(posted on Aug 3, 2005)
(updated on Jul 24, 2009)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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メルセデス・ベンツC11
(Item58088、1万3000円(税別)、1990年11月6日発送)
<復刻完成ボディ仕様>(Item58351、1万4000円(税別)、2005年8月10日発送)
<第2次再販(赤黒2色パッケージ)>(Item58351、1万7800円(税別)、2009年3月25日発送)



1980年代半ばに大ヒットを記録した1/12「ポルシェ956」「トムス84C」の
後継として、1990年11月に発売されたのが「ベンツC11」です。
90年5月に発売済みの新世代F1シャシー「フェラーリF189」のコンポーネントを流用、
シャシーをABS樹脂製のバスタブフレームをコアとしたコンポジット(複合)タイプに変更し、
「ポルシェ934/935」や「タムテック」シリーズの流れを汲むホイールベース可変機構を備えて
多様なボディへの対応を可能にしたのが大きな特徴です。

残念ながらセールスのほうは、実車人気の凋落とともに急激に尻すぼみだったようですし、
走行性能や燃費の面でも、540パワーで十分に速かったF1シャシーと比べ、かなり見劣りしましたが、
「大きく重い」という難点は、反面「丈夫で扱いやすい」という美点でもあり、
1車種ごとに専用ホイールまで用意されたリアルなボディと相まって、
バギー一辺倒だった当時のユーザーにオンロードの楽しみを伝える「間口」を広げたという点で
その後の空前のRC・F1ブームの先導役を果たした名作、と評価できそうです。



ギヤ比一覧表

モデラーズギャラリーやカスタマーサービスでの2001年以来の段階的なCカーボディの復刻再販を後追いする形で、 2005年5月の静岡ホビーショーで「ベンツC11」「ジャガーXJR12」の復刻が発表され、いよいよこの8月10日、 ベンツC11復刻版キットのデリバリーが開始されます。ネットオークションでの初版(Item 58088)の実勢相場は25,000円前後で、 定価が13,000円だったこと、生産終了から間もなく10年近いことなどを考慮すれば、「まぁ、そんなもんかな」という 水準ですが、従来の復刻版に見られた「オークションで初版が高値取引されていたキット」では決してありません。

それなのにナゼ復刻? と思う方も多いかも知れませんが、考えてみてください、F103シャシーの生産終了に伴い、現在、 ダイレクトドライブ(DD)シャシーは完全にタミヤのカタログモデルのラインアップから消えてしまって
いるのです! それにもかかわらず、F103のスペアパーツは相変わらず根強く売れ続けています。インディカーボディや 一部のオールドF1ボディのように、雑誌社の企画や問屋筋の要請でスポット再生産されるケースもあったくらいです。つまり、 90年代前半のF1ブームを支えた往年のRCファンの多くが DDシャシーの復活を密かに願っているわけです。ベンツC11の復刻は、そうした声へのひとつの回答であり、 今後のDDシャシー企画の可能性を探るテストマーケティングなのかも。F103があるのに、今さらF101/102の復刻は ナンセンスだろうし、とはいえF101/2用のアフターパーツもカスタマーサービスに再ストックしたいし、どっちみちF1は「次のタマ」に使えるから、 まず最初は、やや「色モノ」の気があるCカーから手を付けたほうがいいだろう、というような判断ではないかと。この他にも、 モデラーズギャラリーでF201用にと再販したCカーボディがあまり売れなかったので「いっそシャシーも出してしまえ!」 といった事情もあるようなないような・・・ですが、まぁとにかくちゃんとキットが出ることになったのはユーザーには大歓迎です。
そんなわけで、今回、ベンツC11には58351、ジャガーXJR-12には58352という「カタログ定番」のキット番号が 付与されていますけれども、実質的にはスポット生産みたいなものだと思われます。「ホーネット」のような バカ売れは当初から期待できず、流通在庫が長期化しそうなので、流通に配慮してあえて「定番扱い」とした、 というのが本音ではないでしょうか。

ですから、復刻Cカーシャシーに関しては「いつまでも、あると思うなキットとパーツ」と思ったほうが良さそうな気がします。 あくまでも「RCT推定」であって、メーカーへの取材に基く判断ではないんですけど。

また、今回キット番号が変更になったことから分かるとおり、今回の再販は、オリジナルキットの完全な「復刻」ではなくて 「塗り完ボディがセットされた新キット」という扱いです。定価も14,000円と1000円アップしていますが、
塗装の手間を考えれば、むしろ「実質値下げ」とも言えるお値打ち価格です。

塗り完、というのは、 オリジナルカラーを塗りたい人には大問題ですが、この作例でも使用している「モデラーズギャラリー向け復刻ボディ」 にはステッカーが付属していますから問題ありません。カスタマーサービスにも補修用クリアボディとステッカーの入荷はあるはずですから入手に大きな問題はないでしょう。

(8/23/2005update)当ページ公開当初、「モデギャラ特売ボディにはステッカーがない」と書いていましたが、自分で組んでおきながら、ステッカーがキチンと付属していたことをテッキリ忘れていました。開封してから実際に塗装するまで、数ヶ月経ってしまったので、開封直後に分別して大事に保管していたのをすっかり忘れていたのでした。昨日ステッカーを発見して間違いに気付きました。ここにお詫びして訂正します。
いやしかし、今回、倉庫から7年ぶりにシャシーを引っ張り出し、改めて組み上げて手にしてみると、その圧倒的なデカさにただ驚きます(苦笑)。 「ハチイチかよコレ!?」みたいな(言い過ぎ<爆>)。

実際の大きさは、全幅200mmはF1と同じながら、全長はなんと490mm! ちなみに1/12のレーシングマスターMk.6「ポルシェ956」は全幅177mm×全長377mmでしたから、 縮尺スケールの違いを考慮すれば「幅」はそんなもんかな、とは思いますが長さは3割も延びています。面積換算では約1.5倍の大きさです。そりゃデカいですよね。

この原因は280mmという長大なホイールベースにあります。Cカーシャシーでは、ホイールベースをF1シャシー標準の260mmのほかに270mm、280mmと3段階に 可変できるのですが、ベンツC11(Item58088)、ジャガーXJR-12(58092)、ニッサンR91CP(58109)のホイール
ベースは、最も長い280mmが指定なのです。実はF103L(インディカー)やF201と共通の値です。そもそもモデギャラでCカーボディが再販されたのは 「F201のテコ入れ」というのが動機だったようですから。リヤウイングの装着にかなり無理がありましたし、F201そのものが普及してませんから、 実際F201に載せてサーキットを走っているのは見たことがありませんが。

なお参考までに、もう1種類のCカーボディ、マツダ767(Item58102)だけはホイールベース270mmでした。 また、ツーリングカー系の300ZX(58091)、NSX(58094)、F40(58098)はいずれも260mmです。TA-01以降のツーリングカーのホイールベース 257mmともほぼ一致していたため、TA-02Wシャシーとして300ZXボディが流用されたり、タミヤのエンジンカーレース用に使用可能ボディとして NSXとF40がAO(アフターサービス・オリジナル)商品として再販されたりもしたわけです。
このスケール感優先のホイールベース設定の結果、Cカーは決定的に「大きくて重い」「曲がらない」クルマになってしまいました。 当時のタミヤでは、まだまだTRFの活動も限定的で、シャシー設計の絶対条件も、入門者ユーザーが手にする前提で 「どんな路面でも絶対にオーバーステアの出ないクルマ」というものだったそうですので (雑誌に掲載された2000年頃のインタビュー記事によると)、そういう当時の社内事情からすると、無理もない話です。 とばっちりを受けたのは、「ある程度、腕に覚えのある」ユーザーで、非常に走りずらくて面白くなかったわけです。実はTipsで説明のとおり、タイヤを換え、 現行のタミヤGP規定なら特に問題にならない程度のちょっとした工夫で、見違えるように良く走るマシンに生まれ変わるんですが、 当時はCカーのユーザー数が少ないうえ、インターネット普及前の時代でしたので、ほとんどのユーザーが「曲がらないクルマ」に1人で悩み、 悪戦苦闘していたわけです。
「Cカー」というテーマそのものには、後にサードパーティーからジャガーXJR-14やプジョー906、トヨタTS010といったボディが 発売されたように、それなりに魅力があったはずなんです。筆者も個人的にタミヤからジャガーXJR-14の発売を待望していたくらいです。 タバコ広告規制の関係でダメだったようなんですが。それにしても、肝心のシャシーが走って楽しくなければ全然ダメなわけで、 やはり当時の状況として、走りの点ではF1には全く及びませんでしたから、廃れてしまったのは仕方がないのかなと思います。 しかし、DDシャシーが市場から消え、「カツカツレース目的」のユーザーではなく「モデラー系」のユーザーに売れる環境が整った今なら、 「DDをまったり楽しもう〜」という提案ができると思いますし、初版の当時は「ダメ」の烙印を押されてしまったCカーシャシーもそれなりに 売れそうだし、カツカツとは違った楽しみを見出せるユーザーも掘り起こせると思うわけです。
さてそれではそろそろいい加減にシャシーの説明に移りましょうか。ご覧の通り、バスタブにFRPおよびポリカ樹脂製の サブフレーム、フロントサスアーム、ギヤボックスを組み合わせたコンポジットシャシーです。 メインシャシーとサブフレーム、バンパー&ボディマウントを除くと基本的にはCカーの前に発売された F1シャシー(後にF101と命名)と共通のパーツばかりなのですが、このTバーだけは違いました。F101よりも前後長が短くて 剛性が高め、Tバー取り付けビス位置=バッテリー位置も後退した設計です。ちなみに、このTバーを流用してバッテリーをリヤ寄りに配置し、 仮設コースでのトラクション改善を狙ったのが、92年3月発売の「マクラーレンMP4/6ホンダ(F102シャシー)」です。 当時、「実はF102用とCカー用は微妙に違う」というという話もありましたが、カスタマーでは区別していませんでしたし、 具体的な「違い」も明らかでないので、真偽のほどは不明です。
このマシンは基本的に「チューン後」の姿ですので、各部のディテールはキット標準とはかなり異なります。 キット標準では540スポーツチューン装備ですが、上の写真では昔のオリオンの23Tストックを載せています。 モーターマウントはop.106「RDアルミモーターマウント(定価1600円)」に換装、ダンパーは間に合わせのCVAミニ、 タイヤ&ホイールはF1用、という按配です。Cカーではキット純正の大径ホイールはフロントはベアリングサイズが1150と F1の850と異なるほか、リヤホイールはポリカ製の専用ハブを介して着脱するスタイルなので、直接的に互換性はないんですが、 フロントはベアリングサイズが違うだけですし、リヤはポリカ製ハブを撤去して「裸」にしてしまえばF101/102のハブそのもの ですから、すんなりF101〜103用のホイールが付いてしまいます。








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