(posted on Feb 7, 2003)
(updated on Jan 9,2007)
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TA-03R(GT1クラス仕様)


四駆にあきたらサクッとリヤ2駆へコンバートしてみよう!"TA-03RR Evolution"(仮称)
RCTシャシー研究室「TA-03分会」もよろしく!

05年9月以降、ドリフト用としてTA-03F・PROが再版されたりしていますが、全体的には すっかり「ヒストリックカー」の域に入りつつある旧車、TA-03RのGT1クラス仕様を ご紹介します。絶版になってずいぶん経ってから公開したのは特に意味はないです。 写真の整理がようやくできただけ(笑)

もともと、FRPダブルデッキ・フロントモーターの「TA-03F・PRO」から始まって、入門用バスタブシャシー仕様の「TA-03F」、そしてリヤモーターの「TA-03R」、ショートホイールベースの「TA-03RS/FS」、さらにカーボンWデッキの「TA-03R・TRF」「TA-03RS・TRF」と、実にさまざまなバリエーションが出てきたのが、このシリーズの特徴です。

写真のシャシーは、そのうち「TA-03R・TRF」に近い仕様ですが、リヤデフはTRF仕様で標準のボールデフではなく、ギヤデフです。TA-03が採用していたマンタレイ系のボールデフは、動作にかなり難のあるシロモノだったのでキライでした。動作の確実なギヤデフをあえて使い、シリコングリスを塗布してLSD効果を確保しています。ベストではありませんが、お手軽にベターな走りを目指した作りです。
このシャシーが現役だった頃、筆者がホームコースにしていたのが、2001年に閉鎖された 「シブヤ・トップサーキット」です。このコースは、小石を混ぜたウレタン塗装による、 木工ヤスリのように目の粗いバリ食い路面が特徴でした。 閉鎖直前期は塗装がかなりはがれて温度変化に敏感な路面になってましたが。

「食いゴケ」対策として車高を4mm程度とかなり落とし、 さらにネガティブキャンバーも2度以上つけています。 これでも、ショルダーが角張ってサイドウォール剛性も低い、ナロータイプの ファイバーモールドAタイヤだと、ちょっとでもリムからタイヤがはがれると、 たちどころに転倒していました。
後で気付きましたが、食いゴケ対策としては、むしろダンパーを柔らかくしてグリップのピークを落とす代わりに旋回半径を広めに取って走るべきでした。ロールが増えるので車高も5〜6mmに上げて。好みじゃないんですが・・・。
フロントは、車高とサスストロークを両立させるために、あえてCVA(II)スーパーミニを採用しています。 ダンパーステーをGTボディ用のローハイトタイプに変更しているためでもあります。セダン系ボディ用の標準サイズのダンパーステーなら CVAミニでも構わないんですが。

バネは03ショート青という、かなり固めの設定です。ただし、スタビはありません。セッティングが迷宮入りする原因になりがちなので、筆者は今日までスタビ使うことはめったにありません。新シャシーを走らせるたびに、いつも、試して、外して、そのまんま、というパターン(苦笑)。
TA-03に使われているベルトは、当時としてはごく普通のレベルのものでしたが、 さすがにデビューして10年近くを経て見ると、かなり厚ぼったく感じます。 当時既に、ベルトを柔らかくして駆動フリクションを下げる手法として、 ベルトに5-56やWD-40などの浸透性の高い油を塗って染み込ませたり(実車ではあり得ないチューニングですがこれは模型、 しかもレース用だからアリなのです)、ベルト背面のゴムをヤスリで削って厚みを減らす、といったことが行われていました。 当時はプーリー曲率もキツく、ベルト幅も広く、駆動ロスはかなり大きかったので、効果もテキメンだったはずです。

なお、写真のベルトはoptのアラミドタイプです(ノーマルは白い印字)。プーリーもノーマルのナイロン樹脂製から optのアルミ製に変更しています

TA-03シリーズ共通の特徴が、この細身のサスアーム。軟質ナイロン製ですが、 「なんでこんなに細いのよ?」というくらい前後長がなく、案の定、 クラッシュするとすぐサスピン穴がガタつきました。もともとの穴もガバガバで、 皆さん、ガタ取りに苦労なさっていましたよね。

これ以前のバギーモデルやTA-01/02のほうが よっぽどガタは全体的に少なかったし、この前後に出てきたMシャシーやFFなど、この時期に出た一連のニューシャシーはみんな「ガタガタ」で直進もおぼつかないほどだったので、実は「入門者を重視した意図的な設定」だったとはどうにも理解できず、「どうなっちゃったのよタミヤ!?」と困惑したユーザーも多かったのでは?
タミヤだって、「やればできる」ことは92年発売の「ダイナストーム」で実証されていたのですが、いかんせん当時はもうバギーは廃れていて、F1やツーリングから入ってきたユーザーは誰も買わなかったので、TRF414が出るまでいささか長期間、誤解を受けていたように感じます。











この時代まで、サスアームの長さは「こんなもん」でした。アッパーアームとキャンバー変化量の多さについては誰もが問題を感じていましたが、「どうしようもない」ということで落ち着いていたのが実情です。
この作例のアップライトのタイロッド取り付け位置は、舵角の増加を狙って ドライブシャフト寄りに変更しています。当時は流行りました。
雑誌では、「アッカーマン比の変更」ということでよく紹介されていました。確かにそれは間違ってはいないんですが、 その変更が良かったかどうだかは分かりません。

筆者がタイロッドのピロボール位置を変更したのは、単純に「曲がらないから舵角が欲しかった」というだけ。 TA-03に限らず、従来のタミヤ車は、「入門者向けの味付け」ということで、 キット標準の舵角を少なめに設定するのが一種の「お約束」で、しかもアンダーステアの基本設定だったので、 「もうひと曲がり」を得るためのエクストラの舵角確保は必須でした。
シャシー前半分は、「2階」のステアリングサーボを避ける独特の形状。

構造的に、重心が高くなるばかりか、 誰がどう見たって左右のねじれが不均一になることが明白、というのが、 このシャシーのターゲットユーザーを雄弁に語っています。
つまり、そもそもシリアスなレース用になんて使っちゃいけないクルマなんです。カーボンシャシー仕様なんてナンセンス(でも、ついつい買っちゃうのが悲しいですネ!)
あくまでも「ツーリングカーという新しいカテゴリーを手軽に楽しんで欲しい」という。 それにしちゃあ、部品構成がやたらゴチャゴチャして無駄の多いシャシーだったよなぁ・・・。
そのへんは、後のTL-01で大幅に改善されましたけどね。


ロワシャシー形状は03Fと共通です。なのでサーボをロワデッキにマウントし、バッテリーはモーター直前にレイアウトして アッパーデッキをシンメトリーな形状にすることも可能な構造になっています。実はレースを考えればこの仕様が「最強」に なるはずでした。でも実際にはそのようなレイアウトはキット化されず、タミヤGPでも日の目をみることはありませんでした。 「カツカツ用途ではなく、ユーザーの裾野を広げるキットにしたい」というTA-03シリーズの位置づけからして、 様々な仕様が活躍する余地を残すため、あえて「最強仕様」を出さなかった、ということだったようです。 当時は、なかなか情報も乏しく、タミヤ開発陣のとてつもない「大人の配慮」を知る由もありませんでした・・・。 単に自分の器が小さくて気付かなかっただけかも、ですが・・・。
サーボは、本来ならキット付属のサーボセーバーを使うところですが、 何しろあまりにガタと必要なキャンバーが多過ぎて、リヤに2度のトーインが付いているにもかかわらず直進が怪しい、 という状態でしたから、思い余ってプロポメーカー製の純正サーボホーンを切り出して使いました。 一般にはKOのものがよく使われていましたね。クラッシュの衝撃はサスペンションやボールエンドの変形で吸収、という、 なんとも強引な方式。クラッシュしないEXP限定仕様です。
ダイレクトサーボホーンへの変更はこの当時シブヤのEXPの間ではちょっと流行りましたが、これはあくまで 「ステアリングのガタ」を減らすため。直進性に関しては、先述の通り、キャンバーを常識的な1〜1.5度まで 減らせれば良かったので、バネを柔らかくすれば解決してたのかな、と。今だから言える話であって、 当時は考えもつきませんでしたから、完全に後の祭りなんですけどね(笑)。
リヤはグリップが欲しいからバネは柔らかくしたい、でもフロントをガチガチに固めてしまった 帳尻合わせが必要だからスタビを装着、というバランス取り。 今から考えると全然、ダメセットじゃん!(笑)。リヤスタビを取って、リヤを青、フロントを黄にすれば良かったのでは・・・。
ギヤ回りがフルカバーなのがTA-03シリーズの特徴。これはジャリ道やフラットダートなどでも 楽しめるように、ということからなんですが、困ったのがヒートシンクのやり場。マトモにつける場所がないので、純正optとしては、ご覧のピニオンカバーをアルミ化して、モーター取り付けネジから回した熱をここで放出する、という、何ともムリムリな方式で「放熱」してました。レースだと、これが結構、触れないくらい熱くなった・・・ってことはモーター本体ははるかに猛烈に熱くなってたわけで・・・。やめましょうそういう話は(笑)。
これもoptで後から出たアルミプレート。モーターがダイレクトにマウントされると、 加熱でバルクヘッドが溶けてしまうケースがあったので。や〜コワ〜(爆)。
TA-03では、前後のトルク伝達の目的だけにベルト&プーリーを使用する、ギヤとベルト&プーリーの 「ハイブリッド型」の駆動方式を取っていました。センタープーリーは03Rの場合、15Tが基本で、このほか16T、17Tなども用意されていました。ショートシャシーの場合は、ベルト長の関係で、確か16Tが基本だったように記憶していますが、忘れました(ゴメン)。

歯数の違うプーリーは、「前後のトルク配分を変える」という説明とともに販売されていましたが、これ、正確にはトルクの話以前に、前後輪の回転数を意図的に不均等にしていたわけで、4つのタイヤ径が等しい四駆車に対しては まったく邪道なアイデアだと思いましたが・・・案の定、EXPドライバー達の間では見向きもされませんでした。
リヤに使っているのは、確か94年頃限定発売された、スーパーロフリクションダンパー(ブラック)です。 実際は「ガンメタ」ですね。 本当の「真っ黒」な「ブラック」は、この後1/8GPシャシー「TGR」のキット同梱用として別途出ました。

このダンパーに付属していたバネは、特別色の赤紫色に着色されたバネで、optの青とまったく同等品でした。 しかし実は、'94サマーセールで同時発売された「色違い」のパープルアルマイト仕様のほうには、 巻きが粗く、従来のopt青よりもさらに固い、特別仕様の黒色のバネが付属しており、これが「隠れお宝アイテム」として 奪い合いになった記憶があります。というか、入荷したその日くらいになくなっちゃいました。 当時、とにかく固いバネが欲しかったので、筆者も「一期一会」とばかりに3セットくらい買い込みました。 結局、投入する機会のないまま、もっと固いバネを使うTA-04の登場とともに役割を終えましたけど。
TA-03系のoptで意外に気に入っていたのが、このリヤアップライト。
ガタも少なく、 ダイキャストなんですが、混ざりものの少ない軽量なアルミ素材を使って、「紙のように軽い」のが特徴。

この頃から、新しいダイキャストというか、素材品質を高級化して射出成型で作った、ものすごく軽いアルミパーツ が出てくるようになりましたね。代表的なのはM-01/02用アルミヒートシンクとか。 20年以上前の「競技用スペシャル」以来、ダイキャスト=重い、というイメージでしたが、 コレを見てから考えが一変しちゃった、そんなパーツでしたね。
リヤにはスタビを使っていました。ミディアム(黄)なんですが、識別用のごく一部を残して染料で黒く染めています。ガタ取りはレースには必須でしたが、 面倒なのであえてしてません。カーボン製のスタビホルダーは肝心の「隅」の部分が取り付けネジ位置の関係でたわむため、剛性確保のため2枚重ねて装着していました。コレは筆者独自の工夫です。スタビのガタとってないからあんまり意味ないんですけど(笑)



トップサーキットは結構スピードが出るコースで、おまけに路面サーフェスが粗く、車高も落としているため シャシーはご覧のとおりガリガリ。チタンビスの頭が路面に擦れて、ターボ時代の実車F1みたいに、 路面から「火花」を散らすのが昼間でも見えることがあったくらいです。



リヤビュー。
こうして見ると、結構カッコ良かったりして。

サスアームは、狭いスペースでダンパーを垂直に配置しながら、斜めに付けたのと同じような効果を得るために、 サスアームの延長線上からオフセットした位置にピボットを設ける工夫が凝ら
されています。 いささか設計的に厳しいものを感じるのは、このピボット部がロードクリアランスに悪影響を及ぼしている点です。実際、よくピボット部分を縁石などでヒットしてダンパーエンドを破損しやすかったです。まあ、フロントモーターを実現するための苦肉の策だったわけですが・・・。

それにしても、TA-03というのは、通常のハイエンドツーリングとは違った哲学のなかで、 それなりに良く考えて作られた面白いクルマです。各社のツーリングカーがどんどん先鋭化するなかにあって、当時は筆者も含め、 「なんで今さらこんな設計で来たんだ?」と正しい理解ができていなかったユーザーも多々いたように感じますが、 「タミヤの良心」を具現化し、幅広いユーザーを取り込んだマシンとしての再評価は、歳月を経るほどに高まっているように感じます。 長く歴史にその名をとどめる名車であることは間違いありません。


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