(posted on Jan 31, 2009)
(updated on Feb 2, 2009)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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DF-03Ra・RCTチューン(2)





さてここからはシャシーのご説明です。

DF-03Raは標準でフルベアリング仕様、センターシャフトはアルミ製、 デフも前後ボールデフ、ピニオンもハードスチール(05モジュール)、ダンパーもCVAですがオイル入り、 プラ部品にもグラス混入ナイロンを多用、 とマテリアルや装備のレベルが高く、ムダがとにかく少ないです。スズキSX-4やBMW・M4などの ショートホイールベースボディに合わせてホイールベースを6mm詰めることができる 交換用リヤサスアームも最初からキット標準のパーツになっていますし。 ことタミグラ参加に限って考えれば、タイヤもラリーブロックなのでラリークラスに使えてムダがありません。 これがラジアルとかだとゴミになっちゃうんで・・・(苦笑)。
したがって、メーカー側optも非常に限られています。今回はそのなかからさらに絞り込んで、 以下のoptを選びました。これ以外のパーツはキットそのまんまで十分戦闘力のあるクルマに 仕上がることは、今回のレースで遠征組やTRFチャレンジャーを含む強豪選手を相手に予選5位をゲットしたことで 十分証明できたでしょう。

op.924 DF-03ヒートシンクバーセット(1000円)
op.941 DF-03アルミターンバックルステアリングロッド(900円)
op.949 DF-03アルミ軽量バッテリーストッパーピン(700円)
op.948 DF-03アルミ一体型プロペラカップジョイント(600円)
 ※前後で2個使用
op.953 DF-03フロントワンウェイセット(3800円)
このほか、隠し味的なアイテムとして、 op.301 TL01・ステンレスサスシャフトセット(400円)、 op.823クランプ式アルミホイールハブ(5mm厚)(1500円)も使用しています。

キット標準の樹脂製ホイールハブの厚さは6mmですが、optのアルミハブは4mm、5mm、6mmが出ています。 薄いほうがスクラブ半径が小さくなるので、そこだけに注目すると、クイックなステアリングレスポンスに なる理屈なんですが、DF-03RaやTT-01のようにシャシー側でトレッド調整ができない場合は、トレッドが狭くなる=相対的にホイールベースが長くなってしまう、ということがあり、実はスクラブ半径に着目して薄いハブを使うと、クルマは逆に曲がりにくくなってしまいます。TA05やTB-03ならサスブロックでトレッド調整できるからいいんですけどね。
スクラブ半径の拡大による曲がりの初期応答のダルさと、四輪の位置関係がスクエア(正方形)に近づくことによる曲がりやすさは、ある意味、トレードオフの関係なわけです。そして、どちらかというと通常は、四輪が正方形に近づく(あるいは遠ざかる)ことによる曲がりやすさ/曲がりにくさのほうが、スクラブうんぬんよりも影響度が大きいものなのです。

で、実際に筆者の場合は、スクラブ半径なんて基本的には「無視」です。そりゃ416とかいったハイエンドなら最後の味付け程度には考えますけどね。まずはトレッド/ホイールベースの最適値ありきです。トレッド調整は、クルマの曲がりやすさ・安定性に大きく影響する調整項目と捉えて、現場ではダンパーバネと同じくらい結構イジってます。ではなぜ6mmじゃなくて5mmハブなのか?というと、「6mmだと逃げ場がない」からです。
グリップバランスというのは、通常は「プラス志向」で「もっともっと」なんですが、「減らす」余地も確保しておかないと現場での選択の幅がかなり限られてしまいます。「これ以上グリップを増やせない」というときに、減らせるものを減らして前後のグリップバランスを改善できる余地を確保する意味で、あえて「+1mmの余裕」を確保するために5mmハブを使っているわけです。

なお、あまり薄い六角ハブを使うと、ホイールの銘柄によっては、内側のリブがハブキャリア等に引っ掛かってタイヤが回らなくなります。 DF-03Raにタミヤ純正のナローホイールでは、フロント5mmハブはそのままでOKでしたが、 リヤは1mmスペーサーを追加しないと当たってしまいました。 だからリヤは最初から6mmハブにしておいたほうが良いかも知れませんが、 作例ではセッティングの幅を広げる意味でこのままにしてあります。 ホイールのリブを加工すれば5mmハブでも1mmスペーサーを外せますしね。
ステンレスサスシャフトは、Eリング止め式なのでスクリューキャップ式のキット標準サスピンとは 信頼性が段違いに高いですし、錆びないうえ、ネジ頭がない分だけ軽量化にもなる、ということで、 1990年代のタミヤ製ツーリングカーでは必須と言っていいくらい基本的なoptでした。 ただ、昨今はバルクヘッドではなくサスブロックでサスピンを保持する方式が主流になったので、 スクリューキャップ/Eリング式のサスピンはすっかり影をひそめました。 かろうじてMシャーシのoptとして生きてるくらいでしょうか。ここで使用したTL-01用(48.5mmx4のみ使用) は、たった400円なんですが、これに換えるだけでサスピンのネジの緩みから 完全に開放されるので、ものすごくラクチンです!48.5mmステンレスサスシャフト は、TA04用としても出ています(op.479)。ただ、いずれも流通在庫のみのはずなので入手はお早めに! 詳しくはサスピン一覧表をどうぞ。
話は変わってワンウェイについて。
DF-03にはセンターワンウェイもありますが、筆者は常々、ワンウェイは フロントにあればそれでイイ(わざわざセンターはイラナイや)、機能的には 前後タイヤの回転差を吸収できることに変わりはないから、ということで無視しています。

厳密には、センターワンウェイがあると、スロットルoff時の駆動系の回転モーメントの量が減らせるので スロットルレスポンスが上がりますが、「だからどうした?」ということなので。 2駆バギーじゃないんだから、offったときの荷重移動でクルマを曲げるっていうのをそこまで 積極的にする必要あるのかな〜、みたいな。それよりもワンウェイクラッチが壊れて駆動が抜けたり、 ジョイントカップがカジって固着するほうがオフロード走行ではありがち〜、みたいなこと、ないでしょうか?? まぁいろんな主義主張や考え方があるので結論はないですが、自分の考え方はこうです、ということで。
ユニバーサルシャフトはもしかして要るかな? と覚悟していたのですが、練習やレースでも ドッグボーンの脱落は皆無だったので、後述のとおり、ドッグボーンの脱落防止のための組み立てのツボさえ ちゃんと押さえておけば、このキットでユニバーサルシャフトは不要だと思います。

なお、op.949のアルミストッパーピンは「外したかな〜」感が高いパーツでした。何となく買ってみたのですが、 フタを開けてみると、キット標準でもアルミシャフトなので重量はほとんど変わらず、なんだか損した気分。 しかも、レースでは、そもそもバッテリーをグラステープ止めにしてしまったので バッテリーストッパーピンが不要になってしまいました。クルマを組んでからoptを考えていたら たぶん買わなかったと思います。「ファッション目的」で「青いの」が欲しい人ならいいと思いますが・・・。
これまで、個別optパーツの軽量化効果はあんまり検証していなかったのですが、今回はopt点数も少ないので、 計測してみました。「大物」パーツのアルミ化はやはり効きますね〜。 ビスで約20g、サーボロッドで3g、センターシャフトの ジョイントカップで5g。これに、軽量ボディで25g、後述するバッテリーカバー外しで25g、スパーギヤカバー外しでまたまた 約5g、さらにダメ押しのステンレスサスシャフトへ交換で約5g、とかを実施した結果、 2400SPザップド+RCメカ込みの仕上がり重量はなんと1490gくらいまで軽くなってしまいました! しかもラリーブロックを履いての数字です(タイヤ)自体もインナースポンジ分軽くなってますしね。うおお〜激軽いぞDF-03Ra! ダンパーがCVAというのもわずかですが寄与してますね。
なお、optではありませんが、新しいシャシーを買うと、どうしても消耗品としてギヤ関係や樹脂部品の予備を 複数追加で買い置きしてしまいます。こういうのが結構コストとしてはバカにならないんですよね。 結局今回もストック用のパーツだけで1万円くらい買ってしまったような・・・。


なお、TA05以来の流れで、このキットでも従来のタッピングビスではなく、一般的なJISネジ が採用されています。したがって、3mmJISネジ用のハンドタップを使用すると組み立てがラクになります 。タップはホームセンターで安く手に入りますが、タミヤキットで必要になったということで、写真のコーセー製のように最近はRC系のサードパーティーからも出ています。

DF-03系の素材は、単純なABSや軟質のグラス混ナイロンなので、TA05やDB-01ほど硬くはなく、ハンドタップなしでも特に問題ないと思います。逆に、全部タップを立ててしまうと、スルスルになり過ぎてネジをナメる原因にもなるので、ネジ長の半分くらいだけ、タップを立てるのが吉です。RCTでは、「15回転程度」をタップ立ての目安にしています。その先の部分はあえてタップを立てないことで、ネジロックの役割を担うわけです。
ダンパーは前後ともキット標準のCVAで十分だと思いますが、作例では、 キットの指定とは組み立てを若干変更してあります。キット標準は、コストを考えて、前後共通のパーツで 極力まとめようとしているので、ある意味「形だけ」です。走りのバランスまで十分吟味されているとは 言えません。でなければこんなに前後サスアームのダンパー取り付け位置が違うのに前後のバネが同じだなんて、あり得ません。「どうせみんなopt組み込んじゃうんだからテキトーでいいじゃん」、という感じです。 キット標準は、フロントが相対的にかなり柔らかくなる設定なので、いわゆる「タミヤアンダー狙い」なのかも知れませんが、それにしてもちょっとヤリ過ぎです(苦笑)。キット指定のままだと全然曲がりません!

そこで、前後ともオイル900番・ピストン前1穴/後2穴というのはキット指定のままにしながら、 ダイヤフラムにウレタンスポンジ赤を追加。また、前後ともV部品に付いている 3mmスペーサーをインナースペーサーとして追加し、ハイグリップ路面でのヨレ防止に伸び量を規制しました。
ダンパー長は前58.0mmですが、後は58.5mmと気持ち長め(ダンパー長調整Tipsはこちら)。このシャシーでは、 リヤ側を少し長くしないとリヤのリバウンドストロークが不足しますので気をつけましょう。 このほか、前後ともアウタースペーサーは無し。 フロントにop.440オンロード仕様ハードスプリングの青(ハード)、リヤにキット標準バネ (op.163オンロードスプリングセットの 黄(ミディアム)相当)を装着して1G荷重時に車高が前7mm、後8mm、リバウンド前後3〜5mm程度を確保。

車高が高めなのは、グリップレベルが低めでタイヤ径も70mmを超えるラリーブロックだから、ということもありますが、DF-03Raのダンパー取り付け位置が、かなりソフトな足になるような設定であることも考慮して、あえて柔らかい足をキープし、ストロークを増やし気味にしています。
以上の設定で、キット標準のダンパー位置でちょうど良い前後グリップバランスが出ました。 ただしあくまでラリーブロックでの話です。ハイグリップタイヤにはもっと硬いバネなど見直しが 必要でしょう。しかし、このクルマは上述のようにダンパー位置の関係で足はかなり柔らかい素性なので、 ムリにガチガチな足にするとロクなことがないと思います。 軽い車重を生かしてオンロードをブイブイ走りたいのはヤマヤマですが、 やはりグラベルで本領を発揮するシャシーなのかなと。

フロントダンパーに関しては、サスストロークとダンパー長のマッチングが全然取れておらず、 フルバンプしてもダンパー縮み側に全然余裕がある状態。このままではフルバンプ時に負荷が サスアームに全部のしかかってきて、最悪、サスアームが破損するので、 ダンパーシャフトにバンプストッパーとしてOリングを2個追加。約4mm強のスペーサーになります。




ドライブシャフトは、せめてフロントにはユニバーサルシャフト使おうかな〜、と 悩んだのですが、結局ノーマルにコダわりました。TT-01のRCTチューンと同じですが、 「ドッグボーンが脱落しないならコレで十分です」というのを示したかったし。

ドッグボーンの脱落対策は、ハブキャリア側のジョイントカップとドッグボーンの噛み合わせを いかにしっかりキープするか、というのがポイントで、そのためには、シャシー側のジョイントカップに 過度のガタを持たせないこと、ハブキャリア側のハブとホイールベアリングのガタを減らすことの2点が ポイントです。
同様にドッグボーンにコダわっているRCTチューン版のTT-01の場合は、 ハブ側ジョイントカップとホイールベアリングの間のガタが大きかったので、 折り曲げてバネ効果を持たせたシムを挿入するのが有効でした。 しかしDF-03では、ホイールベアリングのガタはあまりないので、何も対策はせず、 単にシャシー側ジョイントカップに キット付属の白ウレタンスポンジを「半分にカット」したものを詰め、ガタを規制しました。

実はこの、「半分にカット」というのが微妙なサジ加減でして、 これ以上長いと、サスアームがバンプしたときに スポンジがドッグボーンを圧迫して駆動抵抗になるのです。かと言って、スポンジを取り去ってしまうと、 今度はガタガタでドッグボーンがコーナリング時に脱落してしまいます。TT-01ほどシビアではありませんが、 やはりガタの調整はちゃんとしないと、ドッグボーンをトラブルフリーでレース使用することは困難だと思います。
なお、以上のウレタンブッシュの設定は、あくまで「フロントワンウェイ仕様」という前提です! ボールデフだとキット指定は「カットなしの白ブッシュ」ですが、実際には、たぶんリヤと同様 「赤ブッシュ無加工」くらいが丁度いいんではないかと思います。

写真のとおり、1G荷重時のフロントサスアームはほとんど水平にセット。このときの車高が約7mmです。アッパーアームの シャシー側取り付け位置は、キット指定(内側の下側)とは異なり、内側ですが上側に変更しています。 キット指定はもっと車高が高いときには良いのですが、ここまで車高を落とすとアライメントがおかしくなるので。
取り付け位置を変えたので、フロントアッパーアームの長さは43mmになっています。 厳密には43.4mmでしたが、ネジがターンバックルじゃないので0.5mm以下の値は 行き当たりばったり、というか現物合わせ、ということで。 キャンバーが−0.5〜1.0度くらいならOK、という感じです。リヤも同様で、左右がだいたい揃っていれば、 あんまり神経質になる必要はありません。タイヤがタイヤなので、コーナリング時に外側のカドが 路面に引っ掛かる限りは大して変わらないのです。ということは−3度とかとんでもない鬼ネガキャン でもない限り、目だった問題は起こらないと。ただ、キャンバーを寝かしてしまうと、 26mm幅のナロータイヤ(ミディアムナローより2mm=8%幅広)ですから、直進時に トレッド面が正しく接地できなくなるので、Mナローの時よりキャンバーは立て気味にしたほうが いいとは思います。
アーム類の配置や長さが適切なので、バンプステアはほとんど起こらない素直な素性を持ったフロント周りです。 アップライト側のタイロッドピロボール位置は、写真のとおり内側がキット標準で、これで具合は良いです。 舵角も特に不満はありません。

ムリムリな設計でフロントのドッグボーンにも後退角・下反角がついています。この部分の駆動効率はお世辞にも 良好とは言えそうにないですが、ワンメイクレースではカンケーないです。
ヤワな作りに見えるステアワイパー回りですが、コンパクトにまとめられているので強度は十分。 ステアリングもしっかり切れます。 ガタは割とあるのでガタ取りしたくなるのが人情ですが、直進性はまったく問題なし、 というか結構良いと思います。
ひとつ注意点は、フロントバルクヘッドカバーのビス長。
当初左側を10mmビスで締めていたため、ネジの先端が飛び出して、フルバンプ時にタイロッドに引っ掛かって しまっていました。ここはビス長に気をつけて。その後、6mmビスに交換してこと無きを得ました。
アッカーマンはこんな感じ







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