: 2004年シーズンからTT-01の最低重量が1450gと50g増えましたが、ギヤ比は有利なままですし、トーインリヤアップライトがOKになったので、戦闘力は失われていないと思います)。なお、調整式アッパーアームについては無理に買わなくてもいいと思います(5/26/2004update: オプションで出たスタビライザーを使うなら必須ですが、スタビ自体、特になくても大丈夫です)。この辺はモノが出て評価が定着してから購入を考えても遅くないでしょう。では、皆さんこれからも大いにTT-01を楽しみましょうね〜!




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