<指定機材>
充放電器:Turbo35(Competition Electronics社製) Turbo30, Turbo35-GFXも可
充放電器に関しては、世界的に標準的な計測器としてワークスでも必ず使っているCE社製品を基本としています。Turbo35(BL含む)以外のCE社製品は測定精度の互換性を検証できていないので再現性について保証しかねますが、メーカー内で機種間のデータ互換性はある程度確保してるでしょうから、恐らく大きな問題はないでしょう。
今後は、フタバCDR-5000への移行ないし並行利用を検討しています。
CE社製品は、いずれも一定間隔毎の詳細な放電データを自動保存してくれないという実にタコな仕様で、
放電データの取得と保存に大変な手間がかかるためです。ただ、実際にどのようなデータを吐き出すのか、確認が必要です
(筆者はまだ購入してません)。
CDR-5000は市販放電器で唯一40A放電ができることにより、より幅広い大電流放電特性の検証ができる点も魅力です。
このほか、データ記録が出来ない廉価版として、マッチモア製セルマスターも検討中です。こちらはRCTでも実機を保有しているのですが、
Turbo35とのデータ互換性を検証する機会がなかなか取れないので具体的なキャリブレーション方法は未決定です。
セルマスターは動作がやかましいし、充電ロジックの関係で作業効率がかなり悪い(充電に時間かかり過ぎ)ので、
そのあたりも採用のネックになっています。レース用の充電器としてはイイものだとは思うんですけどね。
安定化電源:ストレート社製「SAI-150A」
別に、イーグルのトランス式電源とか、アルインコの無線用安定化電源などでも構わないとは思うのですが、一応、電圧変動が小さくてRC充電器用に最適化した設計になってるということもあるので、SAI-150Aを使うことにしています。この電源の品質の違いが結果に影響することはほとんどないと思うのですが、「充電失敗」は計測に致命的なダメージとなりますから、充電失敗を徹底的に避ける、という意味合いで、良い電源を使うに越したことはありません。
なお出力電圧は「14.15V」にしています。何でこんな中途半端な数字なのかというと、SAI-150Aの採用以前に使っていたイーグルの14A安定化電源の出力電圧の最大値(電圧ボリュームで調整)が14.15Vだったからです。計測データの継続性を可能な限り確保するために「過去」を継承しているわけです。仮説としては、電源電圧が多少違っても計測結果が大きく変わることはないだろう、とみていますが、残念ながらRCTではまだ検証する余裕がありません。どなたか検証してみませんか?
電圧測定:一般のデジタルテスター
Turbo35の測定値との同等性を確保するため、あらかじめTurbo35の表示値と一致するように校正しておくことをお奨めします。
温度測定:非接触式赤外線温度計
これはまだ試行錯誤の段階です。非接触式(赤外線式)でも接触式(サーミスタ式)でも、センサーの検出精度でバラ付きがでてしまうので。でも押しなべて非接触式のほうが安定した測定ができているので、非接触式で固定化したいと思っています。
RCTがメインで使っている温度計は、以前にヨコモなどでも販売した佐藤計量器製作所製・SK-8700ですが、昨年からヨコモさんはオプテックス製・QT-02を扱うようになり、コレが結構イケてます。一般の通販では先のリンクのとおりの価格が相場なんですが、ナゼかRC量販店では実売3600円前後と激安なのでおススメです。気になる測定誤差ですが、SK-8700と入れ替えながら測定してもバッテリーに関してはほぼ変わりませんでした。ただ、他の素材だと反射率の違いによっては測定誤差が拡大するかも知れません。モーターとかはそうでした。QT-02は「金属」は苦手なのかも。あくまで「バッテリーの温度計測では互換性アリと考えてよい」ということです。
冷却:PC用の一般的な80mm冷却ファン
RCTが使っているのは、松下電工(当時)製DCブラシレスファン SF80型(80mmタイプ)、定格12V-185mAという品です。SAI-150Aから充電器と同じ電圧(14.15V)を取って回しています。ただし、このファン、もう10年以上前のモデルで当然いまは絶版です。この間に松下のファンモーターは松下電器の管轄となり、後継機種として、流体軸受けタイプのFBA-08A12H(12V、173mA、風量39.6CFM)というのが出ています。互換性を重視するならコレかな。ファンは機種によってピンキリ。同じFBA-08Aでも仕様違いで風量の異なるものが6種類もありますから注意してください。
<計測方法>
デジタルテスターをバッテリー端子に接続し、放電開始から10秒間隔(電話117の時報やストップウォッチを利用)で電圧変化を記録していく
RCTでは、以前、ダイナクリエイトというところが企画・頒布した「測郎・計子」というオリジナルテスターを用いて計測値の取得を自動化し精度アップを図っていますが、これはもっぱら方法論の問題なので手動であっても特に問題はないです。ただ気が遠くなるくらい面倒臭いですけどね(苦笑)。一定間隔で自動記録してくれる市販のデジタルテスターもあるハズですが、そのテの商品は何万円もするので残念ながら一般には非現実的です。
なお、充放電器とバッテリーの接続は、とりあえず「ワニ口(ミノムシ)クリップ」です。パックとバラセルの両方にに対応できるよう、パックバッテリーの場合はコネクターのピンをミノムシクリップでつまんで接続しています。接触面積が非常に限られており、この部分での抵抗が気にならないわけではありませんが、実際の使用条件に近い状態を再現したいわけですから、コネクターピンの接触抵抗も含めて内部抵抗を測定すべきと考えているわけで、そうするとまぁこの方式でいいのかな、とは思います。ただ40A放電とかカマすと抵抗になって過熱・コネクター溶解とか起こしちゃうかもですね。大電流放電ではコネクターにも風を当てて冷ましましょう。
<計測条件>
充電レート:4.5A = 1.25C(3600HV)/1.5C(3300HV)
ニッカドバッテリーはすべて2C(定格容量の2倍相当の電流値の)としています。
Δピーク検出:-0.02V/6cell(Ni-MH)/-0.05V/6cell(Ni-Cd)
これがベストだとは思っていませんが、Turbo35での充電を前提に、バッテリーの負荷(過充電)と充電量とのバランスを考慮した結果です。他の充電器との数値的な互換性はまったくありません。例えばストレート製レコードブレーカーだと-0.04V/-0.08Vくらいの値で同等の充電結果になりそうです。
放電レート:20A
一応、基本は「伝統的な値」として20Aとしています。実際、8分レースではつい最近まで現実的な電力消費レートでした。最近はやや実際の方が電気を食うようになりつつありますが、まだまだイケるでしょう。ただ、もっと大電流での放電特性も知っておく必要があります。なので最近は並行して35A放電のデータも取っておくようにしています。
放電開始時表面温度:40度
温度高すぎるんじゃないの? と思った方は8分レースに毒されています。タミヤGPではそんなに長時間のレースにはなりません。特に予選はたった2分間ですから、バッテリーが温度上昇する時間がありません。バッテリー内部の反応熱が外装に達して発熱(=表面温度の上昇)として認識されるのは、もっぱら走行が終わってからです。ですから走行前に十分に「余熱」しておく必要があります。余熱の不十分なバッテリーは放電中の加熱で内部反応が一段と「活性化」し、放電電圧グラフが放電途中で「盛り上がる」という現象を招きます。これはスタートの温度が低すぎるから起きるのです。長時間走行のレースでは、スタートを抑え目にして中盤からチャージする、といった戦略的なチューニングとして積極的に走行前の厳密な温度管理をするのが理想的なわけですが、ことタミヤGPに関しては、走行終盤のバッテリー温度を見据えて走行前温度を設定するといった高度な管理はほとんど要求されません。ただ、燃費が問題にならないので、走行開始時の温度は高めに設定してパンチを稼ぐ、といったJMRCAとはまた違った工夫が、特にハイレベルなレースでは必要になる場合があります。
放電終止電圧:0.9V/cell
3000HVの頃から、カットオフ電圧を0.85Vとか0.80Vに下げるマッチドバッテリーメーカーが増えてきました。ただ、実際問題として0.90Vも0.80Vも計測される容量はほとんど変わりません。1.0Vを切ったあたりからは電圧降下のペースが急激になるためです。せいぜい50mAhくらいの違いにしかなりません。どのセルが容量が多くて、どのセルが少ないか、という「序列」が変わるわけでもありません。それよりもデータの継続性、銘柄間の比較可能性が失われる方が問題です。したがって当面は0.90Vを堅持したいと思っています。
電圧サンプリングレート:10sec
1700未満のバッテリーには10秒というのは短い感じですが、最近は3000を越えるものが主流となり、将来は5000くらいまであり得るので、そういう流れに対応するために設定しています。キリがいい、というのも重要な点ですが・・・。
室温:25℃±2℃
実はこの設定が最も頭を悩ませた部分です。当初は±5度、とかにしていたんですが、コレでは幅が広すぎてデータの互換性に問題がありました。しかし±1度ではちょっと厳しすぎて一般家庭のエアコン環境では現実的ではありません。夏は28度、冬は18度、というのが昔からの省エネ気温の基準ですものね。そこから「5度」なら無理してエアコンで調整できるとすれば、真冬でも23度、真夏でも27度、というのは十分可能でしょう。コレが±1度で冬24度、夏26度にしなければならない、となるとかなり厳しくなるのではないでしょうか。その割に結果はあまり変わらないので、無理して±1度に収める必要はないかな、と判断しています。
<その他留意点>
・大電流放電に伴なうセルコンディションのバラつきと放電末期のメモリー効果を抑えるため、計測後はタミヤ・オートディスチャージャー(0.4A/h、カットオフ約4.0V)ないし同等の放電器によるコンディショニング放電を推奨
・過度の加熱によるセル損傷を防止するため、Ni-MHセルに関してはすべて放電時のみ冷却ファンを使用。充電時はデルタピークが出なくなると困るのであえて積極的に冷やさない。充電終了後に40度まで下げるのにはファンを使っても構わない。放電末期に運転温度が60度を超えないよう留意する。Ni-Cdセルに関しては、基本的にNi-MHより運転可能温度が10度程度高くセル損傷の恐れはないため、計測の再現性を重視して冷却ファン不使用を原則とする。ただし2400RCについては放電末期のみ必要に応じてファンによる冷却を実施も可。
・バッテリーを設置する「机」の熱伝導率はバッテリー表面温度に影響するはず。しかし、容量3300mAh以上のセルでは、そもそも放電中の発熱量が圧倒的に多く、底面にも積極的に冷却風を送り込んでやらないと放電終了時の表面温度が80度以上になり、大変危険なばかりかバッテリーを一発で痛めてしまいます。そこで、3300HV以降の計測では、基本的に10円玉などを重ねた台の上にバッテリーパックを乗せ、床から浮かせた状態で風をあてています。冷却する表面積を最大限に稼いでバッテリーを保護しようという考えです。ただしあまり風を当て過ぎると、実走行よりも冷えすぎてしまう「オーバークール」が発生し、実使用時よりもバッテリー性能が低めに計測されてしまう恐れがあります。ファンの風量には十分配慮しなければなりません。
・Turbo35(GFXを除く)は非常に古い充電器なので、安全性の観点から3800mAhが充電リミット、という仕様になっています。
これを知らないと、4200とか4500とかいったイマドキのセルをいくら試験しても「3500しか放電しないぞ?」となってしまいます。
解決には、充電途中でいったんカットして充電をやり直すしかありません。面倒ですが、計測値の継続性の観点からは、むやみに
機材を変更しないほうが良いかと。
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