(posted on Aug 20, 2007)
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M-04M・RCTチューン'07


前ページまででご紹介したRCTチューン'07プロト仕様をベースに、
07年7月21日に浅草・ROX3で開催された第16回タミヤ全日本・東京大会に
出走した際の状態を「RCTチューン'07」仕様としてご紹介します。
また、M-04Lに変更した場合の注意点についても併せて解説します。





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M-02でイイ思いを沢山させてもらったので、ROX3での「本命」は当初からM-04だと思っていましたが、 筆者がミニスポーツに再び出走できるようになった'06年は、何の因果か? M-03Mスイフトのワンメイク。 出端をくじかれた格好でしたが、これをいい機会と前向きに考え、'06年はじっくりM-03シャシーと向き合ってみました。 そして'07年シーズン。いよいよ「真打ち」M-04Mの登場です。長年培ってきた ノウハウをすべて注ぎ込み、07年シーズンのタミヤ全日本向けに組んだのが当作例です。

実際のレースでは、残念ながら筆者のウデの問題で運転ミス連発。 思わず操縦台で「何やってんだオレ!(スマソ皆様)」と悪態をつくほどの失態を重ね、 予選14位に沈んでAメイン進出を逃してしまいました。あらら。決勝(Bメイン)でもクラッシュと 大事な局面でのミス(マーカーに乗るとか)に苦しみましたが、 終わってみれば0.847秒差まで詰めての2位フィニッシュ。惜しいなぁ〜あと1周あったら・・・。 なんかここ2年ほどこのパターン多いです(笑)。 (レースの模様はRCT-TVでお楽しみください!)

今回ほど自分のヘタレ加減にウンザリしたのも久しぶりでしたが、クルマ的には 極めていいタイムを出せる仕上がりを改めて確認できたので、自信を持ってご紹介します。 あとは運転手の問題、ってことでヨロシクです。
さて今回は、前ページまでの「'07プロト」とボディ/シャシーが同じですから、いつもの基本構図の画像は割愛して、 いきなり「中身」の紹介に移ります。「'07プロト」からの変更点は次のとおりです。

  • モーターを540J→ライトチューンに変更
  • タイヤ選択の変更
  • フロントダンパーの変更
      (TRF56mm→CVA-Sミニ52.5mm)
  • アンプ搭載位置見直し
  • アンプを302BKからKO・VFS-1に変更
      (実にトトホな理由で・・・後述)
  • その他、現場での微調整
  • 07年7月以降のタミグラで大きく変わったのは、ライトチューンの導入です。これは特に、 従来スポーツチューンや540が指定だったクラスのマシンセッティングに大きく影響しています。

    回転数が抑えられているのでトップスピードに関しては「多少速くなったかな?」という程度で、さほど違和感はないんですが、 加速がまるで違います。トルクをあえて落としたかつての 「Mチューン」モーターとは逆で、 ライトチューンの強烈なトルク特性はM-04系にこそマッチします。 ブレーキの効きも強くなり、2駆やワンウェイ入り四駆車の場合はオーバーステア傾向になりますので、この対応もポイント。 単にモーターを載せ換えただけでは、前後のグリップバランスが崩れてベストな走りはできませんので注意しましょう。
    モーターのブレーキングパワーが増えたことへの対応としては、1)減速時の急激なアクセルワークを避ける、スロットルブレーキをキャンセルするためアクセルを少し残すような操縦を心がける、2)ショッキーダイオードを強化してフライホイール効果を稼ぐ、3)フロントグリップを少し落として前後のグリップバランスを調整する、といったことになります。1)は純粋にドラテクの話、2)は1)をメカニカルなセッティングで補助する話です。

    3)は別次元の話に思えますが、実はこれも1)をどの程度実践できるかに影響されます。昔のF1青山GPのコースといい、ROXといい、 ヘアピンが多く狭くて直線の短いコースでは、昔から「巻くクルマを巻かないように走らせる」というのが 「最速の定石」です。そうすると、静的には「ピクピク」つまりグリップバランス的には弱オーバーのクルマを、 どれだけ動的に安定させて走れるか?・・・ということがタイム差に出るわけです。実はコレは実車のGT選手権やフォーミュラでも同じだそうです。 旋回時間が長いと遅い、でもピクピクのクルマじゃあアクセル踏めない、という矛盾をどうするか?

    残念ながら?その解決策はズバリ「ドラテク」しかありません(セッティングの巧拙はあくまで「補助」です)。 上手い人なら経験的に分かっていることですが、実は、走行中のクルマの動的安定性は「スロットルワーク」による 前後方向の荷重移動(量と速度)の操作と、 「ステアリング操作」による横方向の荷重移動で支配されています。いずれもドライバーがやることですから、 本質的には、本人の意思次第で、ある程度どーにでもなるわけです。

    したがって、スロットル&ステア操作とタイヤへの荷重のかかり方(〜前後グリップのバランス〜マシン挙動)との関係を どれだけ理解し、実践するかによって、同じクルマなのに、ドライバーによってアンダーが出たりオーバーが出たりします。 他の人がフツーに走らせているクルマを借りて「ピクピクで走れない」としたら、アクセルワークやステアリング操作が雑で荷重移動が急激だから、ということなので、心当たりのある方は、運転するときの「意識」を変えてみましょう。それだけで見違えるようにクルマが安定して走るようになることだって、あるんです!

    そんなわけで、実は「最適なグリップバランス」は、ドライバーの腕によってかなり変わります。これは残念ながら覆い隠しようのない事実です。上手い人ほど、フロントが食う「曲がるクルマ」で破綻なく走れるので、コーナリングで舵角が減り、駆動ロスが減り、熱ダレが減り、旋回時間も短くなって、ますます速くなるわけです。

    とはいえ、いくら達人でも「限度」というのはあります。上位選手の セッティングを総合すると、今回のROXでのフロントタイヤには、「カーペット定番」の Mグリップ(sp.684)op.255ハードスポンジ の組み合わせがベストだったようです(M-03/04共通)。

    もちろん、ホイールベースや重心の設定、タイヤ磨耗度によって微妙に違いはありますが、いくら239mmの
    Lホイールベースのシャシーでも、Mグリップに ソフトインナー(sp.686) では食い過ぎてダメ。224mmのMホイールベースならもっとダメです。一方、Sグリップはコンパウンド的な問題でソフトインナーを入れてもハードインナーのMグリップより断然食わないのでコレもダメでした。結局、選択肢としてはMグリップ+ハードインナーのなかでブロックの磨耗度の違いで2〜3通りから選択するのが現実的な選択範囲でした(ブロックが残っているほうが食う)。かなりピンポイントな選択になりますが仕方ありません。

    ちなみに筆者は、Mグリ+ハードスポンジ+磨耗度「中」のフロントタイヤで練習から決勝まで通しました (写真は「使用後」なのでだいぶ減ってます)。グリップバランス的にはドンピシャだったので、タイヤは一切いじらず。 挙動を若干マイルドにするため、リヤダンパーバネを1段階固め、フロントトー角を若干トーアウト気味にした程度でした。 でもこの変更はほとんど効果ありませんでした。本当はデフ固めが一番効果的だったんですが、今回は都合により満足な レベルまで固めることができず、筆者にはハンドリングがわずかですがシビア過ぎたようです。

    リヤタイヤは以前から「ソフトインナーのMグリップ」が「お約束」で、今回も決め打ちで使っています。 (ROXでは)。さらに言うと、ROX3で使われるカーペット('06世界戦カーペット)はブロックのフレッシュな新品が一番食うので、 「毎回新品」にできたら理想的です。

    ただ、んじゃ〜上位選手は毎回新品のリヤタイヤで走ってるのか? というと、必ずしもそうではありません。 筆者の場合は新品タイヤは2組のみ、予選だけ投入して決勝は予選第2ヒートからの使い回しでした。 わずか2分の予選ではタイヤのコンディションはたいして変わりません。Aメインに残るような方でも、 人によっては新品1セットのみ、という方もいらしたはずです。 「まったり楽しむ」を良しとする真正Mフリーク独特の価値観からすると、カツカツなおカネのかけ方は「カッコ悪い」ので、 自ずと節度を持ってレースに取り組む格好になっているようです。

    とはいえ、「タイヤ」は勝負の土俵に上がるための最重要パーツ。あんまり手抜きしてると Aメインに残れなくなっちゃうんで、上位選手は皆さん、パフォーマンスとコストの折り合いを考えながら、 イベントの重要度に合わせて程度判断をされているハズです。ウデがない筆者は仕方なくややカツカツ気味 「1〜2セット新品投入」が通例です。

    ところで、これまで「ホイール素材」についてコメントしたことがなかったと思うのでこの機会に。 一般にホイールは混入素材の関係で 「クリア→銀→白→黒→カーボン」の順で丈夫になります。筆者はホイール塗装をする関係で下地処理が不要な 「白」をよく使いますが、 実はMシャーシ用の現行spパーツで白いのは スイフト用(sp.1237) しかありません。リヤタイヤのニューミニ用ホイールは催事限定品(税抜400円)です。安いからまとめ買いしたんですが、 「銀より丈夫でいいじゃん」とお気に入りに。07年のモデラーズギャラリーでもしっかり買い込んじゃいました。 ホビーショーやタミヤフェア、タミヤサーキットショップでも手に入るはず。お奨めです。
    では個別の説明に入りましょう。フロントダンパーは'07プロト仕様の初版TRFダンパーの全長56mmから、 シリンダーケース長が若干短いCVAスーパーミニ に変更して縮み側ストロークを稼ぎつつ、全長は52.5mmと一段と詰めました。「'07プロト」で既にセッティングの方向性は見えていたので、 それを一段と進化させ、合わせてハイサイド(転倒)対策として車高下げも推進してみました。

    ダンパー本体はTA05に付属していて使わなくなっていたモノの流用で、オイルはとりあえず無難そうなところで400番を入れています。 TRFダンパーだとオイル200番くらいのイメージです。ピストンは3穴です。
    ここまで全長を詰めるには、インナースペーサーだけでは不可能です。ダンパーエンドに2.6mmのピンバイスを通して ダンパーシャフト用のネジ穴を貫通させ、バネを先に組み込んでおいてからバネの間からラジオペンチを突っ込んでシャフトを掴み、 ダンパーエンドを欲しい位置までネジ込みました。もうこれ以上はムリ〜、 というところまで縮めた結果が「52.5mm」だったわけです。まぁ52.0mmくらまでは可能ですが・・・。

    というわけでバネ交換時もいちいちダンパーエンドを緩めないと外れません。戻すときも長さを計る必要があります。 ただ、「'07プロト」でご説明したとおり、M-04系のフロントグリップは、 ダンパーバネのバネレートに対する感応度が極めて低いようなので、 F103シャシーと同様に、フロントバネはめったに変更する箇所ではなく、実用上の支障はありません。
    ダンパー長を詰め過ぎるとバネのプリロードが上がりすぎてしまうので、バネ受けにはop.876アルミダウンリテーナー(税別定価1200円)を採用してプリロードを緩和してみました。1mm下がった程度ではあんまり変わりませんけど、気持ちの問題として・・・。もちろんアウタースペーサーもなしです。

    作例で使用しているバネは'07プロトを継承してM-04用標準の金バネ(部品コード9805921)のままですが、 ここまでプリロードがかかってしまうと、反発力としては op.333 ツーリングカースプリング(ショート) の赤(ソフト)と大差ありません。初期の沈み込みの違いを得られるので好みが分かれるところですが、 一般にM-04のフロントにop.333の赤や黄を使う人が多いのは、9805921バネが入手しにくいせいだけではなさそうです。 筆者の場合は、沈み込みの初期が柔らかくなりがちなop.333赤より9805921のほうが合ってそうですが、見直しの余地ありです。
    「'07プロト」で説明を忘れていましたが、フロントのホイールハブには、ノーマルの樹脂製6mm厚ハブから op.823 クランプ式アルミホイールハブ(5mm) に変更し、トレッドを左右1mmずつ計2mm詰めています。狙いは「磨り減ったタイヤ」と同じで、Mグリップコンパウンドを決め打ちで使うなかで、筆者の感覚としては、前後バランスとして、ちょっとだけフロントを逃がしてやりたかったからです。本当は 4mmハブ を使いたいんですが、アップライトに当たりそうだし、「'07プロト」では5mmハブでもハイサイドを起こしていたので、極端なアプローチは控えました。
    ただ、ハイサイドに関しては、今回からフロントタイヤがハードインナー標準になってグリップレベルが若干下がったことや、 フロント側車高を「'07プロト」比で半分程度に激減させることができたことから、十分対応できるだろうとは思っていました。 実際、湿度の高い重い路面にもかかわらずハイサイドの恐れを感じる場面は一度もなく、問題ナシでした。 アップライトとホイールの干渉問題を解決すれば、次回は4mmハブで更に安定した走りを得られそうです。

    フロントアップライトは、M-03Mスイフト発売に際して新たに作られたsp.1238 M-03M F部品 sp.882 TA04キングピン を「'07プロト」の時から使用しているわけですが、上下の「向き」についての説明がイマイチ不明瞭でしたので、改めて写真を撮り直しましたので ご確認ください。

    基本的にMシャシーのタイロッドはサスアームより長いので、サスがストロークするとアウト側タイヤが余計に切れ込む現象(バンプインステア) は不可避ですが、工夫次第で減らすことはできます。まずサスストロークを減らすこと。そして、 あらかじめタイロッドを少しでも「バンザイ」方向にセットすることで、サスアームの沈み込みに伴うトー変化を緩和することです。 作例では、バンプステアは特に感じられないレベルまで抑え込まれています。
    ただ、何事も「やり過ぎ」はイケません。「バンザイ」がいいからと言って、アップライトの上下をひっくり返して 上側からピロボールを取ろうとすると、「バンザイ」の角度が急すぎてアウト側の舵角が足りず、具合が悪いです(経験者は語る)。 バンプステアには吉でも、舵角不足ではクルマが曲がってくれませんから問題外です。


    もうひとつ、M-04/TL-01に共通したバンプステア対策で絶大な効果がある手法(というか基本過ぎて説明を忘れちゃいそう)として、 キット標準サーボセーバーのピロボール取り付け部の 台座部分(出っ張り)の切り落とし、というのがあります。
    M-04/TL-01にはsp.1000のハイトルクセーバーは長さ不足であまり適さないので たいていの方がキット標準セーバーにハイトルクセーバーのバネを追加して強化していると思いますが、その際に、 ピロボールをネジ込む部分を ニッパーでカットして面一にしておけば、ピロボール位置が下がり、効果的なバンプステア対策になります。これについては TL-01のページでも説明しています。 もともとは「ユーザーのアイデア」でしたが、その後TL-01LAキットで取り説指示に採用され「メーカー公認」になりました。 現状では特にタミグラでも問題になることはありません。
    サーボは、op.308アルミサーボステーで取り付けています。コレを使うと、スペーサーを使わずに フタバS9650サーボの出力軸がシャシーセンターに大体合うので、op.596のショートタイプにスペーサーを追加するより取り付け剛性が上がります。

    RCメカ配線の取りまとめも参考にしていただけたら。
    ただ、結果から言うと、S9650をM-04にマウントするのは、マウント穴を無理やり合わせている関係で衝撃に弱く、すぐにニュートラルズレや 取り付けネジの緩みが起きてしまいます。軽いは軽いですし、トルク的な不満は特にないのですが、アルミサーボステーを使っているのに サーボの取り付けが原因でニュートラルがズレてしまうというのは頭の痛い問題です。 シャシー上からサーボが突き出すのも美しくないので、次回のレースからはローハイトのS9550に換装してみようと思っています。 サーボステーの立て方に無理がなくなれば、クラッシュ時のニュートラルズレの問題は解消されるでしょう。
    今回は受信機を右サイドに配置してみました。「骨状」モノコックシャシーのM-04系では、受信機のやり場にはいつも悩みます。 もうひと回り小さければ、シャシー内側に仕込めるんですが・・・。

    このレイアウトだと、横からクラッシュするとクリスタルが壊れそうなので、 あまり賢い方法ではないと思っています。シャシー内側、バッテリーとサーボの間に仕込めれば、配線も合理的になりますし 見た目にも一番スッキリします。まだまだ改善の余地ありですね。







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