(posted on May 19, 2005)
(updated on Jun 14, 2005)
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Ferrari 312T3 (2)





ギヤ比表

サンワ141HR(準備中) さてそれでは「1996〜97年当時の最先端仕様」のF103がどんなものだったか、細部をご紹介して行きましょう。

まずサーボなんですが、当時はレース用ミニサーボと言えば、サンワの「141HS」または改良版「141HR」 というのが相場でした。フタバからもスペックが酷似した「S9602」がずいぶん後から出ましたが、 当時は事実上141HRが「業界標準」で、筆者も愛用してました。

作例で使っているのは2000年前後に出たKOのデジタルFETサーボ「PDS-947FET」 なんですが、F103が引退してから試し買いし、眠っていたのを 今回のイベント参加に合わせてようやく積み替えたものです。価格的・性能的にはフタバS9650と直接バッティング するわけですが、択一を迫られたら、やっぱりS9650のほうがお奨めです。
グラステープ補強(準備中) そう言えば、サーボの搭載方法にも説明が必要ですね。
F103の場合、キット標準ではポリカ成型品のサブフレームに両面テープ止めして、倒立でマウントする方式が指定されています。 しかしこれでは重心は上がるわ、間にサブフレームが入るので重くなるわ、取り付け剛性は落ちるわで「最悪」です。 というわけで写真のように「両面テープで直付け」というのがエキスパートの間では当然の慣わしでした。 F103ではサーボを横置きにするとネジ止めできませんからね。

ツーリングカーのようにキックバックトルクが大きいわけではないので、このままでも十分なんですが、気になる人は グラステープで追加的にグルグル巻きにして補強していました。また、両面テープの選択が結構重要で、筆者はタミヤの 耐熱両面テープを好んで使っていましたが、この他にはヨコモの「Dr.中松両面テープ」とかが好評でした。もちろん 貼り付ける際には、溶剤で接着面の油分を取り、ある程度(できれば20度以上)の接着温度を確保して作業するようにしましょう。
タイロッドのセンター出し(準備中) なお、横置きする際には、当然ながらサーボの出力軸をセンターに置いて左右の舵角が均等になるようにします。また、 適切なアッカーマンを得るため、できるだけサスアームに寄せてサーボを取り付けます。こうしておけば、サーボホーンの 止めビスが緩んでサーボホーン脱落、といったトラブルもなくなるので一石二鳥です。

また、サーボの上には、アンテナをボディの外に出さないためのボビンと、トランスポンダーステーが両面テープ止め されています。この仕様で国内最大級のインドアサーキットである日本橋模型NRCサーキットを走行しても 特にノーコンなどは発生しませんでした。F1シャシーに関するアンテナのボディ内収納は、もう10年来の経験を積み重ねている のでそうそう簡単にノーコンは出しません。
ポンダーステーは、タミヤGPの計測器が赤外線式だった94年頃まではボディに大穴を開けるしかなかったのですが、 95年頃からAMBに切り替わり、ポリカボディの切れ端で自作したステーで発信機を内蔵する方式が主流になりました。 写真はF201用ボディから切り出したモノですが、基本的な形状は当時のままです。

ポルシェ956〜ロードウィザード〜F10x系と継承されてきたキングピン式フロントサスですが、F103では、最新の1/12マシンの設計トレンドを踏まえ、 スプリングをキングピン外側にアウトボードする方式に変更されました。これに伴ってキングピンがF103専用品として新設計されています。 F101/2用キングピンとの互換性はありません。スプリングをインボード化すればF101/2用キングピンも使えますけど。
F103用キングピンの狙いは、スプリング交換の簡便化です。「実戦的」だと。ただ実際には、 optで3種類設定されていたスプリングのうち、「使える」のは1種類のみだったのでほとんど無意味でした。 540/ジョンソンなら金(ミディアム)、ダイナランストックなどハイパワーモーターなら黒(ハード)で、これ以外に選択の余地はありません。

その「理由」は、走れば誰でも納得するはずです。筆者も何度もしつこくあれこれ試しましたが、結局、 これ以外の選択だとバランスが悪くてタイムが出ないのです。これは当時ほとんどのエキスパートが同じバネをチョイスしていたことからも確かです。 もちろん、中にはアソシの1/12用のバネとか使ってた人もいるんですが、ローカルレースはともかく、タミヤGPでは反則でしたからね。
なお、このスプリングはすぐヘタるので、アップライト下側に3mmワッシャーを1枚かませてプリロードをかけると同時にキングピン位置を 0.3mm程度上げています。実車F1がミリ単位の車高設定をしているのと同様、RCのF1では0.1mm刻みの車高設定とテンション調整が必須です。

タイロッドは、プッシュロッド風に角度を付けて、アップライト下側にピロボールを取っています。実はコレは筆者独自の工夫で、 一般的ではありません。通常は上からピロボールを取ります。筆者がこのようにしている理由は、サーボセーバーとの関係を 気にしているからです。サーボが回転すると、セーバー側のピロボール位置が下がります。すると、 セーバーとアップライトのピロボールの高さ関係がステアのフルロック時に逆転してしまうので、そうならないようにしている、というわけです。要するにバンプステアをある程度意図的に作って コーナリング中、特にGがかかっている旋回中のアッカーマンを積極的に弱めて「より曲がる」ジオメトリを取っているわけです。
ただ、コーナリング中の失速が大きいなどのデメリットもあり、コレがベストだとは思っていません。 当時の筆者のドラテクに問題があり、仕方なくこのようなセットアップをしていた、というのが当たりでしょう。

ちなみに、サーボセーバーも大きいほうを使っています。一般には小さいほうが好んで使われていますが、筆者はステアの動作速度と サーボ動作量(=角度変化)を減らす観点から大きいほうを選んでいます。

フロントアップライトにホイールを組み付ける際には、0.3mm程度のシムをベアリング部分に挟んでベアリング(サイズは850です)とホイールナットの ガタを取ります。当時はタミヤからこうしたシムが出ていなかったので、どうしてたかというと、「デフ用の皿バネ」を凹状にセットして 使っていました。もちろん「タミヤのパーツ」だからタミヤGPでもOKだったわけです。

この処理、普段は面倒くさいんでめったにやらないんですが、やると、やはりステアリングのダイレクト感が増します。 筆者は日本でカツカツのトゥエルブをやった経験はありませんが、実はトゥエルブあたりではこの程度のガタ取りは当たり前なのでしょうね。
さて、ここでちょっと「ひと休み」して、312T3ならではのTipsをひとつ。

実は、F10x系シャシーは、312T3のベースとなった第2世代のF1シャシーより、ホイールベースが10mm程度 短くなっています。リヤタイヤの径は変わらないので、その分だけフロントタイヤを後ろに下げないと ボディがフィットしないわけです。

そうすると問題は、フロントタイヤとサイドポンツーンとの干渉です。当時のF1はウイングカー時代。 サイドポンツーンがメいっぱいのサイズなので、ステアをフルに切ると干渉してしまうんです。 スポンジタイヤなら、タイヤ径を落とせば簡単にクリアできる問題なんですが、312T3の復刻キットでは 「ゴムタイヤ」が標準です。ですからタイヤ径はいじれません。さてどうするか。
ボディは既にキットの指定よりもかなり深く切り落としてあるんですが、それでもダメなので、 着目したのは、ルマン(LM)ボディ向けのフルoptシャシーとして販売された「F103LM-TRF」(99年12月発売)のために 新たに作られた「ワイドトレッド仕様トレール付きアップライト」です。 (こちらも参照してね) コレを使えば、トレッドが片側で2mm広がりますから ゴムタイヤのアンダーステアの改善にも役立ちます。

写真は、2000年のモデラーズギャラリーで特売品として発売された特製セットですが、結局、カタログ商品には ならなかったので、入手するにはop.259のトレール付きアップライト(650円)を入手し、 別途、ロングタイプのアップライトシャフトのみを別途カスタマーサービスから取り寄せなくてはなりません。 05年5月現在、部品番号9805633「F103LM-TRFアップライトシャフト(2本)400円」として入手可能ですので、 気になる人は試してみてください。

さていよいよ今回のハイライト「メカ積み編」です。

渋谷トップサーキットの常連さんには懐かしの「自作なんちゃってハイエンドCPRユニット」のお出ましです!(笑)。 中身は、キーエンスA-01アンプ+フタバFP-R113Fです。両方ともケースを外して、そのまま抱き合わせると当然ショートしてしまうので、 受信機だけ一度熱収縮チューブを巻いて、A-01の上からもう一度熱収縮チューブを巻いています。これは、当時の渋谷トップサーキットで 常に北澤ひでろ〜選手(現:フタバ)とトップ争いを繰り広げていた「東大くん(ホントに東大生だった)」と呼ばれていた方の発案で 当時、けっこう内輪で流行りました(笑)。遠征に行くと、一様に驚かれたものです。そりゃそうですよね。「受信機どこにあるの!?」って感じですものね。 重心を落とすため、通常ならメカは寝かせて積むものですが、それでは見た目がゴチャつくし、マスが重心に寄らないし、 だったら、立てちゃえば? という単純な発想ですが、実例を見ないとなかなか実行できないものですよね。
このレイアウトのキモは、このコネクターとアンプの絶妙な位置関係の処理です。残念ながら筆者の作例は「東大くん」がやっていた 職人芸的な精緻な仕上げには程遠いものですが、イメージは伝わりますよネ? 当時はアンプのスイッチも総じてコードが長く、スイッチ自体も大きかったので、秋葉原で気に入ったスイッチを買ってきて 自分で交換してました。RCのスイッチでトグルってないでしょう? もちろんアンプのコードも自分で短縮加工しています。 そういうちょっとした「さりげないカスタマイズ」も 当時は結構、楽しんでました。なにしろクルマの構造がいまのツーリングカーとは段違いに簡単ですから、 「手間をかける場所」の着目点が全然違ってたわけです。
ちょうどこの時期から、ノーコン対策としてアンプに小さなキャパシタを追加するようになりました。 1995年前後の話です。96年暮れに登場したノバック「サイクロン」には、当時としてはかなり大きい500μF程度の キャパシタが標準添付されていたことをよく覚えています。このA-01のキャパシタもマイナーチェンジ後から 同梱されるようになったと思いますから、1995〜6年前半頃の話です。

実は、A-01のBEC電源はたった1Aしかありません。 ニッケル水素への移行の過渡期である今でこそ、BEC電源の電圧低下による「瞬間ノーコン」は良く知られる現象になりましたが、 当時は大放電特性の良いニッカドのみの時代、電気バカ食いのデジタルサーボもありませんでしたから、BEC電源の容量不足なんて 誰も気に留めてなったわけです。しかし、ハイパワーモーターを付けるとテキメンに出てしまったようで、その 対策としてキャパシタが付いた(装着は任意)、というのが実際のところだったのではないかと推察します。

なお、この当時、モーターケーブルについては思想が2分されていました。ひとつは、電気抵抗の削減を主眼に 13GA(ゲージ)程度の太い線を使う人。もう一方は、Tバーなどリヤセクションの動きへの干渉や重量増加に配慮し、 16GA程度の細い線を使う人、でした。筆者はもちろん後者です。使っているのはKOのシリコンコードです。

F1のモーターケーブルはどうしても長くなるので、 太さは重要な問題で、16GAと13GAでは5〜10gくらい重量が変わってきてしまいます。パーツ点数が少なく、 1g軽くするのに心血注いでる世界でコレは大問題でした。ただ、バッテリーのキャパシティが年々増加し、供給されるパワーが増加していくなかでは 徐々に「太い派」のほうが有利になっていったのは間違いありません。自分がF1をやりだした1992年頃の1700EX(SCE)とジョンソン、 サンワ・スーパーボルテックス107アンプとかの組み合わせなら16GAで十分だったのですが、 究極の低抵抗を実現してしまったA-01アンプに1700SCRCないし2400RCというのにはいささか16GAはボトルネックに なっていたようです。ストレートで明らかに置いていかれるほどの差はありませんでしたが、1995年以降、F1では1回も 渋谷で勝てなかったのは「パワー負け」のせいもあったと思います。当時は理由が分からずかなり悩んでました(苦笑)。

さてメカ回りの話はコレくらいにして、ダンパー回りに話を移しましょう。上の写真は、これまた当時のシブヤで流行だった スーパーローフリクションダンパーの黒アルマイト化+TA-01/02用標準バネ(染め)、を示したものです。 黒くするだけでF103のイメージは一変します。やっぱり「オトナのマシン」はモノトーンでシブくキメたいものです(笑)。当時のシブヤにはこういった「真っ黒マシン」が 週末になると複数台、常駐してましたね。懐かしい。

もっとも、ダンパーのアルマイトはあくまで「ファッション」です。せっかく鏡面加工されたスーパーローフリのシリンダー内部を わざわざアルマイト加工で荒らしてしまうわけですから。ただ、実際には性能に全然関係ないんですけどね、鏡面加工なんて。 だから別にこの加工でラップタイムが落ちたとか、そういうのは絶対にないです。
フリクションプレートのポストは、後から出たバネ圧調整式のタイプに換装してあります。ただ、この換装も「現役引退後」の ことでして、現役時はオリジナルのキャッチピン留め式のポストを愛用していました。 バネ圧設定の定量化はノーマルのほうが簡便だったためです。ネジ式だとセッティングの再現が難しいですからね。 フリクションパッドも、現役時からノーマルを愛用しています。optのテフロン製は白というだけで却下!(笑) 徹底してモノトーン志向です。そもそも性能的に意味のある違いがほとんどないですから。

また、タイレル復刻版のページにも書いたとおり、 フリクションパッドには「何も塗らない」のが正解です。もし塗るとしても、 粘度の高いものはいけません。せいぜい1000番くらいのシリコンオイルでやめておきましょう。固いのを塗ると、テキメンに巻きます。
Oリング(準備中) ダンパープレートは、op.395「F103カーボンフリクションプレート(500円)」への換装ないしビスの皿加工を強くお奨めします。 理由はタイレル復刻版に書いたとおり、 「皿ビス止めしたほうが位置決め精度が高くなる」からです。皿ビスが黒いスチール製なのにも注目。 現役時にはメカプレートの3mmアルミナットやフロントの4mmアルミビス&ナットもしっかり黒アルマイトでした。 (センターポストも黒アルマイト作ったんですが、結局使ってません) まさに「ゴキブリ」。それがシブいんです! 分かるかなぁ〜?(笑)

また、何気に見落とされがちなTバーのOリングのセッティングですが、実はDDシャシー最大の「キモ」ですのでくれぐれも注意してください。 あまりに当たり前すぎて筆者もてっきり忘れてました(汗)。写真のように(F103ではなくF102の例です!) 「ガタが出ない限り極力ユルユル」が基本です。少しでも余計に締めると テキメンにコーナー脱出でグリップが抜けます。それをカバーしようとフロントグリップを逃がし始めると、入りアンダー出オーバー(いわゆる「アンダーオーバー」) のアリ地獄に陥ってしまいます。なので絶対、固めてはいけません! ただし重心が極端にリヤ寄りのCカーでは また別の作法があるようですので要注意。




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