(posted on Aug 16, 2006)
(updated on Aug 1, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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ポルシェターボRSR934レーシング
(Item 58001、1976年12月4日発送、定価9800円)


世界初の電動RCカーとして、RC模型の歴史に永遠にその名を刻む傑作
それがタミヤ「1/12 ポルシェ934ターボ」です。
そのすさまじい人気ぶりに、生産10万台を記念した限定モデル
「ブラックポルシェ934」が緊急発売されたほか、ユーザーサポートの一環として
発売翌年の1977年には「タミヤサーキット」もオープン、
今につながるタミヤGPの歴史も始まったのでした。
そんな記念すべきタミヤRC第1号モデルの一端をご紹介します。





2006年はタミヤが電動RCカーを発売して30周年に当たります。これを記念して、タミヤGPでは 参加賞として配っていた伝統のお約束「イベント毎に制作する記念ステッカー」を06年4月頃から取りやめ、2006年秋まで 06年8月からモデラーズギャラリー 等で販売が始まった「RC30周年記念ポスター」と同じ デザインのシールを配布しました。このほか、 モデラーズギャラリー等で歴代RCモデルを並べた記念展示を 行ないました。
25周年の節目を祝った2001年度には、 「タミヤRC四半世紀の記録」 といったムック本が刊行されたり、 タミヤサーキットで特別イベント 「クラシックRCカーミーティング」が行なわれたり しました。30周年となる2006年も、暮れに向けて5年前よりも一段とパワーアップした企画が目白押し。 出版物として「タミヤRC30年間全記録」が出たほか、 RCキットでも、TRF415ベースのシャシーに 新造ポリカボディをまとった特別記念モデル、 1/10ポルシェ934ターボなどが登場し、華を添えたのもまだ記憶に新しいところです。
そんな「タミヤRCの歴史」を語るうえで、やはり「原点」として欠かせないのが、この「ポルシェ934」でしょう。
RCTでも、かねてから「コレクション」に欠かせない1品と考え、折を見て キットやパーツを収集してきました。しかし、さすがに発売後30年も経ってしまうと、 オークションでの出品も非常に限られ、レストア用のパーツもなかなか出てこないのが現状です。
今回、撮影に用いている個体は、2001年頃にデモ走行用にと取得していた、 バラパーツと再販プラモデルキットから組み上げられた不完全なセットです。走行用なので、934オリジナルの プリント基板式変速スイッチと360モーター、単2電池ボックスは、 現在でも入手が比較的容易で性能アップにもなる2段変速スイッチ(sp.10)+380S+カドニカホルダー(sp.13)に 変更しようと考えていたところ、たまたま最初からこれらのパーツが装備されてない個体を安く取得できたのでした。

この個体で唯一コダわったのは、バラパーツとしての入手が極めて困難(ほぼ絶望的)で、934の最大の特徴でもある「針金バンパー」。 コレは展示しても目立ちますしね。934がABSバンパーじゃあコレクションとしては価値半減ですからね。
今となっては、オリジナルの変速スイッチや360モーターまで未使用状態で揃った個体だと、組み立て済みであっても 10万円前後、未組み立てなら20〜30万円程度まで評価されるはずです。何しろYahoo!オークションでは 934の変速スイッチ(アフターサービス扱いの未使用パーツ)だけでも1万円くらい、 ABS樹脂製のRC純正ボディは2〜3万円程度での取引実績が過去にありましたから。

ボディに関しては、今回の撮影モデルのように、プラモデル版から製作するのも一考の余地ありです。 同じ金型を使っているため互換性があります。プラモ版のほうが万一破損してもリカバリーが効くので気が楽ですしね。 ただし、スチロール樹脂製で強度はやや落ちます。1997年に再販されたキットの定価は7500円ですが、 在庫している店はまだまだありますし、RC用より大幅に安く手に入るのは魅力です。ゴミを沢山出してしまいますけど(苦笑)。
まさに「クラシックポルシェ(というほど古いわけでもないけど)」の風格漂う、ポルシェらしいフォルム。
今から考えると何でだか良く分かりませんが、このどう見てもカエルっぽい、可愛いらしさもあるフォルムに秘めた凶暴なパワーに、 多くの男どもが理屈抜きにシビれたものですよね。時はスーパーカーブーム真っ盛り、 山口百恵「プレイバックPart2」も大ヒットしつつ・・・。

当時はお小遣いが足りなくて手が出なかった往年のRCエンスーの多くが、大人になって、「このカタチ」との再会を願っていた わけですが、その「夢」は1996年に 「タイサンスターカードポルシェ911GT2(Item 58172)」として結実しました。めでたし!
その後も夢はさらに続き、30周年記念モデル 「Item49400ポルシェ934ターボ」および 「タムテックギア・ポルシェ934ターボ」として蘇ったことは皆様ご存知の通りです。
現代の複雑な構造の四駆ツーリングカーシャシーを見慣れてしまうと、「ハァ?」と目が点になりそうなくらい シンプルなシャシー。コレが30年前に9800円もした!・・・んですよねぇ。当時は、素材は割高で加工技術も限られてましたし、 見込める販売数量も今の1/10〜1/20くらいだったでしょうから、生産・販売効率も悪かったでしょうしね。人件費は安かったけど。

RCカーって、実は「卵」と同じくらい、不断のコスト低減努力でインフレと闘ってきた商品でもあるわけですね。
良く知られた話ですが、このRCポルシェ934、そもそもは社運をかけて売り出したスケールモデルのプラモデルキットの 販売が振るわなかったことが商品化の発端でした。生産数量を稼いで早期に金型代を回収するため、 「ボディ売るためのRCキットを作れ!」と急遽、企画されたのだとか。そんなコトとはツユ知らず、私たちはホイホイと 世界中で10万台以上もキット買っちゃって、大いに楽しんだわけですが・・・。 世の中って、何がどう転ぶか、本当に分かりませんね。

このボディがスケールキットだった「名残り」がこの写真。実はこのボディ、スケールモデルとして作ってしまうと、 ご覧のとおり「ドアが開く」んです(笑)。このアングルから見たら、誰もコレがRCだなんて思わないでしょう?
ミニッツレーサーもビックリですねきっと(爆笑)。
RC用としてはクラッシュでドアが脱落したら困りますから、RCキットの取り説では、当然に補強のプラバンを追加して しっかり接着するよう指示されています。 ところが作例では、この個体を譲ってくださった方がプラモの説明図を見て製作したのでしょう、 プラバン補強は一切入っていませんでした。 何度か開けているとヒンジが割れてきたので、写真撮影後に完全に接着し直しました。

でも、展示用としては、ドアが開くってのも面白いかなと思いました・・・。最近のRCメカは小型化が進んでるし、 バッテリーも1200mAで良ければ、タムテックギア用のニッケル水素パックとかリチウムポリマーとかが使えますから、 この際、スケールキットからダッシュボードとかも転用してやれば、 結構、見ごたえのあるRCカーが出来ちゃったりして・・・なんて思わずにはいられません。そのうち、やってみましょうか!?
ヒンジは1976年当時の設計ですから、今の水準から考えると相当ヤワな設計のようです。動きも滑らかでないですし。 まぁRCモデルには無縁な部分なんですが・・・。

ビッグスケールモデルなので、サイドシルとかもきちんと再現されています。RCボディとしてはこういう部分が全部隠れてしまうので もったいないですね。エンジンやラジエターなどの補器類パーツもそうなんですが・・・。

前後のランプ類も今どきのドリフトマシンのノリで 各種LED&電飾ユニットをメいっぱい仕込んでやると、かなりイケそうな感じですよね〜。う〜、俄然作り直したくなってきたぞ(苦笑)
ボディ裏側はこんな感じ

当時、既に「麦球(むぎきゅう)」というのがあって、要するに超小型の豆電球なんですが、 コレで電飾ができてました。色も各種ありましたし。 ただ、麦球って寿命が非常に短くて・・・。耐衝撃性も悪かったし。

ソレが現代に蘇ったのが「高輝度LED」なわけなんですが、ヘッドライトはクラシックカーには 電球のほうがリアルな色調で良さげですが、ウインカーやブレーキランプはLED良さげですね。
ボディのキャッチピンは、当時、最も吟味されたパーツだったのではないかと思います。 とにかくスケール感を壊さないように、かつ、ボディをしっかりとシャシーと結合して、キャッチピン取付部の 剛性も十分に確保しないといけない、という。結果として非常にシンプルな構成に仕上がっていますが、 これを当時考えついたのはすごい、と今でも思います。
キャッチピンの仕組みは非常にシンプル。ボディ側に装着されたキャッチピン金具の先端が シャシー側の切り欠きを貫通して路面側に突き出し、ここにピアノ線で作られたキャッチピンを 差し込んで止める、というもの。様々な幅のボディに対応することが想定されていました。 デメリットとしては、路面に擦れてキャッチピン金具の穴が開いてしまうこと。 タイヤがスポンジタイヤになると車高が下がるようになったので擦れやすくなり、 特に、後の「競技用スペシャル」では大きな悩みになったものです。

とはいえ、構造がシンプルでメリットも大きいこのキャッチピンシステムの考え方は、 シャシーごとに金具形状の変更を受けながら、結果的にはバギーモデルを除いてほぼ全ての 樹脂製ボディに採用されていったのでした。
シャシー素材は、筆者の記憶が確かなら2017材、いわゆる「17Sジュラルミン」です。 水分がつかなければ錆びにくい素材ですが、指紋など皮脂が付くとそこからまだらに錆びてしまうので、 写真撮影の前にタミヤのプラモデル用コンパウンドで磨いてみました。昔、アルミダンパーのアルマイトを落として バフがけ仕上げにするのにも同じテを使いました。一度磨いて表面が滑らかになると、 余計に錆びにくくなるようです。



リヤウイングと一体のテールゲートも、ヒンジが付いていて、意図して組めば「開閉可能」になってしまう勢いです。







このページは、タミヤRCカー専門サイト「RC_Car_Trend」が提供しています