(posted on Jun 12, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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ユーノス ロードスター(M-04M)
(Item58325、定価11,800円(税別)、04年5月25日発送)
RCTチューン('07プロト)

M-02Mシャシーキットとして96年8月6日にリリースされたItem58180(定価11,800円)を
M-04系シャシーをベースにリニューアルしたモデルです。
ホイールベースはアルファロメオ・ジュリアスプリントGTAやM-03Mのスズキ・スイフトと
同じ、224mm。安定性と回頭性がうまくバランスした素性を持つリヤ2輪駆動シャシーは
「M-04M」と命名。キットでは、フロントに60Dラジアル、リヤに60D・Sグリップと
前後で異なるコンパウンドのタイヤが標準装備され、リヤグリップを確保。
フロントに採用された、ツーリングカー用としては最も柔らかいバネ(ゴールド塗装)と相まって、
安定した操縦性を確保しています。

ボディは、発売当時から実車同様に人気が高かったマツダ・ロードスター。
デビュー当初のリトラクタブルライト仕様です(「ユーノス」は当時の専売ディーラー網の名称)
軽く、低く、四隅が削り取られたフォルムは、RCレースにも最適な形状です。

ここでは、キット標準状態の説明は割愛して、07年6月2日に浅草・ROX3で開催された
タミヤGPに出走し、好感触を得た「RCTチューン」仕様をご紹介します。
('07年度タミヤ全日本のプロト仕様、という位置付けです)





Mシャシー「ウケ系ボディ」といえばコレ! ノースクラフト「コミカルレーサー」シリーズ

ギヤ比一覧表旧・M-04L製作記(99年7月〜)タミヤHP(M-04Lビートル)M-04Mユーノス取説

カツカツな1/10で疲れた遊び心を癒し、RCレースの楽しみ方を再発見するには 「安い・簡素・よく走る」のMシャーシが最適! ・・・というわけで、今後もタミヤさんにはぜひ継続的なミニスポーツクラス開催を望むところです。 実際、06年のスズキ・スイフトの発売以来、他社からのMサイズ四駆シャシーの発売などもあって 「Mシャーシ」ブームがにわかに再燃していることは喜ばしい限りです。

ただ、RCT的には何かモノ足りません。 路面を選ばず運転しやすいM-03系ばかりに出走車両が偏ってしまっているからです。 06年シーズンはスイフトのワンメイクだったので仕方ないんですが、 07年シーズンから「スイフト」縛りがなくなったわけですから、 もっとM-04系が活躍しても良さそうなものなんですよね。
一定のグリップが確保されている中低速コースなら、 トラクションを利して爆発的な加速力を発揮するM-04系のポテンシャルは圧倒的なものがあります。 M-03系は「どこでも破綻なく走る」のが美点ですが、グリップする路面での走り味、という点では やはりM-04系に分があります。なかでも回頭性の良いM-04Mはその最右翼です。

そこで、07年は自ら率先してM-04Mを走らせ、ROX3のような「ハマり役」でのM-04の速さを実証 してみようと思い立ちました。99年にキット紹介を書いて以来暖め続けていた「タミグラ出場」が遂に実現です。 振り返れば、タミグラEXP認定者がミニクラスから締め出されて、かれこれ10年が経ちます。 こんなに経ってしまうと、「機会がないのでMシャーシをやったことがない」というタミグラマスターも増えてるんですよね。 そういう人達にも、「こんなに走るんなら、自分もやってみようか!」って思ってもらえたらイイな、と思いつつ、 「人柱」になってみよう〜、というのが今回の企画です。
さて今回ご紹介する車体は、99年に初のM-04紹介レポート(ホンダS2000)をアップした際の車体をベースに、 リヤバルクヘッドを修正版に交換(後述)し、前後アップライトとRCメカをアップデート、 シャシースペーサーを撤去してホイールベースを224mmに詰め、 ユーノスボディに換装したものです。

ダンパーも初代TRFダンパー(銀色でアッパーリテーナーがWネジ式のもの)に 変更していますがコレはレトロ感を出す演出みたいなチョイスで、あまり意味はありません。 ダンパー長の設定も含め、あくまで暫定仕様です。99年頃から、M-04を走らせる機会が なくなり、全然消耗してないので、駆動系は当時のまんまです。ギヤ関係は、 消耗して鳴りがウルさくなったら交換予定です。
M-04系には、ホイールベース224mmのM-04Mと239mm(225/240mmと表記されることもあります)のM-04Lがありますが、 M-04L用のボディは、いずれもボディサイズが大柄なので、 グリップがありすぎて時にハイサイド(過大な横Gによる転倒)を起こすことすらあるROXのカーペト路面には 適しません。そこまでグリップしない路面であっても、重心が上がってしまうしホイールベースも長過ぎるので 有利なボディとは思えません。

やはり、レースをするならM-04Mのユーノスかアルファを選びたいところです。どちらが良いかは好みの問題でしょう。 いずれもノーズが短く「アゴ下」が丸いので、コーナーマーカーに引っかかる心配なく存分にインを突けます。 他車との接触や重量を考えると、少しでも小さいほうがいいよね、ということで筆者はユーノスを選んでいますが、 アルファで安定して速い選手もいらっしゃいます。タイムに表現されるほどの違いがあるとは思えません。
ちなみに現在、ユーノスのボディセットは絶版で、個別のボディパーツごとにカスタマーサービス取り寄せに なりますので注意してください。ステッカーやプラ部品(ドアミラー等)まで買い揃えていると大変なことになりますから、 筆者はボディ本体(部品番号1825151、1600円)のみ購入して、あとは自分で制作したマーキングで間に合わせています。

マーキングは、厚手のインクジェット用紙にプリントしたものを パーマ・ファスカラーの「ファスコート」(水性クリア塗料) で裏張りしたものです。 新しいボディ用のマーキングを最初に作るのは、自分の場合、ほぼ半日仕事ですが(要領悪いんで)、一度決まってしまえば 2枚3枚と塗るのはボディセットを買うよりも断然安上がりです。ボディ本体だけなら、 タミヤフェアやモデラーズギャラリー等の「ジャンク市」でもっと安く手に入る場合もありますし。

今回の作例は、フロントダンパー長が56.0mmと長過ぎ、フロント車高が10mmくらいまで上がってしまいました。 事前のセッティング出し走行では、ダンパーに焦点を絞ってさまざまな条件を試したのですが、どうもこのシャシーのフロント回りは、 バネレート変更の感受性に乏しく、どんなバネを使おうとあまり劇的な変化は出ない感じです。ぶっちゃけ、 バネの硬さを2倍に変えても、ほとんど反応しない、みたいな。

意外なのは、リバウンド量の設定には非常に敏感に反応することです。 とにかく、少しでもリバウンドを残すと、テキメンに「曲がるクルマ」になってしまいます。 普通は喜ぶんですが、リヤ駆動のM-04Mだとマキマキのクルマは制御に困ってしまうので、 フロントグリップを逃がしてやらないといけません。 最近のツーリングカーのノリで、
2mmとか3mmといったリバウンドを付けてしまうと、 どんなバネを付けようと関係なく、マキマキになってしまいます。これは筆者独自の見解ではなく、 ROX3で他の速い人に聞いても同じ結論でした。 「M-04のフロントダンパーにはプリロードをかけるのがキモ」のようです。

今回は、まさかプリロード が必要とは思ってなかったので、事前にダンパー長をメいっぱい詰める、なんてことはしてませんでした。 間に合わせとして、リバウンドがなくなるまでアウタースペーサーを下ろし、結果、フロント車高が10mmくらいまで上がってしまいました。 それでも大丈夫だろうと思っていたら、グリップが上がった決勝では、ハイサイドが発生してプッシュできず。やはり 車高はしっかり落としておかないとダメですね。 次回はそのあたりを最初から 考慮して、低重心化に加えてフロント車高を5mmくらいまで下げるつもりです。
ちなみにリヤの車高は5mmくらいで、リバウンドは3〜4mm確保しています。リヤ駆動の場合、 とにかく「リヤグリップ命」なので、リバウンドは多めのほうが良いです。どっちみち、 荷重の関係でかなり固いバネを入れますから、伸び代を大きく取ってあっても、やたらロールして フニャフニャした動きになることはありませんから。

非常識に「前上がり」のシャシー姿勢になっているので、キャスター角やロールセンターの変動によるステアリング 特性への影響が気になるところですが、実際のところは、フロントダンパーのリバウンド量がフロントタイヤのグリップに 及ぼす影響のほうがはるかに大きいようで、キャスター角やロールセンターの影響は体感できません。 実際、後日、フロントダンパーを詰めてフロント車高を落とした状態で走ってみても、 特にオーバーステア傾向になるようなことはありませんでした。
シャシー裏面はこんな感じです。
M-03の作例を踏襲し、バッテリーホルダーを廃止(切除)してグラステープ止めにしているので スッキリした見た目になっています。

前後アップライトはM-03Mスイフト用の sp.1238「M-03M F部品」 に入っている軽量タイプのアップライト( 詳しくはこちら)に換装し、最新仕様にアップデートしています(装着には sp.882 TA04キングピン も必要です)。 フロント回りはトー角とアッカーマンに注目(詳しくは後述)。 フロントのトー角は若干トーアウト気味(ほぼニュートラル)、リヤは2度のトーインです。 リヤグリップは目一杯欲しいので、トーインは本当は2.5〜3.0度くらい欲しいところです。 M-03Rのアルミリヤアップライト(1.5度)に換装してリヤトーインを減らすなんて、まず考えないほうがいいです。
さて、冒頭で「リヤバルクヘッドを交換」と書きましたが、これについて説明しておきます。

既にM-04の発売から8年目を迎えているので、いまから購入するキットでは心配無用ですが、 筆者のシャシーは、発売当初の初期ロットだったので、リヤバルクヘッドのサスピン穴位置に不具合がありました。 金型の製造ミスで、バルクヘッド側サスピン穴の左側だけ、トーインが付いてしまっていたのです。

もともとM-03/04は、TL-01用アップライトを採用した関係で、リヤトー角は「ゼロ」がキット標準、 optのトーインアップライトで2度のトーインを得るようになっていました。ですから、サスアーム側にもトーインを 付けてしまったら、optのトーインアップライト入れたらトー角が過大になってしまいます。 しかもこのケースでは、トーインが「片側だけ」なんですから、直進すらおぼつきません。
そもそも、バルク側サスピン位置でトー角をつけるなんて設計は、それまでのタミヤ車では実績がありませんでした (すべてアップライト側でトーインを付けていた)。その点から考えても、 このバルク側サスピン穴の設定は「あり得ない」とスグに感づく話だったわけです。初期ロットのM-04L(ホンダS2000やBMW)を手にして、マトモに直進しなかったり左右の曲がり方がおかしいクルマに手を焼いた方も多かったと 思いますが、実はコレが原因だった(他の要因もあり得ますが)、というわけです。

当時、筆者は気付きませんでしたが、99年6月のM-04最初のモデル(ホンダS2000)発売からわずか4ヶ月の間に問題が発見され、金型が修正された模様で、99年10月以降は対策品に切り替わっています。ですから、本当にごく初期のロットでないと、この問題はありません。

金型修正の跡は、左写真をみれば一目瞭然です。金型に残る古いサスシャフト穴位置の跡が見て取れます。


さて次にタイヤです。
07年6月にライトチューンモーター が発売され、以後のミニスポーツでは540SH/Jに変わってライトチューン指定になりましたので注意してください。 ここでの説明はROX3などで使われるようになった、前年のタミヤ世界戦(今年は06年のもの)で使用したカーペットを敷いた路面と 540J&19Tピニオン指定を前提にしています。具体的に何がライトチューンと変わるかというと、ライトチューンは540よりも ブレーキトルクや最高速がアップするので、よりフロントを逃がしてやらないと曲がり過ぎてしまいます。

一般にパワーが上がるほど、クルマを安定させるために「曲がらないセット」にする必要があり、アンダーパワーになるほど 攻めた「曲がる」セットにしないとタイムが出ません。アンダーパワーでは舵角を減らしてコーナーでの
駆動ロスを減らしたり コーナリングの軌跡をコンパクトにまとめないといけませんからね。

ということで、採用したのはカーペットで一番食うと定評の Mグリップ(sp.684)前後とも SP-686(ノーマルスポンジ) です。 フロントには OP-255ハードスポンジ のMグリップ、もしくはソフトインナー(ノーマルスポンジ)のSグリップを付けたほうが グリップが落ちるので運転はラクですが、ベストラップは望めません。 さらに言うと、フロントに新品タイヤを使うとグリップがあり過ぎて操縦不能なので、あえて ツルツルになりかけの使い古しのタイヤをフロントに回しています。左上写真がフロント用ですが、コレでもまだ 「減り」が足りないくらいでした。逆に、リヤはパーティングラインの残っている新品でないと グリップが落ちるのでダメです。タイム的にはこの組み合わせが一番速いことは、予選でベストラップを記録したことでも実証されています。 なお、リヤタイヤは、ネガティブキャンバーが強い関係で内側の偏磨耗が激しいので、減ったらフロント用に回すと良いでしょう。 また、一般の路面ではスリックのほうが逆にラジアルより食うケースもあるので、そういう場合に備えてストックして置くのもテでしょう。





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