(posted on Nov 17, 2004)
(updated on Jan 18, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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タイレルP34復刻版(2)





ギヤ比表

ところで、今回の復刻版(Item49154)のボディ、金型がオリジナル(Item58003)から修正されています。TA-03RSで復刻されたランチア037ラリーと同様、入れ子ではなくて型を溶かして修正したように見受けられますから、「オリジナル版ボディは催事限定品の在庫が尽きたらオシマイ」ということですよね。まぁ普通は復刻版ボディで用が足りるので、そこまで気にしないんでしょうが・・・。コレクターを自認する人にはそこまで気を配って欲しいかなと(笑)。

それではどこが具体的に修正されたのか? というと、

(1)ボディマウント
58003ではサイドポンツーン底部にキャッチピン取り付け用の2mm穴が開いていましたが、49154ではこの穴が塞がれ、代わりにボディ上面に4ヶ所、ボディマウント穴が設けられています。マウント穴はディスプレイ性を考慮して?薄皮を残しているので、オリジナル版に転用しても違和感ありません(リーマーで簡単に開きます)。
(2)アンテナホルダー
58003ではサイドポンツーン右側上面にアンテナ取り出し穴が開いてましたが、49154ではドライバー背後のすき間から都合よくアンテナが取り出せるため塞がれました。

以上です。実に細かい違いなんですが、ひと目で区別できるので、覚えておくといいでしょう。
なお、改修後の「49154版ボディ」を入手するには、復刻版キットを買うか、カスタマーサービスで「49154キットのスペアボディ」と指定して購入しなければなりません。カスタマーでは、キット復刻に先行して「催事限定」として発売した58003版のボディもまだ継続販売中(04年11月現在)ですので、ハッキリ区別して注文する必要があります。でないと入手後にボディマウント穴の位置決めで右往左往するハメになります。58003版にはマウント穴の「目印」なんてありませんからね。

上面からの写真。

F103RSシャシーをベースに、フロントサスアームとしてFRP製サブメンバーを組み合わせた構造ですが、オリジナルのF103に比べてフロントタイヤが後退しているため、ホイールベースがかなり詰まっており、重心が相対的に前寄りになっています。といってもフロントタイヤのトレッドが極端に狭いので、まるでフロントタイヤの踏ん張りが利かず、アンダーステアなんですが・・・。

なお作例では、いきなり妙なモーターとバッテリーが積まれていますが無視してください(笑)。復刻キットにはスポーツチューンと1700MPが同梱されています。タイヤは後述しますがキット標準の中空ゴム製(オリジナルキットと全く同じ)を装着しています。
ホイールベースの見当をつけるには裏側から見たほうが分かりやすいでしょう。バンパーとフロントサブシャシーを止めている2本の4mmビス、あれがオリジナルのF103のアッパーアームを止める位置ですから・・・。
メインシャシーは、optのカーボン製にしたいのはヤマヤマなんですが、最近は入手も大変ですし、カネもかかりますし、もともとアンダーステアが懸念されるクルマでもあるし、ということで、あえてキット素組みでFRP製です。

FRPは剛性が低くてヨレやすいし(直進安定性が悪くなる)、重量もかさむのですが、まぁノスタルジックな走行にカツカツなセッティングもそぐわないかな〜、ということで。一般のスポーツ走行にはこれでも十分です。重量的にも、最近はRCメカの小型化の恩恵でそんなにメチャ重い、ということにはなりません。1100gくらいで考えておけば十分収まります。
作例では、10年前に使っていたフタバのミニサーボ「S9601」を取り説の指示どおりの位置に装着。 ただ、改めて考えてみると、もっとアンプと受信機の位置を詰めてやれば、向きを逆にしてメインシャシーの上に載っかりますね、コレ。そうするとマスの集中が促進されてイイ感じになりそうです。

私は遊んでいたS9601をたまたま使いましたが、これ、トルクも2.3kgcm程度と細いし、速度も確か0.12sec/60度くらいしかないので、多少不満です。まぁ「遊び用」としては十分なんですけど。トルクの細いサーボは、ステアリング回りをカッチリ作れないので直進性が悪くなります。これからサーボを買うなら、フタバのデジタルミニサーボ、S9650をお奨めしておきますね。



既存のパーツを巧みに組み合わせたフロント回り。全く新規のパーツというのは、実はFRPのサブプレートとキングピンくらいしかありません。「RCカー作り続けて25年」のタミヤの蓄積の厚みを感じずにはおれません。

アップライトは第2世代のF1シャシーの競技用スペシャルモデル (ウィリアムズFW-07/ロータス79/ブラバムBT50)からずーっと使われ続けている インライン(トレール無し)タイプのアップライトを採用。 前2輪は、通常ならピロボール取り付けに使う部分が干渉するので、切り落として使っています。

このアップライト、もともとキングピンを3mmイモネジで止める仕様なので、その不要なネジ穴を活用して、 M-03シャシーなどにも使われている5mmピロボール(長)を追加し、前後をつなげています。 実に見事な処理です。確かこのアイデアって、2000年当時はまだご健在だった 「ひょっこり鈴木」さんの発案だったはず。もとはと言えば、2000年に復刻タイレルボディをF103に搭載した作例を 「ラジコンマガジン」誌の「ひょっこり鈴木の面白改造RCコーナー」で紹介したことが、復刻キット化のきっかけでした。
実はその後、RCワールド誌の編集後記を偶然読んで知ったのですが、確か2001年の秋頃だったか、鈴木さんは 急逝されてしまいました(突然死だったようです)。そういう意味では、このキット、 「ひょっこり鈴木さん追悼モデル」とも言えるものなんですよね、実は・・・。


80年代後半の第3世代F1シャシー(ロードウィザードF1〜ロータス99T)以来お約束となっている コイルバネを利用したフロントサスペンションシステムはしっかり踏襲されています。アッパーのFRPプレートが薄手なので、 クラッシュの衝撃でヨレてキングピンが外れそうなのと、磨耗でキングピンのガタが出やすそうな懸念はあるのですが、 特に不具合を感じるほどではないです。 しかし実は、この一見ベストに思われるキングピンサスのシステムがとんだ 「落とし穴」なので要注意です。詳しくは後で述べます。

写真をクリックすると大きな画面になります ホイールのベアリングの幅が合わないのでスペーサーを入れますが、キット標準で同梱されているのは、 まだ未確認ですがどうも58003キットでベアリングの代わりに使われていたアダプター(ホイルブッシュ)そのもののように見えます。 在庫があったはずはないし、当時は確か真鍮製だったはずですが、 今回新たに作ったのか、それとも他のキット部品の流用かは不明です。

ちなみにオリジナルの58003キットの取り説ではどうなっていたかというと、左図のとおりです。 4mm丸ビスをアップライトシャフトとして、そこに外径5mm/内径4mmの真鍮製カラーをかぶせ、内径5mmの ホイルブッシュを装着する按配でした。 あれれ、ホイールに付けるベアリングがないぞ?! ということに気が付きます。
そうなんです。実は初代「ポルシェ934」から「タイレル」までのオンロードモデルは、 当初フロントホイールにベアリングを仕込むことは想定されていなかったのです。 リヤはギヤボックスでシャフトを支持する構造だったのでベアリング付きのギヤボックスを別途販売することで処理していたんですが、 フロントはどうしようもなかったので、Item58005「ランボルギーニ・カウンタックLP500S」から 1150ベアリングと互換のオイルレスメタル(正確には、当時同梱されたのはホイール素材と同じABS製のプラベアリングでした) を入れるタイプに改められ、これが現在まで踏襲されています(90年代からのF10x/LM系は850にサイズダウン)
したがって、「ポルシェ934/935」は後発モデルのタイヤ&ホイールを転用すればフロントもベアリング化できたのですが、 「タイレル」は結局リヤだけしかベアリング化できないまま終わってしまいました。optスポンジタイヤの設定も後輪だけで、 ベアリング装着可能なフロントホイールとフロント用スポンジタイヤは発売されなかったのです。

結果、フルベア化が可能でスポンジタイヤも使える第2世代F1シャシー「リジェJS9マトラ/フェラーリ312T3」が78年11月から 順次発売されて以降、「タイレル」はあっという間にサーキットから姿を消してしまいました。 1980年には生産自体が終了。振り返ると、タイレルの「旬」の時期は1979年いっぱいの1年間しかなかったわけです。 意外に商品寿命は短かったんですねぇ。当時は筆者も子供だったせいか、その1年間がものすごく長く感じられましたけどね。
なお、フロント用スポンジタイヤ&専用ホイールについては、当時サードパーティーからは出ていたようです(ネットオークションで見かけたことがあります)。 「旬の時期」には都会のユーザーはそれなりに楽しめたわけですね。田舎では存在すら知る由もありませんでしたが・・・。


何だか写真と話が噛み合ってませんが、一連の写真は、復刻キット同梱のフロントゴムタイヤと、キットと同時に発売されたoptのブチルスポンジタイヤ(ソフト)の比較写真です。見落としがちですが、よーく見てみると、キット同梱のゴムタイヤのホイール、850メタルが入るように金型が改修されています。そう、オリジナルキットとは型が違うんです。コレクター要注意。そもそも成型色がオリジナルはガンメタ、復刻版は黒ですからひと目で分かりますが。
ただ、厄介なのは、復刻キットに先立って催事限定販売されたホイールです。これも成型色は黒だったのですが、この時点ではまだキット再販のための金型改修作業が始まっていなかったため、型はオリジナル版のまんまで、850メタルでなくブッシュ仕様です。また、型がオリジナル版そのものなので、金型のヤレで入ったバリもそのまま、90年代以降に入るようになった詳細な個別部品番号や製造年月の記録印もありません。実はオリジナル版を完璧にレストアするにはこちらのバージョンのほうがベター?なわけです。まぁそんな点にまでコダわるトリビアなコレクターはまずいらっしゃらないとは思いますが(笑)。もし「欲しい」という方がいらっしゃれば、多少の余分を持ってますのでご連絡いただければお分けできるかも。
催事限定再販ホイールセットはこんなでした。
これぞまさしくレア中のレアアイテム(笑)

今回いい機会なので、デモ走行用のオリジナルキットも
ジャンクパーツから1台組みあげてしまおうと、パーツを
「RCTミュージアム倉庫」から引っ張り出してきました。
準備ができたらこちらに別途アップします。
さて、optのスポンジタイヤのホイールにはもちろん850メタル/ベアリングが使用できるようになっています。スポンジ素材もブチルソフトということでバリ食いです。これなら安心してブイブイ走れます、万歳!

スポンジタイヤには写真のように、ベアリングとの干渉に配慮したパイプ型スペーサーが同梱されています。幅もキット標準の六角ブッシュとは異なります。トレッド変更はホイール側でやっているので、スポンジ用スペーサーとゴムタイヤ用ホイールを組み合わせるとガタガタになるので要注意。
optスポンジタイヤのもうひとつのメリットは、フロントトレッドが広がることです。 これで労せずしてアンダーステアが軽減されます。実際に走ってみても、ちょうどいいステアリング特性です。もし、ピクピクに感じるようなら、2輪だけゴムタイヤに戻すといいです。ごらんのとおり、トレッドが違うので見た目は悪いですが。

optのスポンジタイヤは、ありがたいことにゴムタイヤの直径に合わせ込んで加工済みです。ご丁寧に角落としのサンディングまでやってくれています。ですからいきなりフロントの車高が変わってしまうといったトラブルはありません。こんど05年1月に発売が決まったXB版ではスポンジタイヤがスペアタイヤとして標準添付されるそうですが「RC初心者」の方でも簡単にタイヤ交換してハイパフォーマンスな走りを楽しめると思います。
ただ、スポンジタイヤはゴムタイヤとは違ったノウハウというか、「慣れ」を要します。その最たるものが「タイヤ径の大幅な変動」です。これは中空ゴムタイヤではほとんど考慮する必要がない事項です。

スポンジタイヤは、構造上、ホイールが露出するまでは「どこまで削れてもタイヤ」ですから、タイヤ径がものすごく変わります。例えばリヤタイヤの場合、何も削らないで使い始めると70mmくらいですが、一般的な路面でのベスト径は55mm前後、路面条件が良かったり車高調整式ギヤケースを併用すれば48〜46mmくらいまで使えてしまいます。
そうするとお察しのとおり、「タイヤ半径=車高」が最悪10mm以上変わってしまうわけです。ツーリングカーではこういうことはあり得ませんよね。タイヤが前後四輪なら問題は単なる操縦性の変化だけなんですが、ここで「六輪」特有の問題が表面化します。フロント四輪が均等に接地しなくなってしまうのです。ちょっとシャシーが前後に傾いているだけで、すぐフロントの前か後ろの2輪が浮いてしまいます。

この問題は、オリジナル版にはありませんでした。フロントサブシャシーはキングピンによる4軸懸架ではなく、キングピンとは別の2軸で懸架し、前後方向の傾きに対してはフリーに動いたからです。このへんはオリジナル版の考え方のほうが優れているといえます。4輪懸架だと、一見、良さげなんですが、有効ストロークが短いし、リヤ車軸の高さ変化には極めて柔軟性を欠いています。まぁ、組めば誰でもすぐ分かります。
とは言ってもサブシャシーを2軸懸架に改造しない限りは「キットなり」にどうにかするしかないので、考えてみました。作例ではリヤのスポンジタイヤに55mm程度の小径タイヤをあてがい、車高が若干リヤ下がり気味だったので、フロントタイヤの前後の標準位置を微妙に「前上がり」に調整してみました。また、フロントサスのストロークを増やす工夫も盛り込みました。

具体的には、キングピンを位置決めするアッパープレートの締結ナットをちょっと工夫します。まず、後ろ側の前輪2輪に、写真のとおり3mmワッシャーアッパープレート下に追加して、標準のアップライト位置を前側の前輪より0.5mm程度持ち上げます。傾きの関係で車高は1mmくらい変化します。これでほぼ前輪4輪が均等に接地するようになりました。ただし、この調整はケースバイケースです。リヤタイヤがデカくて前下がりな車高設定の場合はワッシャーの入れ方は逆になります。
また、ナット自体も見直しています。キット標準でアッパープレート下のアルミスペーサーの固定用に指定されているスチール3mmナットは薄手のタイプ(写真左側)です。これを右側のような標準的な厚みのナットに交換することでアッパープレートの位置が1mm程度上がり、サスストロークが稼げると同時にフロント側の車高下げにもなります。もともとストロークが3〜4mmしかないので1mmの差は大きいです。作例では軽量化も狙ってoptの3mmアルミナットを使っていますが、カツカツしたクルマではないのでスチールの標準ナットでも同じことです。お試しあれ。
ステアリング回りはタイロッド・サーボセーバーともキット標準のもので十分。あえてターンバックル化する必要はありません。タイロッドに関しては、むしろガタはターンバックル化するより少ないくらいなので、RC・F1ブーム絶頂期の10年前はあえてノーマルを好んでいたエキスパートもいたくらいですから。

ただしアップライトのピロボール取り付けに関しては、キット指定の「外側」ではなく「内側」にしておきましょう。キット標準位置では舵角不足になるからです。
これは考え方の問題ですが、入門者だからといって舵角を減らしておくと、クルマが曲がらないのが前後タイヤのグリップバランスのせいかどうか、非常に見分けがつきにくくなります。また、狭いところで運転するには、十分な舵角がないとバック入れを余儀なくされてしまい、かえって面倒です。ハンドル切れ過ぎはプロポ設定で減らせますが、足りないものを増やすことはできませんから、最初から多めにしておけばいいのです。

F1シャシーは低くて幅も狭く、サーボ配線の取り回しには注意が必要です。ブラブラさせていると路面に擦って断線してしまうこともあります。筆者の場合は、このように両面テープで配線を仮止めしています。白だと目立つので黒いテープと、色にも気を配ると、カッコ良くなりますよ!




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