(posted on Jul 19, 2007)
(updated on Oct 18, 2007)
タミヤRC製品・即買いカタログ
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ポルシェ934ターボ(2)







さてここからはシャシー編です。タイミングを逃してしまい、 アップが大幅に遅れてすみませんでした!

ボディを取り去ると、当時はごく普通だった、オール金属製シャシーの銀白の輝きがまばゆいですね。 RCメカが載っていないので余計に際立ちます。シャシー板厚は確か1.0mmだったはずで、現在の水準からみると 非常にヤワです。当時も結構、よく曲げてました。まぁ手で曲げ戻すなどかなりメチャクチャな使い方でヨシとしてましたけど(苦笑)



現代のオンロードシャシーと比べると、地上高が非常に高いことに目が向きます。確か10mmくらいあるはず。
1979年末までのごく初期のタミヤRCシャシーは、シャシー底面のビスも含めて、ビスはすべて「マイナスドライバー」で回す 「丸ビス」を採用していました。このため、車高を下げるとビスの頭が擦れてなくなってしまうのです。 当初はタイヤが中空ゴムのみで、タイヤ磨耗に伴う車高変化はほとんどなかったのですが、 独自にスペーサーかまして車高を下げた人には大問題でしたし、1978年5月にはスポンジタイヤも発売されましたから、 タイヤが減って車高が下がるとビスの頭がガリガリになって困ったものでした。ただ、当時は砂利の多い路面などで 走る機会も多く、車高の高さは「幅広い路面への対応」という点では有利でした。実際、筆者も当時は 小学生で怖いモノ知らずだったので(苦笑)、ポルシェやF-1のリジェを学校の校庭の土の上で走らせたり、 なんてメチャクチャなことをやってましたからー!!
他社では既に1978年頃から皿ビス仕様が当たり前になっていましたが、タミヤでも、ようやく1980年2月頃、 「カウンタック競技用スペシャル」用のoptとしてFRPシャシーを発売したのを皮切りに、 レース専用モデルを中心に徐々に皿ビス仕様が採用されていきました。

初期のタミヤRCシャシーの多くは、バッテリー搭載位置が重心より前でした。 当時はRCメカが重かったし、RCメカ用電源として単3×4本を別途積んでいたので、RCメカと機械式スピードコントローラの総重量は 250gを超えました(標準サーボ40g×2+固定抵抗式スピコン30g+受信機40g+電池70g+ RCメカ電池BOX&スイッチ20g=280g!)。カタログ写真のとおりにメカ積みをすると、RCメカの総重量とバッテリー (タミヤカドニカ6Vパックのカタログデータは305g)がほぼ釣り合ってしまいます。モーター重量を考慮した フル装備時の重量配分としては、48:52くらいの理想的な値になっていたのではないでしょうか。ちなみに全備重量は約1200gでした。 タムテックギア・ポルシェ934が800g前後で仕上がってしまうことを考えると、 技術の進歩を感じずにはおれませんね。
昨今のタミヤ車の重量配分から考えると、かなり「攻撃的」な重量配分だったことが伺えます。 改めて考えてみると、934を設計した当初の状況として、滝博士自身が1/8GPレーシングカーをかなりヤリ込んでいた (企画段階では1/8GPの練習用ニーズも見込んでいたようです) ということがあったので、その影響がかなり反映されていたのではないか、と思います。そういえば、 カウンタック(78年6月発売)なんて、リヤオーバーハングが短いこともあって、 グリップの低い路面で540モーター付けるとオーバーステアで走れなかったですものね。 実はごく初期のタミヤ車は、そのくらい「ピクピク」なクルマ作りから出発していたわけです。 当時はパワー不足だったので問題が表面化しにくかっただけで。
後年、「タミヤアンダー」とも称されるようになった 「どんな路面でもオーバーステアを出さない=かなり強固なアンダーステア」という、入門者を最優先した設計思想が根付くようになったのは 第2世代F-1シャシーのリジェやF-2シャシーを発売した1978年末〜79年頃からのようです。そういえばあの一連のモデルから、 露骨にバッテリーがモーター直前まで下がって、もぅ〜どううう〜しようもないくらいに曲がらなくなっちゃいました。 第2世代F1やF2が出た79〜80年といえば、JMRCAをAYKシャシーが席巻した時代。 ひたすらレーシーな、食うタイヤ+曲がるシャシー+ハイパワーのパッケージングがもてはやされていました。それなのに、 タミヤの設計はまるで逆行していました。当時は今のようにメディアも発達しておらず、 メーカーの設計意図がうまく伝わっていなかったので、かなりユーザーに誤解されたのではないでしょうか。かくいう筆者も 2000年頃まで20年余りの間、ずーっと「誤解」していましたヨ!(苦笑)。「アンダーステアを意図的に設計に織り込む」なんて、 常識からするとあり得ないですものね。
フロント回りはとにかく「シンプル」の一言に尽きます。でも、当時の設計は試行錯誤の連続だったし、加工技術も未熟だったので、 アップライトは単純な部材を寄せ集めた組み立て式でした。使用している部品は異なりますが、設計のコンセプトは 当時の「楽しい工作シリーズ」のパーツ群と共通しているのが特徴です。当時はXR311のタイヤのように、RCパーツが 「楽しい工作シリーズ」にそっくり転用されちゃったケースもありましたね。
934の外見上の最大の特徴である「針金バンパー」。
単にピアノ線をプレス加工しただけですが、基本的にアフター扱いでしか出回らなかったので、バラで入手するのは 極めて困難なアイテムです。当てるとすぐ曲がって消耗も激しかったはずですし。
第2弾のポルシェ935からはABSバンパーに置き換わったわけですけれども、個人的には、針金バンパーのほうが 見た目がスッキリして好きですね。でも当てるとすぐダメになっちゃうのかな?? バンパーよりも、むしろ シャシー側のバンパー取り付け部が弱くて、すぐ曲がりそうですね。
タイロッドは決め打ちの長さで、かなりキツいトーインになっています。 後に、別売でアジャスターロッド(sp.68、78年11月発売)が発売されたので、ソレで調整できるようになりましたが、 アジャスターが出るまでは、模型店で買ったピアノ線を自分でペンチで折り曲げて適当な長さのロッドを自作していたので大変でした。
当時のビス類はすべて「マイナス」のネジ頭でした。マイナスネジは、ネジ頭の強度に問題があるとされますが、 ネジ頭をドライバーでナメることはまずないので、個人的には好きでしたね。現在のプラスネジにはホトホト泣かされることがあります。

ネジ類のプラスネジへの移行は、80年以降のオンロードシャシーの皿ビス化やオフロードモデルのタッピングビス化などによって 段階的に進みました。筆者が1991年夏にRC復帰した際、イザ組み立てようとしてタミヤキットのネジ頭が全部「+」になってたことに面食らったものです。
1970年代〜80年代初頭に設計されたモデルの3mm六角ナットは、今よりもひと回りサイズの大きい、 真ちゅう製のものでした。当時のキット付属の標準工具は、4mmナイロンロックナットとこの3mmナットに 対応するサイズになっています(現行の標準工具とは別物)。

真ちゅう製の3mmナットは、83年頃から売れ筋がタッピングビスを多用したオフロードモデルに移り、 JISネジとナットが使われなくなったのに伴い、消滅しました。
実は934と935のホイールは、ベアリングが使えない仕様です。4mm丸ビスをアクスルシャフトとして、 そこに真ちゅう製の厚手のブッシュを挿入し、ホイールをかぶせる、という構造になっているからです。 第3弾のタイレルP34まで、フロントホイールはすべてこの構造でした。

このような構造では、当然、高速走行すると丸ビスのネジ山とホイールカラー(真ちゅう製ブッシュ)が 擦れて磨耗しますし、摩擦も増えます。 筆者が934や935を手にした頃には、カウンタック/ポルシェ936が出ており、 カウンタック/936用の1150ベアリングを使える新型ホイールが普及していたので、あまり問題に なりませんでしたが、初期のユーザーはさぞかし磨耗に悩んだことと思います。まぁ360/380パワーだったから たいしてスピード出なかった、というのがせめてもの救いでしたが・・・。
カドニカホルダー。

今だったら、こんなもんは速攻で撤去して、シャシーにグラステープでバッテリー直止めして軽量化&低重心化、と すぐ反応してしまいますが、当時は実に素直に、この上に樹脂製のケースに入った重たい6Vパックをウヤウヤしく 装着してたもんです(笑)。あの6Vパックなんて、今見たら「ふざけんな(笑)!」とか言って速攻でバラして 収縮チューブで巻き直しちゃいそうな勢いですね。え、「タミグラNG」?・・・そうですね当時もバッテリーは タミヤ製と明らかに分からないとダメでしたものね・・・(オソマツ)。
ちなみに、当時のバッテリーパックはこんなモンでした。
(Item55002 タミヤカドニカ6V-1200mAhバッテリー(77年8月発売)の例)
写真は現在でも見かけるチャンスが多い後期型の6Vパックです。
6V初期型のパックはこちら。
発売当初の1年間くらいで後期型に切り替わってしまったので、マトモに現存している個体はごくわずかでしょう。筆者もラベルが擦り切れて読めないようなボロボロの個体しか持っていません。
こちらがItem55008 タミヤカドニカ7.2V-1200mAh(通称ラクダパック、79年7月発売)です

樹脂製ケースのせいで、1200mAhなのに5セルで305g(カタログ値)、6セルで360〜370gもありました。
シャシー中央の両サイドにはキャッチピン用の加工が施されています。キャッチピンの位置決めは繊細で、 1mmでもズレてしまうと、もう建て付けがテキメンに悪くなりますから(何しろ硬いプラボディですし)、 他のボディに転用するのはなかなか大変でした。自作ボディはかなり難易度が高かったと思います。







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