(posted on Apr 18, 2006)
(updated on Sep 1, 2014)
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ファイティングバギー(3)





ここからはいよいよシャシー編です。
トップページでも説明したとおり、ファイティングバギーは重量面ではおよそ「レース用」とは 言い難いモデルでした。「雰囲気だけレース用」みたいな(苦笑)。

その証拠がこちら。メカ&バッテリーレスの状態で計測した車重はなんと1751g!イマどきの 四駆バギーのフル装備状態よりも重いくらいです。今から考えると、当時は、 「こんなに重いから砂利路面でもタイヤ面圧が高くてグリップした」のかなぁと思います。 筆者は当時、バギーレースを経験する前にRCを休止してしまったので実体験はしていませんが、 レース現場では、加速が悪くてあっという間に軽量なライバル車に置いていかれたことでしょう。
なにしろ重すぎ(笑)。


フロントセクションは、実車を模したアルミパイプ3段重ねのサブフレームに組み付けられた、 セミトレーリングアーム式のサスペンションが特徴です。

バンパーは 「ホリデーバギー(58023、80年12月)/デューン・バギー(58024、81年8月)」と共通仕様のグレー成型色の 金属インサート成型ナイロン樹脂製です。先代「チャンプ」系のバンパーとも共通ですが、 「チャンプ」と「ワーゲン」の初期ロット(1980年末まで)の成型色はブラックだったのでコレクターは要注意。 「ホリデー」の後から切り替わったようです。81年10月のチャンプ系3男「フォードF150」はグレーのバンパーでした。
フロントタイヤは、「ワーゲンオフローダー(58016、79年12月)」で初採用された「4.50-15(インチサイズ表記で実寸は1/10スケール)」 サイズの「The Smoothee」「Sand Tires Unlimited」という刻印があるバルーンタイプです。
(「Tire」は米語のスペルです。ちなみに英国では「Tyre」)

見た目非常に似ているホリデー系とはロゴが異なり、別モノですので注意。ワーゲン系のフロントタイヤは、 「マイティ・フロッグ」「グラスホッパー」「ホーネット」などに使われ、 2004年のホーネット復刻や翌05年のフロッグ再販に伴い、 2006年現在も「現役」タイヤです。スゴいですね。

このスタータイプのホイールもワーゲンの頃からずっと同じ型が流用されています。ワーゲン系のフロントタイヤに 組み合わされた成型色はワーゲン以来すべて「白」だけです。
チャンプ系のサスペンションは、スプリングとダンパー(緩衝器)が分離されている古典的な構成です。 「ダンパー」と言うと、今はコイルバネと組み合わせたユニットが当たり前ですが、歴史的には、 「ダンパー」というのはこういうモノから出発していたのです(実車の話)。メンテナンス性やレイアウトの自由度という点では、 今でもこのような分離式にも分がありますが、取り付けはバネとダンパーで2重手間になり、面倒なので嫌われているのでしょう。
もともと、先代の「バギーチャンプ」は、カリフォルニアで実際に走っていたレーシングバギーを再現したモデルでしたし、 この頃までのタミヤRCカーの設計は、RCカーとしての走行性能うんぬんよりも 「リアリティ」の再現に重点を置いていた時代でしたので、ダンパーの外観形状は非常にリアルです。 モデラーなら思わずレタリングなどのディテールアップをしたくなりそうです。

ダンパー性能そのものは、 実車よりはるかにハードに走るRC用としては、絶対的に容量不足だったのですが、当時は他のメーカーも似たり寄ったりで、 どうしても「実車」のイメージから抜け切れない、かなり小さめのダンパーが主流でした。当時は オイルシールもレベルが低く、容量も小さいためすぐオイルが抜けてしまったので、どこまでちゃんと効いていたか、 はなはだ怪しいのですが・・・。
フロントサスは巻き数の少ない、モーターのブラシバネが巨大化したようなコイルスプリングで車重を支えています。 スプリング先端を引っかけるためのピン位置が2箇所選択できるようになっており、 これでスプリングの強さを調整できました。コレって、初期ロットのチャンプ系ではピンが成型されてなくて、タップが切ってあった ネジ穴があり、そこに2mmビスを立てていたんですけど、フォードF150から写真の形状に仕様変更されています(F150の取り説で確認)。

バネ止めピンのすぐ左脇にあるU型のダイキャストの出っ張りは、バギーチャンプの名残りで、フォグランプ部品の艤装を付けるための 3mmビスの止め穴です(ファイティングバギーでは廃止)。
アップライトはチャンプ系共通のステンレスシャフトをインサート成型したダイキャスト製です。 上下端に4mmピロボールをネジ込んで使うようになっています。結構、丈夫でした。 このアップライトは後に「フロッグ」系のシャシーにも転用されています。

写真の軸受け用1150メタルは、XR311(Item58004)から採用され第2世代F1(Item58010 リジェJS9〜)などにも使われたタミヤRC初期のタイプで、 外縁部が滑り止めとしてスプライン形状になっているのが特徴です。この時期、1150ボールベアリング代用の プレーンベアリングとしては、ABS製やポリアセタール製のプラベアリングがもっぱら使われていましたが、 F1のリヤシャフトやバギーの軸受けは高荷重部位なのでオイルレスメタルを指定したのでしょう。当時の筆者は少年でしたので あんまり深く考えてませんでしたが(苦笑)。
スリムなデザインのサスアームといい、「見るだけ」なら実にホレボレする出来栄えのフロントサス。動作は結構スムーズで バネの強さも適度なので、サスとしてしっかり機能します。

もっとも実際は、サスアーム付け根で回転軸とサスアームを締結している3mmイモネジがネジ山の強度不足でバカになりやすかったり (何しろ素材がダイキャストですし、タップが3mmネジですから)、 アップライトの4mmピロボールを押えるボールシートが脱落しやすかったり(だって2mmビスの片持ちで止めてるんですもの!) いろいろトラブルの種を抱える「爆弾箇所」だったんですけど・・・。
(経験者は語る)


メインシャシーに見える左右の長穴は、チャンプ系のABS製メカボックスの突起を避けるためのもので、 メカボックスが廃止されたファイティングバギーには無関係です。まぁ盲腸みたいなモンです(笑)。
サーボセーバーとタイロッドはファイティングバギーになってからアップグレードされ、 「カンナムローラ」以降のレーシングマスター/競技用スペシャル系のタイプになりました。 従来のピアノ線タイロッドは強度が低くて座屈しやすかったのですが、この変更でリンケージ系の強度不安はなくなりました。
ピロボールアジャスターはAYKが1978年の「RX-1200」シリーズに採用したのと多分まったく同一のスチール製で、 見た目よりかなり丈夫ですしガタもなく、動きもスムーズです。 タミヤでは「カンナムローラ」(1980年)以降の競技用モデルに採用されていました。

個人的にはこのアジャスター、結構好きだったのですが、実際には ファイティングバギーへの採用が最後でした。「カンナムローラ」が登場した1980年からわずか2年で廃れてしまったわけです。 以後のモデルでは、いったん従来の4mmピロボール対応の樹脂製アジャスターに戻った後、 5mmないし6mmの樹脂製を採用していく流れになります。金属製アジャスターは確かに圧倒的に丈夫ではあったんですが、 価格が高いのと、重い、ということで敬遠されたのでしょう。樹脂製アジャスターでも、サイズアップすれば 丈夫になるじゃん、というわけです。




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