posted on Oct 11, 2003
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RC Car Trend モーター研究室

<その38:全日本直前チェック!スーパーストック「タイプRRガンメタ」>





<ガンメタ?>
この7月、「モーター研究室BBS」に、 ガンメタのRR 2003/07/06 (Sun) 00:27:59 [投稿者: まるちゃん] というスレッドが立ちました。
タイプRRモーターのカンの色が、クロームから「ガンメタ」に変わったと。
通常、RCTでのサンプリング調査では、初期ロットしか扱わないことが多いので、 この件についてもすっかり気づかずにいました。ただ、このスレでの結論としては、 ショップ筋の情報として、「JMRCAの公認が取れたのを機に色を換えただけ」ということだったので、 「ま、とりあえずいいか」と棚ざらしになっていました。
しかし、ここにきて2003年のタミヤGP全日本予選ラウンドも残すところ愛知・大阪・東京のみ。 これらのイベントではGT1&TRFチャレンジという「23T頂上決戦」が繰り広げられますので、 その前に、あらかじめ有益なデータを提供しておきたいと思い、今回の調査を実施しました。


<外観上の違い>
まず、外観上の違いですが、ハッキリ言って色が違うほかはまったく変わっていません。
構成パーツも、ブラシ、ブラシスプリング、その他まったく同じです。
いわゆる「公認」については、もともとタミヤの23Tストックはすべて 「JRM(ラジコン模型工業会)」の認定は受けていますが、JMRCAの認定はまた別の話で、 タイプRRに関しては2002年にホモロゲーションを取れていなかった、ということのようです。
2002年シーズン、タミヤの23TでタイプRRは一番人気だったハズですし、もともと「限定」だったので、 初版のクロームメッキ缶はいったん売り切って、 改めて「2ndロット」として色違いを出したのではないかと推察します。
カンについては、もしかしてメッキよりも塗装のほうが安いから コストダウン目的の仕様変更なのかな〜、という気がしないでもないですが、 そんなに気にするほどコストが違う、というわけでもないでしょうし・・・。
でも1個10円でも10万個作ったら100万円の差ですからね・・・そんなに作らないって?

実は、まだ執筆途中で挫折している(文章がものすごい分量になってしまったので) 「その30」「その31」というページがあるのですが、 それぞれ、タイプSとタイプRRを分析したページとして、既に写真や計測データを取り揃えてあります。
今回、タイプRRガンメタの性能を比較するにあたっては、これらのモーターとの比較が最も望ましいので、あえてこのページで先行してタイプSおよびRR(初版クローム缶)の標準的な計測データを公開しておきます。
というわけで、まず見てください。




<タイプS、タイプRR(オリジナル)の標準的な性能データ>


<ヨコ軸:回転数で表示>
(実線は「その31」で掲示したタイプRR(オリジナル)基準データ、 点線は「その30」で掲示したタイプS基準データ)


このように、既に2002年の段階において、タイプSよりもタイプRRのほうが明らかにトルク、 最高出力といった絶対的なパワーで優れており、燃費よりもパワー優先のタミヤGPにおいては 実際にタイプRRが一番人気だったわけですが(注1)、 果たして「ガンメタ」はカンの色変更をはじめ、 その他にも目につかない変更がもしあったとして、どのくらい違うものなのか? というのが、 今回のテストの最大の関心事になるわけです。

今回は、諸般の都合により、サンプルを1個に絞って計測しました。
いつものように、3個以上のサンプルから中心的な値を抽出するのと比べると、 信頼性に乏しいデータとなる恐れがないわけではないのですが、このあたりは今後、 適宜買い増した時点で計測サンプル数を増やし、問題があれば改定していく予定です。


<タイプRR「ガンメタ」の計測結果>
(使用サンプルは1個のみ、ブラシの適正ナラシ後、計測時気温はRCT標準=25度)


<ヨコ軸:回転数で表示>
(実線は今回のテストに使用したタイプRRガンメタ、 点線はタイプRR(初版クローム缶)基準データ(<その31>と同じ))



<ヨコ軸:トルクで表示>
(実線は今回のテストに使用したタイプRRガンメタ、 点線はタイプRR(初版クローム缶)基準データ(<その31>と同じ))



<ヨコ軸:電流で表示>
(実線は今回のテストに使用したタイプRRガンメタ、 点線はタイプRR(初版クローム缶)基準データ(<その31>と同じ))

以上のデータからは、初版のクローム缶も、03年モデルのガンメタ缶も 「まったく同じ」と言って差し支えなさそうですね。
知ってしまえば「なぁ〜んだ」ということなんですが、やはり、キチンと調べるのと 思い込みでいい加減に判断するのは大違い、ということでご容赦ください。



(注1)上掲のグラフのとおり、確かに表面上はタイプSよりタイプRRのほうが 効率面でほぼ同等、パワー&トルクで明らかに勝る、という結果なのですが、これはあくまでも、 「ユーザーがモーターをいじらない」という前提に基づき、開封後にブラシの当たりが取れた時点での状態を シミュレートしたものです。圧倒的多数の全国のタミヤユーザーは、この状態で使うだろうと思われるからです。

しかし実際には、タイプSのほうがタイプRより性能面で優れる可能性があります。
コミュレーズでコミュテーターを適正サイズまで削り込んだ場合です。
実は、この技はタイプRRには使えません。タイプRRは開封時点で既にコミュ径が ブラシサイズに対して小さすぎるので、ブラシが全アタリ状態になるとブラシタイミングにオーバーラップが発生、つまり 3極がショートする区間が生じ、これが発熱や効率悪化という形で性能低下につながります。
タイプRRに限らず、タミヤのレイダウンタイプのモーターでは、ブラシ両端に0.5〜0.8mm程度の幅で コミュに当たらず残っている部分がある状態がベストです。100%全アタリになった時点で、両端を削って平らにするか、 新品と交換してアタリを取り直すかしないと、ベストコンディションは維持できません。

これに対し、タイプSで採用しているスタンドアップブラシでは、設計上、ブラシが全アタリになっても ブラシタイミングに「ムダ」、すなわち電気が通じないタイミング区間が少し残っています。コミュを削り、径をやや小さくしてやることで ブラシタイミングを追い込み、パワーアップする余地がある、ということです。
ただ、一方において、タイプRRでも、全当たりしていない状態(新品状態など)のブラシをわざと使うことによって、 ブラシの接触面積を減らし、摩擦抵抗を減らして回転数を稼ぐ、というテがあり得ます。 要するに、レイダウンブラシをあたかもスタンドアップブラシのように使う、という技です。

ただし、いずれのアイデアも実効性についてはダイノテストで検証してみないと何とも言えません。
ブラシのアタリについての条件設定が0.1mm単位という非常に微妙なサジ加減になるので、 一般ユーザーには再現が困難となる可能性も高く、 「再現性」を重んじるRCTとしては「参考情報」的なレポートにとどめざるを得ないかも知れません。

実はこのテーマについては、今シーズン中にはぜひ取り組みたいと考えていたのですが、 残念ながら都合によりまだ着手できていません。実際のタミヤGPでは、23Tパワーを十分に御して 走れるドライバーはごく限られており、世界戦本戦の上位レベルにでもならないと、 モーターの違いによるパワー差がタイム差に反映されることはほとんどないので、 取り立てて急いで調べなければいけない項目でもないのかなと感じています。
ただ、表面的な計測結果だけから「タイプSってダメなんだ」と安易に決め付けて しまわれるのは本意ではないため、あえて「注記」として補足しておきます。あとは各自で試行錯誤してみてください。

(おわり)


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