(posted on Dec 25, 2002)
(updated on Jan 10, 2003)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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組み立てTips


素組みで十分にマトモ、なんて言ったら失礼なくらい良くできているマシンですから、
性能に大きく差がつくようなチューニングのポイントはほとんどありません。
(ネジ締め時の歪みや基本的なアライメント調整は当然気を配っている、という前提で)

とはいえ、いきなりこのキットでタミヤ製品デビュー、という方もいらっしゃるでしょうから
組み立て上、気がついたちょっとしたポイントをご紹介しておきます。

ユーザー待望のギヤ比表を公開!! 印刷してご活用ください

<1>シャシー「面取り」の実際

ハイエンドシャシーを何台も組まれているような方には説明するまでもないことですが、 カーボンシャシーはEvo3がはじめて・・・というような方のために、端的に図示しておきます。

面取り加工には写真のようにリューターがあると便利です(お薦めの機種があったら計測器・工具・電子工作BBSへカキコお願いします)が、 金物用の平ヤスリでも構いません。ポイントは、「カーボン」という非常に硬いものを削るため、 少々高価ですがダイヤモンドバイトを使うこと! でないと、スグにヤスリの目が減ってしまい、結局不経済です。

面取り加工をする目的は、シャシーを触ったときに手を切ったり、固定用のグラステープが切れたりしないよう(そのくらいレーザー加工されたカーボン板のエッジは鋭利です)カドを丸める、ということと、バラセルバッテリー搭載時の被覆チューブ保護&重心下げ、といったことがあります。また、シャシーの四隅はロールの際に擦れて、欠けたりすることがあるので、この写真のようにあらかじめ斜めに削いでおくと良いでしょう。

ただ、以上のことを認識したうえで、あえて面倒くさいから面取りをしない、という選択もアリです。「面取りしないと人でない」というような風潮は筆者はキライなので通常は面取りしていません。バラセル使わないし、走ってるうちに自然とシャシーのカドは取れますからそれでいいのです。このEvo3は「作例」なのであえて面取りしましたが、おかげで組み立てに1週間余計にかかりました。実にムダです(家族持ちは深夜作業できんので土日の日中にやるしかないのです)

やや見にくいですが、バラセルスロットはこのように大きく斜めに削ります。本当はこの写真では削りが足りないと思っています。実際にはバッテリーセルをはめ込みながらシャシー底面がセルとツライチになるまで削ればいいのです。リューターで荒削りした後に平ヤスリで仕上げをするとベターです。が、私にはカンケーないので「気持ち」が伝わる程度の加工でやめました(手抜き)。

すべての削りが終わったら、路面に擦った時の保護&微細なクラックの補強としてカーボン板の切断面に瞬間接着剤を流します。タイヤ用の低粘度がいいと思いますが別に何だって構いません。面倒なら「なし」でもいいです(筆者はいつもそうです)が、エッジが欠けやすくなるので念のため。面取りと瞬接流しをしてなかったという理由でシャシーを交換したことはいままで一度もない(その前にニューモデルが出ちゃうし)ので、経験上は特に問題は感じないんですけどね。

<2>バルクヘッドの出っ張り処理

これはごく最初のロットの問題だけなのかも知れませんが、筆者が入手した物を含め、入荷初日にキットを購入したユーザーが口々に話題にしたのが、この部分。いわく「ベアリングがキツい」と。

設計上の「仕様」として、バルク開口部側からセンターシャフト方向に向けて、ベアリング支持部を真円ではなく、ごくわずか楕円形に絞り込んだような形にして、柔軟な素材で成型されたバルクヘッド自体が、常にベアリングを外に押し出すような構造を取り、リングギヤのバックラッシュを「自動調整」するようになっているのだな、ということはちょっと仮組みすればスグに理解できました。
それはそれでいいのですが、問題は、成型品ゆえ「お約束」の「精度不良」か? と多くのユーザーが受け止めた事実でしょう。そりゃあ、「1510ベアリングを正規の位置まで挿入したら、ベアリングに押されてバルクが変形する」なんてのを、何の説明もなしに「仕様」として受け入れろ!っていうほうが乱暴というものです。誰だって目が点になります、あんなもん見たら(笑)。
果たせるかな、発売当初はネット上でも議論百出したようですね。もう落ち着いたようですが。

実際には、バルクヘッドが無加工のままですと、バルクヘッドA3部品(写真では左側)の開口部の開き方が不十分で、デフジョイントの1510ベアリングがスムーズに奥まで入りきらず、左上写真のとおり、センターシャフト側に「1mm程度の すき間」ができます。
この「すき間」は、もちろん成型品ごとに個別のバラつきがあり、なかには0.5mmくらいのちょうどいいすき間になる個体もあるようですが、いかんせん、実際に組んでみないと判断つきませんから出荷前の検品は難しく、結果として「当たり外れ」が出ることになります。

もっとも、タミヤHPの説明によると、「すき間が少ないもの」は現時点での管理基準ではむしろ「不良品」で、設計仕様としては「すき間1mm」を前提にしているフシがあります。実際には1mmもすき間が開くようなバルクだと、無加工ではベアリングの締め付けがキツ過ぎるようなんですが。

左写真(3枚目)のように、バルクヘッドのフタになるA4部品でそのままベアリングを押し込むと、バルクヘッド開口部があからさまに変形します。これでいいはずがありません。明らかにベアリングを圧迫して回転ロスを招いています。
その原因のひとつが、ベアリングの上下方向の頂点と接する「出っ張り」であることはひと目見れば明らかです。そこで、この部分を削りましょう。タミヤHPでリングギヤのバックラッシュがずれてギヤなめするとの異例の注意書きが出ましたが、出っ張りだけを削るなら、ベアリングの位置決めがズレることもなく、安心です。 逆に、この出っ張り部分以外を、特に前後方向に削ってしまうと、ベアリングの位置決めがメチャクチャになりますから、どーなってもワタシャ知りません!(笑)

上述のように、この対策はあくまでも「必要があれば」ということで、最初から1510ベアリングがバルクにスポッと入るようなら無加工でOKなのです。A3部品とベアリングの間に0.5mm前後のすき間があく程度なら、あとはA4部品での締め付けで調整できる範囲ですから、ヘタに加工しないほうがいいでしょう。
もともとA4部品の締め付け加減でリングギヤとセンターベベルのバックラッシュを調整する構造ですから、最初から「すき間」がなくなるほど出っ張りを削ってしまうのはむしろNGです。樹脂部品ですし、あくまで個別に、程度問題で判断しましょう。それと、フロントのワンウェイハウジングとリヤのデフハウジングは微妙に寸法が違い、設計上、フロントのほうがベベルギヤのバックラッシュが少なく、デフベベルが深くセンターベベルに食い込むようになっている(クラッシュによるギヤなめ防止のため)そうなので注意してください。つまり、出っ張りを前後同じように削り、一番奥までピッタリと1510ベアリングを押し込んでしまうと、リヤはOKでもフロントは「ギヤの回転が1箇所、引っかかる」という現象が生じます。「削りすぎ、締め込みすぎ」のサインですので注意してください。この現象は私も体験しました。幸い、ホドホドに削っていたので、フロント側バルクの締め付けを1/4回転くらい緩めることでベアリングの位置が開口部寄りに戻り、それだけのことであっけなく「引っかかり」の問題は解決しました。逆に言えば、バックラッシュ調整機構が完全にキャンセルされてしまうほど削られたバルクはフロントに使っちゃダメということです。
ちなみに、筆者が「出っ張り」を面取りした際には、このように通常よりもバイトの軸を伸ばして 反対側のベアリング支持部を「台」にして、リューターの回転数も1/3くらいに絞り、更に目の細かいヤスリとしてダイヤモンドバイトを選び、慎重に削っていきました。削り残しが少しでもあると、そこに引っかかってしまい、削った意味がパーになってしまうので、削り残しのないよう、注意しましょう。




<3>スタビボールエンドの締め込み

フロントのスタビ取り付けに使うボールエンドですが、これをキャップスクリューでキッチリ締め付けると、
ボールエンドがサスアームにメリ込み、動きが極めて渋くなります。締め付けはホドホドに・・・。脱落防止にネジロック剤を使って組んでおいたほうがいいと思います。

もしかしたらこのTipsは414WCRと共用のキット標準サスアーム(カーボン樹脂製でタップが立たないくらい硬い)では問題ないのかもしれません。ちなみに筆者は心変わりでやおらTA-04ノーマルサスアームを組み込みました。樹脂が柔らかいので問題になったのかも。なお、TA-04用サスアームはEvo3用としては一切無改造で使用可です。多少個体差はあるようですが、私のはアップライトとの擦り合わせも調整不要で文字通りボルトオンでした。TA-04SS用サスアームも付くはずですから、サスアームだけ交換してアウディTTボディを載せるのも楽しそう。

<4>フロントアップライトのバリ取り

ナックルのCハブとの擦り合わせ面に、とんでもないあからさまなバリがあります。これはちゃんと落としておきましょう。でないと、バリが擦りきれるまでずーっと舵残りするステアリングになってしまいます。

この部分は、金型の合わせ目の設計をもっとよく考えて欲しかったな。TA-04も含め、幅広く使われているパーツなので金型改修を望みたいところですね。



<5>フロントアップライトは上下に注意

TA-04/TRF414未経験の方は要注意!TA-04系のフロントアップライトは、上下で長さが違います。 キット指定の向きは写真および下の説明図のとおりです。「長いほうが下」です。
間違えると車高が上がってしまいますから注意しましょう〜!

フロントアップライトの向きは、将来のセッティング箇所として、「ロールセンター」の問題が出てきたときに利用できますよね。ただ、まずはキットの通りに組んで、挙動を確認してからでしょう。









<6>バッテリーホルダーのビス長に注意

「やってもうた〜」の事例を紹介。バッテリーホルダー(外側)の取り付けに、何気にチタン製の3×10mm皿タッピングビスを使ったのですが、見事に突き破ってしまいました。情けない。ここにはキット同梱の3×6mm皿タップを使うべきでした。
ただ、「軽量」がウリのEvo3ですし、グラステープ用の穴も開いているので、そもそもこんなパーツで 重くすることもないだろう・・・と思い、この後、バッテリーホルダーは外してしまいました。ついでに、見かけほどシャシー剛性に寄与していないセンターポストも外しちゃいました。重さを測ってビックリ! センターポストが約7g(ビス含む)、バッテリーホルダー部品一式(カーボン製プレート、キャッチピン、ビス含む)が約22g、計30gもの「重り」になってたんですね〜これが! こんなもん付けちゃいけません!<爆>。30gも車重が違うと、ピニオン1枚以上セッティングが変わってきちゃってエキスパート連中が提供するセッティングデータはまるで参考になりません。

Evo3はグラステープ止めのパックバッテリーでキッチリ1500g、コレが清く正しい姿でしょう、やっぱり。

<7>デフジョイント(短)はF201用と同じ

コレは現物合わせで確認するまで断言できませんでしたが、むむ〜と思ってよーく比べると、 写真右側のデフジョイント(短いほう)だけはF201の「軽量デフジョイント」そのものでした。 だから何なのさ! とツッコミ入れられそうですが、まあ、そういうわけなんでパーツ流用の際は もしかして何か役に立つかも。左側パーツだけ大量ストックして使い分けるとか・・・。


<8>アンテナはこんな感じで

さて2003年を迎え、ようやくふぇら〜り伊藤号も初走行にこぎつけました。めでたし! ここからは実走行に基く知見をフィードバックしていきますね。

まず、アンテナの取り回しですが、多少変更しました。
トップページにも掲載した、組み上げた当初のアンテナ取りまわしは、いかにも 「クラッシュしたらボディマウントからアンテナ線が引きチギられそう」だったのと 見た目もカッコ悪かったので、こんな感じに直しました。
これでも、360モデナボディのルーフに当たらない高さで収まっています。
気になるノーコンですが、面倒くさくてショッキーダイオードを付けていなかった23Tストック(ただしブラシはスタンドアップタイプ)、デッドポイントが出やすい晴海・東京レジャーランドのインドアコースで最初からまったく問題なし!コレならタミヤサーキットを含め、ほとんどのコースで大丈夫そう。

ちなみに受信機は最新だけどハイレスポンスは謳ってないフタバFP-R133Fです。ノーコンが出ないのは受信機の感度が上がった恩恵が大かな? マーズR純正の対応型受信機でないので純正の組み合わせよりもレスポンスは悪いかも知れませんが、特に不満はありませんでした。R133Fだって制御信号のピッチはR113Fなんかより詰められて、ある程度はレスポンスアップしてますしね。
<9>キングピンとホイールの間隔に注意

まず、最初の1パックで気付いたのがコレ。
あれれ、ボールエンドがホイールに擦れてらぁ・・・。

走行場所が晴海・東京レジャーランド(カーペット路面)ということで、 ヨコモのKスリック&ヨコモ製ホイール(オフセット0?)を使ったため、 こういうことが起きたのかも。
いずれにせよ、オフセット0のホイールを使う場合には、 コーナリング中の横Gによるホイールのヨレも考慮して、写真のような厚み1mm程度のスペーサーをはさみ、十分なクリアランスを確保しておきましょう。

ホイールハブ用のスペーサーは、タミヤからもoptで出ていますが、そういうものが入手できなくても、ホームセンターや金物屋でいくらでも売っている、汎用ネジ用の4mmワッシャーでいいのです。スチール製で十分ですが、探せばアルミ製もありますよ。
1mmのスペーサーをかませた後のクリアランスはご覧のとおり。こんな感じであればOKです。

なお、ボールエンドの擦れ方をよく見ると、「引き」側、すなわちタイヤが「イン側」にあるときにだけ 当たっているようです。そうか、横Gがかかってタイヤ上半分が内側に傾くのはイン側ですものね。


<10>リヤスタビ不要?

旧「TB分会BBS」でコメントしていたとおり、前後サスのバランスとしては、やっぱり前=黄色バネ+黄色スタビ(標準セット)、後=赤バネ&サスアームのダンパーピボット内側を使用、というのがちょうど良いようです。
もちろん、23Tストックで、カーペット路面で、という前提ですから、路面やパワーソースが違うとまた見直す必要はあるかも知れませんが、ひとつの基準にはなりそうです。

リヤのスタビについては、当初から赤(ソフト)をつけて走っていたのですが、どうもタイトコーナーでパワーオンするとリヤタイヤが落ち着かず、流れやすいという問題がありました。高速コーナーは安定していたので当初は気に留めていなかったのですが、通過速度の遅いコーナーで脱出を早くしようと早めにアクセルオンすればするほどズルズルとテールが流れます。低速での挙動ゆえコントロールは難しくないので、気に留めない人もいると思いますがこのままではタイムは絶対に出ません。他の人と走ればすぐに脱出速度の差に気がつくでしょう。

原因は、どうやら、万人向けの安定性を確保するため「3.0度」(=アップライトで2.0度+サスブロックで1.0度)と強めのリヤトーイン設定(キット標準)とスタビのアンバランスにあるようです。強めのトーインがついたタイヤでRのキツい低速コーナーを走るとタイヤのドリフトアングルが過大になりやすく、トラクション抜けが発生しやすくなるという理屈です。そこに、スタビの影響がプラスされるのでますますトラクション抜けが助長されてるというわけです。リバウンド3mmも与えているのに、です。

強めのトーインの問題は、Rが緩く、ドリフトアングルが小さい高速コーナーでは表面化しません。ワークスが国際格式レースで走るような広いコースなら、もともとタミヤGPの仮設コースのようなRの小さいコーナーはまずあり得ないので、話が根本的に違ってきます。谷田部アリーナや掛川、タミヤサーキットなどではキット標準のトーインで快適だと思いますが、このセットアップのままROX3やガーデンふ頭、海遊館などを走っても、ヘアピンでケツが流れてタイムは出ないと思います。狭いコースで過大なリヤトーイン設定は再考の余地がありそうです。

そんなことを考えながら、今回の走行ではリヤスタビをだんだん弱く設定していき、最後は片方のスタビエンドを外して暫定的にフリーにしてみました(完全に外すと、また戻す時の調整が面倒ですから)。スタビレスとなったリヤサスは、最後までよく粘るようになり、結局、これが当日のベストになりました。この寒い時期、フロントをもっと柔らかくしようと思ったら、やはりリヤにはTA-03用バネが必要になりそうですね。

<11>リヤトーイン変更で挙動激変

ところで、リヤタイヤにトーインをつける意味って、ご存知ですか?
タイヤというものは、進行方向に対して少し斜めにかかる応力(ドリフトアングル)があってはじめてコーナリングフォース(踏ん張る力)が発生します。トーインがある、というのは、直進状態ですでにある程度のドリフトアングルが与えられている状態なわけで、トーイン0のクルマが「曲がってはじめてコーナリングフォースを得る」のに対して「既に発生しているコーナリングフォースが(ある程度まで)ますます強くなる」という形になるのでグリップ感(そして実際のコーナリングフォースも)が高まり、安定性を得られるのです。感覚としては、飛行機の主翼の上半角とよく似ていますね。

ただし、過ぎたるは及ばざるが・・・ということで、あまりにトーインが大きすぎると、実際にコーナーに入ったときにドリフトアングルが過大になり、特にゴムタイヤの場合はトレッド面がヨレて路面から剥離し、急激にグリップを失う事態につながりますので「最適値」の問題が生じるわけです。

実際に設定を変えてやってみると、リヤのトーイン設定は、一定のしきい値より大きくなると急激に挙動が安定する印象です。つまり、中途半端につけても意味がなく、ある程度メリハリをもった設定がキモです。具体的には、やはり2度程度は必要で、1.5度だとかなり効果が薄れる感じがします。1度くらいだとつけてる意味がないです。高速コースでは、少しでも転がり抵抗を落とそうとリヤトーインをなくしたい誘惑にかられますが、「ワールドドローム」のような最高速競争をするのでもなければ、トーインはあったほうがいいです。トーインがなくなると、高速コーナーでのスタビリティや直進性が極端に悪くなり、結局思い切ってコーナーを攻めることができず、タイムが逆に落ちてしまいます。

ただ、上の<10>でも述べたように、もともとEvo3のキット標準の設定では、アップライトで2度のトーインがあり、それにさらにサスブロックで1.0度(Cブロックをリヤに使用)増強して計3.0度のトーインを得ています。これ、ちょっと考えたのですが、タミヤのメーカーポリシーとして、入門者がこのキットを手にすることをどうしても考慮せざるを得ないなかで、されども昔のようにシャシーに「誰がどこで走らせても巻かない、強固なアンダーステア特性」を織り込むといったマネは今さらできないので、リヤトーインを強めに設定して安定性を確保している、ということなのかなと感じました。つまり、腕に覚えのあるドライバーにとっては、コースレイアウトやパワーソースによってはリヤトーインがキツ過ぎる可能性がある、ということです。

実際には、左写真に見えるサスブロック「C」に変えて「A(0度)」ないしB(0.5度)を使い、トーイン2〜2.5度、というのがちょうどいいかも知れません。トーインをもっと減らしたければ、TA-04用のノーマル、またはハードタイプのリヤアップライトを使えば、アップライトのトーインは1度になりますから、あとはサスブロックの分だけで0.5度刻みで調整できますよね。仮設のものすごく小さいコースなら、高速のスタビリティよりも回頭性とタイトコーナーのトラクション重視でトーイン1.5度(Bブロック使用)というのもアリかも知れません。でも1.0度はちょっとどうかな・・・。

<12>リバウンドはとりあえず多めで

もともと重心が低く、マスの集中化も進み、ロールしにくいシャシーですから、リバウンドストロークは多めに取れます。むしろ、リバウンド不足で本来のメカニカルグリップを得られないほうが不幸です。切り返しがモタつくといったデメリットが目立たない限り、「リバウンドは多め」が鉄則ではないでしょうか。

実際、シェイクダウンの1パック目は素組みのままで、車高もリバウンドも全くチェックせずに走ったのですが、なんと、車高は前6mm、後8mm、リバウンドは前後10mmくらいもありました(恥)。TA-04など従来のクルマならまったくダメだったろうと思いますが、そんな状態でも問題なく走ったのには驚きです。もちろん、すぐに車高は前5mm、後6mm、リバウンドも前2mm、後3mmくらいに修正しましたが、これで走りが特に変わった様子はありませんでした。モディファイドの、もっとインセインなモーターで走らないと違いが出てこないかな。逆に言うと、車高やリバウンドの設定がかなり雑でも、スポーツクラス規定程度のパワーなら難なく受け止めてしまう柔軟性がシャシー側にある、ってことなのでしょう。恐るべし。
写真は準備中
<13>キャンバーは控えめに

昔、TA-01〜03の時代は、ロールが大きいシャシーゆえ、転倒対策としてややもするとネガティブキャンバーを強く付けてしまいがちでした。2度以上つけた時もあります。しかし、ネガキャンが2度以上になると、直進性が目に見えて悪化しますし、タイヤの接地面積や面圧がコーナリングの初期に急激に変わるので、いろんな意味で好ましくありませんでした。グリップ限界も下がるし。

しかし、バッテリー縦置きゆえ、もともとロールが少ないTBエボシリーズでは、キャンバーをかなり浅く設定できます。特にEvo3では、マスの集中が推進され、一段とロールモーメントが減少。フロントハブキャリアのキャスター角設定も「4度」と極めて少なく、全体的に、タイヤと路面の接触面積の変化を最小限に抑える方向に設計されています。
写真は準備中 したがって、ネガティブキャンバーは多くても1度が限度。1.5度はもう「付け過ぎ」です。ミディアムナロータイヤの使用と一般的なタミヤGPのレース速度を前提にすれば、通常は0.5度で十分でしょう。

キャンバーは、立てたほうがタイヤグリップの限界が上がり、初期反応もクイックになります。ただし、走行中はコーナリングフォースによるタイヤのたわみやシャシーロールにより、外側タイヤのキャンバーが自然と立ってしまいますから、通常はこのことを考慮して、あらかじめネガティブキャンバーをつけて補償しているわけです(自家用車ならともかく、オンロードのレースカーでポジティブキャンバーはあり得ません)

ただ、そもそもタイヤ全体が均一に磨耗する限りは、できるだけネガティブキャンバーはないほうが望ましいわけです。Evo3ではサスペンション設計のあらゆる部分から「ネガキャンを減らせ!」という声が聞こえてきます。くれぐれもネガキャンを付け過ぎてせっかくのハイグリップな走行性能を損なわないようにしましょう!


<14>4セル仕様でまったり楽しむ

バッテリーをグラステープ止めにしてしまえば、セル数の変更も超カンタン。軽量化になるし。
で、筆者のお気に入りは、ズバリ「4セル」。電圧が下がる分、 出力は3割程度落ちるわけですが、どっこい、バッテリー重量も100〜120g(つまり車重の8〜9%)も軽くなるので意外に遅くならないのです。でも、瞬間的な起電力は確実に落ちるので、加速がまったりします。23Tだと、まるでモーターを540か30Tに載せ換えたみたいです。でもモーター載せ換えよりバッテリー交換のほうがはるかに楽チンですよね。

なお、左写真の4セルパックは、レースで使う余地のなくなったタミヤの1700SCRCパックを2本バラして作ったもの。バラセルタイプ1組とストレートタイプ2組の計3組できあがり、という格好です。熱収縮チューブはイーグルやKOから、コネクターはイーグル、ABCホビーなどから出ていますよ。

軽いクルマ、少ない電気で走るわけですからモーターが熱くなりません。何パックでもガンガン連続走行できちゃいます。RCメカ(特にBEC電源を供給するアンプが重要)は今どきのものならほとんど4セルに対応してますよ。サーボも、私はフタバS9550という「6V指定のデジタルサーボ」でしたが、アンプ(KO・VFS2000)側に昇圧回路が入っているのか、しっかり電気は供給されていました。クルマが止まる直前くらいまで、ノーコンになることもありませんでした。ただし瞬間的な電圧低下を補うなうため、1000μF以上の大型キャパシタは必須でしょう。

ギヤ比は、厳密には変えたほうがいいですが変更しなくてもちゃんと走ります。つまり、バッテリーを載せかえるだけで、6セルと4セルで「2度楽しい」のです。バッテリーが重心付近に配置されている4WDマシンならではの芸当です。2駆ではこんなのはちょっとムチャでしょう。「もっとスピード!」という向きは、モーターをもっとターン数の少ない物、例えばダイナラン・スーパーツーリング(13ターン相当)とかにすれば良いのです。


気がついたことがあったら随時更新します。
何か新しい発見があれば、ぜひ RCTシャシー研究室「TB分会」までカキコお願いします!


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