posted on 3/18/2003
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RC Car Trend バッテリー研究室

<安定化電源の質は充電にどう影響しているか?>



「フリートークの部屋」で出た安定化電源の質の話題について、レスをつけてくださった「電気屋さん」が
実際の計測データ例をご提供くださったのでここに掲示します(ご協力感謝!)。


<今回の計測条件>
使用機材
・オシロスコープ:DL1540C(横河電機製)
・電流プローブ:AM503S(Tektronix製)
・充電器:Power's DC2
・安定化電源:
 (1)菊水製(型番不明)MAX30A、電流制限機能(カレントリミッター)つき
 (2)コーセル製LCA100S12 MAX8.5A<
・電源電圧:12V固定

グラフ読取上の注意
・ヨコ軸は時間ですが、グラフ毎に単位時間は異なります
・タテ軸は電流で、1マス=5Aです



まず、電源(1)を使用し、30Aのキャパを制限しない状態で、1.5A充電を行った場合のグラフを示します。



次に、電源(1)を使用し、30Aのキャパを制限しない状態で、3.0A充電を行った場合のグラフを示します。


1.5Aという控えめな充電電流の設定値でも、実際には17.5Aものパルス電流が流れていることが分かります。また、この最大電流値は安定化電源側ではなく、充電器側で制限されたものであり、充電電流の設定を増やしても、電流の最大値は変わらず、時間軸の変化(電気の流れる時間が変わる)、すなわちデューティ比の変化でトータルの充電量が制御されていることも分かります。なお、以上の状況はあくまでもDC2での例であり、他の充電器では制御方法や最大電流値の設定が異なりますから注意が必要です。


では次に、「安定化電源がMAX5Aの容量しかない場合」を想定して、
電源(1)のカレントリミッターを5Aに設定し、3.0A充電を行った場合のグラフを示します。



大放電突入時に一瞬、7.5Aくらいまで針が振れますが、カレントリミッタが効いて5Aに収束していきます。
この間、充電器は大電流が流せないことを自動的に判断し、充電パルスの時間を伸ばし、低い電流値でも所定の充電量を確保する制御をしていることが伺えます。


ここまでは同じ安定化電源を使用していましたが、
最後に、安定化電源を(2)に変更して容量不足の影響を再度チェックしてみました。
電源(2)は、MAX8.5Aの定格です。これで上記の実験と同じ、3.0A充電をしてみました。


こちらの電源にはカレントリミッタがないため、立ち上がり波形の形が異なりますが、本質的な問題ではありませんから無視しましょう。注目すべきは、波形が安定化電源の定格容量である「8.5A」に非常に近いところで頭打ちしている点です。


以上の結果から、RCTは次のように考えます。

(1)充電器の本来要求する最大電流値は15A〜20Aに達する可能性がある

(2)充電器の要求する電流が流せない場合でも、「バッテリーに電気を蓄える」ことは可能だけれども
   充電器の性能がフルに発揮されていないのは明らかで、バッテリーの仕上がりにも影響している可能性がある。

(3)最大電流は非常に短時間しか流れないため、出力側にかなり大容量のコンデンサ(数Fとか)などを
   追加してやれば、容量の小さい安定化電源でもイケそう(かさばりますけどね)。


(以上)



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