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. <RCT Tips>Ni-CdとNi-MHの内部反応の違いについてのメモ ふぇら〜り伊藤 12/02木22:30[136]選択


上の選択記事
. <RCT Tips>Ni-CdとNi-MHの内部反応の違いについてのメモ返信  
現在、電動RCカーの動力電源にはNi-Cd電池とNi-MH電池が使われていることは皆さんご承知のとおりです。

Ni-Cd電池の容量は既に理論限界に近い所まで来ているため、今後の発展はほとんど望めません。
また、電極材料として使われているカドミウムは、
「イタイイタイ病」の原因となったように、自然環境に不法投棄されて有機物と化合すると強い毒性を発現するため
廃棄物となる際には適切なリサイクル処分を要する、ということで
EUでは既に製造禁止、間もなく販売も禁止されることが決まっています。
(恐らくエッセンシャルユースは残りますが)

そこで、性能アップの余地が大きく、環境負荷もNi-Cdより有利とされるNi-MHに
主役の座が段階的に移ってきています。
ただ残念ながら現時点ではまだまだNi-MHセルには弱点が多く、
Ni-Cdのような取り扱いの簡便さは望めません。
このため、大容量・高電圧を求めるエキスパート向け中心に利用されているわけですが、
2003年〜04年にかけて電極材料の改良が進んできたことで、かなりの柔軟性とタフネスを備えつつあります。
あと2年もすれば、Ni-Cd並みのラフな扱いにも耐えるセルが登場してくる可能性は十分あります。
そうすると、ゆくゆくはRC電源用電池がすべてNi-MHセルに切り替わってくる、ということになってくるのでしょう。

(11/13/2006追記:2005年以降のNi-MHセルの充放電特性の改善は目覚しいですが、
残念ながら、保存性についてはますます悪化する方向にあるようです。
最新セルでは1ヶ月もしないうちにカラになってしまいます
詳しくは http://2.pro.tok2.com/~rctv/cgi/bbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=74&type=0&space=0&no=16


これからますます、入門者レベルでもNi-MHセルを扱う機会が増えてくるはずです。
そうすると必ず出てくる質問が「Ni-CdとNi-MHの違いについて」です。
ただ、このテーマには非常に幅広いサブテーマがあり、なかなか「決定版」を出せずにいます。
全部書くと大変なことになるので、ここではとりあえず、
サブテーマのひとつである「反応式の違い」から、
動作原理と構造上の特徴について比較したコメントを掲示しておきます。
今後の質疑応答の参考資料として大いにご活用ください。

どのような電池であれ、「反応式」は電池の特性を考えるうえで「基本知識」です。
反応式を知らずに「特性がー」などという話をしても、議論が噛み合わなくて当然です。
今すぐ100%理解できなくてもいいですから、繰り返し読み返してください。
そうすれば、その間に得た経験と突き合わせ、検証していくことで必ず理解できるようになりますから。
およそこのBBSに集う方々には、バッテリーのことを考える際、
常に「反応式」を思い出すクセをつけていただければ幸いです。

なお執筆に当たっては入念に下調べしているつもりですが、
万一間違いがありましたら直メールにてご指摘ください。
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(Ni-Cd電池)
正極にオキシ水酸化ニッケルNiO(OH)、負極にカドミウム(Cd)、
電解液に飽和濃度の水酸化カリウム(KOH)を主体とした水溶液を用いた電池です。
Ni-MH電池よりも内部の反応速度が速く、氷点下でも反応が可能で、
同容量のNi-MHと比較すると起電力も大きいため、
低温での大電流放電や急速充電の点で有利です。
また、自己放電が少なく、過放電にも強いため、長期保存に向いています。
 (※Ni-Cdであっても放電特性の改善を強化した2000以上の容量のサブCセルには保存性は期待できません。
  詳しくはhttp://2.pro.tok2.com/~rctv/cgi/bbs/cbbs.cgi?mode=all&namber=74&type=0&space=0&no=16

電解質がアルカリ水溶液のため、セルが万一崩壊(破裂)した際には消化剤として働きます。
この高い安全性があったからこそ、1960年代という非常に早い時期から量産化が進み、
70年代以降には家庭用にもサンヨー「カドニカ電池」として市販されていったわけです。
(ただし水酸化カリウム自体は強アルカリですので取り扱いには要注意です)

ただし、容量が理論値の上限に近づいており、
EUが製造販売の中止指令を出すなど環境への配慮もあって、非常灯やバックアップ電源など
いわゆるエッセンシャル・ユースを除く一般用途はNi-MH電池への代替が進む見通しです。

[放電時の反応(充電は逆)]
全体:2NiO(OH) + Cd + 2H2O → Ni(OH)2 + Cd(OH)2
正極:NiO(OH) + H+ + e- → Ni(OH)2
陰極:Cd + 2H2O → Cd(OH)2 + 2H+ + 2e-

反応式で表されるように、
放電時には正極(+)側ではNiO(OH)(オキシ水酸化ニッケル)が
Ni(OH)2(水酸化ニッケル)に、
負極(-)側ではCd(純カドミウム)がCd(OH)2(水酸化カドミウム)となり、
充電時には逆の反応となります。

また、電解液の水酸化カリウムが反応式に出てこない、つまり
反応とは無関係の中立的な存在である点が、2次電池としての大きな特徴です。

電極の+−を区切る「セパレータ」をメッシュ状にすることで、ガス透過性を確保する構造を持ち、
過充電の際に正極から水の電気分解反応による酸素が発生しても、
同時に負極から発生する水素と直ちに反応して水に戻るため、
過充電に強く、密閉化を実現しました。
こうした仕組みは、負極の電荷容量を正極より大きく取ることで、長期間の運用が担保されています。
ちなみに、こうした構造から明らかなとおり、電池容量は正極の電荷容量で決定されます。

なお、負極側の充電時におけるCd(OH)2+2H+→Cd+2H2Oという反応は金属の還元反応、すなわち吸熱反応です。
このため、充電中の電池は内部抵抗による発熱を概ね相殺することになり、
適正な充電レートを維持する限り、充電中の温度は安定的に推移します。
また、負極の反応は金属の化学的な変化で、体積の変化を伴うことから、
電解液の容量変化と電極体積の変化があるのが数少ない難点です。
このため電解液は内圧上昇を考慮して電池内部に若干の空間ができるように充填されます。
このサジ加減を誤って多めに充填してしまうと「液漏れしやすいセル」になってしまいます(Ni-MHも同じ)

なお、電極材料の組織(特に充電時の負極)が充放電に伴って相変化するため、
充電の速度によって電極表面の状性が変わります。
(充電速度が速いほど反応性の高いキメ細かい組織相が負極に生成)
(金属がイオン化するわけではなくあくまで相変化ですが、イメージは同じで良いようです)
これが充電電流レートの違いによるNi-Cd「特有のパンチ(=起電力)の差」を生みます。
(放電開始温度、容量が同じでも放電レートで起電力が変わり、走行フィーリングに響きます)

放電時は負極側が酸化反応(発熱反応)を起こすので発熱があります。
これは電池活性の面では有利ですが金属の電気抵抗を上げてしまう点では不利なので
トータルな電池性能としての影響度はケースバイケースです。

充電末期の副反応は次のとおり。
正極:4OH-→O2+2H2O+4e-負極:2Cd+O2+2H2O→2Cd(OH)

正極から発生した酸素ガスはメッシュ状のセパレータを透過して負極に移動し速やかに吸収され、
負極では充電反応が停止して水素ガスの発生が抑制されます。
過充電時には,電池の充電反応が実質的に停止するので、
電池に投入されるすべての電気エネルギーが
「水の電気分解・生成反応」を繰り返す形で熱エネルギーに変換されて電池が発熱します。

この発熱は、充電反応中の温度変化とは明らかに異なる急激なセル温度の変化をもたらします。
一般に金属は温度上昇により電気抵抗が大きく変化します。
ニッケルやカドミウムも金属元素ですから、温度上昇でセルの内部抵抗は著しく増大し、
端子電圧の低下として表面化します。

ただし、この温度上昇による電圧低下が生じるのは、あくまで「過充電が始まった後」です。
それぞれの現象は時間の遅れを伴なって順番に発生するのであって、同時に発生するのではない点がミソです。

過充電が始まる直前では、まだセル温度は上昇していません。
つまり、充電が完了して正極が電荷を蓄積できなくなった直後は、行き場を失った電気は
端子電圧を急上昇させながら水の電気分解を始めるわけです。
電気分解が始まって、加熱すると内部抵抗が増え、電圧が下がっていきます。
これがデルタピークの「山」を形成するわけです。
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(Ni-MH電池)

Ni-Cd電池の負極材料であるカドミウムは、
不法投棄などで自然環境に曝されると有害物質になってしまうのでマズい、というわけで
負極材料をカドミウムから水素吸蔵合金に置き換えたものです。
構造的にはそれだけの違いなんですが、
内部で起きている反応や電極の振る舞いはまったく別モノです。

[放電時の反応(充電は逆)]
全体:NiOOH+MH → Ni(OH)2+M
正極:NiOOH+H2O+e- → Ni(OH)2+OH-
負極:Mhab+OH- → M+H2O+e-

充電時の負極の反応 M+H2O+e- → Mhab+OH- というのは
アルカリ溶液中での水の電気分解の負極側の反応そのものです。
正極側の反応式はまったくNi-Cd電池と同じです。

充電末期の副反応は以下のとおり。
正極:4OH-→O2+2H2O+4e-
負極:2H2O+O2+4e-→4OH
(M:水素吸蔵合金,Hab:吸蔵された水素)

この電池の正極活物質は水酸化ニッケルであり、負極活物質は水素ですが、
この水素の大部分はガスではなく固体の金属水素化物の状況で負極の水素吸蔵合金に貯蔵されています。
水素吸蔵合金の水素貯蔵の概念図についてはこちらをどうぞ。
 http://yoshinari.mse.nitech.ac.jp/H_in_M/HSM_str1.html

電池全体の充放電反応をみると、
負極の水素吸蔵合金と正極の水酸化ニッケルとの間で
H2O(水)の電気分解・合成反応を繰り返しているだけであることが分かります。
ちなみにこの反応は燃料電池とまったく同じです。

こちらに電池内部の構造と具体的な動作実験が示されています。
 http://yoshinari.mse.nitech.ac.jp/H_in_M/Ni-Hbat1.html

以上のことから、
電解液の増減や濃度変化が原理的に起こらない、というNi-Cdと異なる独自の特徴が出てきます。
(セルの発熱による電解液の乾燥(ドライアウト)は起こります)

なお、見かけ上の反応から、「メモリー効果がない」と一部で説明されていますが、これは間違いです。
Ni-MHセルにもありがたくないことにしっかりメモリー効果があります。
ただ、その原因はNi-Cdが正・負極両方にあるのに対して、
Ni-MHでは「正極」の相変化にのみ求められますから、影響度は「半分」です。

また、充電時に形式上「還元反応」の側となる負極材料の水素吸蔵合金には「相変化がありません」。
単に格子内に水素を取り込むだけです。
このため「充電電流の大きさを変えても、原理的に影響を受けない」という決定的な特徴があります。

 (Ni-Cdは放電時の負極の状態が電荷の放出速度(化学反応速度)に影響するので、
  その前段階として、充電時の負極の相変化が問題になるのです)
 (正極は相変化はありますが充電時は酸化反応、放電時に還元反応ですからあくまで「受け身」の立場で、
  放電特性への積極的な影響はないと見て差し支えないと思われます)

繰り返しますが、
充電後のセル温度が同じである限り、充電電流の大きさは「パンチ」には原理的に影響しません。
水素の吸蔵・放出に関係するのは「熱」すなわち周囲温度ですから、充放電性能に影響するのは「電流値」ではなくて「セルの温度」です。ここを間違えてはいけません。

Ni-MH電池でも、大電流で充電するとパンチが出るわけですが、
その原因はNi-Cdとは異なる、ということです。
Ni-MHの場合は、あくまでも、大電流で充電したほうが
「単位時間あたりの発熱量が大きくなるため高い温度が得られる」
ということで性能が変化するわけです。電極材料の表面性状が変わるわけではありません。

電池性能を上げてやるには、セルの運転温度を上げて
水素吸蔵合金が水素を吐き出しやすくし、電解液の化学的活性を上げてやればいいのですが、
困ったことに、Ni-MHセルに用いられているセパレータ材料は
電極材料の耐久性を確保するため、耐熱性の低いポリオレフィン系が使われています。
Ni-Cdに一般にに使われている、耐熱性の高いポリアミド(ナイロン)系のセパレータは
水素吸蔵合金との相性が悪く、実用にならないほど自己放電が激しくなるので使えません。
このため、Ni-MHセルでは運転温度を100度以上に上げることには危険が伴います。
(Ni-Cdでは100度超でも平気ですが、構造上、高温ではNi-MHより内部抵抗が増大しやすいので高温運転の利益がありません)。


Ni-MHは「温度」が大事なわけですから、
たとえ大電流で充電をかけても、デルタピークを浅く取って過充電の量が少なければ、
セル温度が十分に上がらず、性能が十分得られない、ということも出てきます。
また、これらの設定はセル銘柄ごとの内部抵抗や反応速度の速い遅いにも依存します。
 (反応の遅いセルに大電流かけても受け付けてもらえませんから瞬間的な過充電の蓄積で加熱します)

したがって、充電電流とデルタピーク量の設定は、その値自体が鵜呑みにされ、一人歩きしてしまうと
とんでもないナンセンスなことになってしまいます。
あくまで「温度設定の代理変数」という認識で、ユーザーが充電終了時点や走行開始時点でのセル温度を
イメージしながら、各自のポリシーを持って取り扱う必要があるわけです。

逆に言うと、充電終了温度を予測できないままにむやみな充電をかけるのは性能を十分発揮できませんし
場合によっては過充電、破裂などの危険も伴います。
温度設定による充電カットを併用できない充電器では特に要注意です。

なお水素吸蔵合金と水素の反応は、吸蔵(充電)時に発熱反応、放出(放電)時に吸熱反応です。
(外部から熱エネルギーが加わると、ニッケルと希土類の原子格子間 に入り込んでいる水素が
 飛び出してくる、というのが水素吸蔵合金の基本動作です)
このためNi-MHの充電はNi-Cd電池とは逆に「発熱反応」となっています。
これはNi-Cd電池とMi-MH電池の振る舞いを根本的に性格付けている大きなポイントです。

注意したいのは、水素吸蔵合金が水素を吸収する反応は、
水酸化カドミウムが純カドミウムに還元されるNi-Cdでの反応とは
根本的に異なる点です。

水素吸蔵合金の吸蔵反応は、水(H2O)が分解されて発生した水素イオンが合金に「吸収」される反応です。
したがって、酸化還元反応ではない反応が電池の仕組みの一部として起きているわけです。
これは「金属の酸化還元反応」という電池の原理から外れた非常にユニークな仕組みと言えます。

最後に、Ni-MHの実用上の特徴をいくつか。
まず、一般に自己放電が大きく、長期保存には向かない、とされている点があります。
これは水素吸蔵合金の特性に起因します。

もともと水素吸蔵合金は、
外部からの「熱」の出し入れを動作エネルギー源として水素の出し入れをするのが「動作原理」です。
ただ、燃料電池ならこの仕組みでいいのですが、
常温で使用する家庭用電池には外部からの加熱・放熱の仕組みなんて使えませんからこれではダメだったわけです。

そこで、家庭用電池に使われている水素吸蔵合金はすべて
「常温で水素を吐き出してしまうタイプ」が使われています。
常温で吸蔵の動作ができるわけですが、その実態は
非常に微弱なエネルギーで吸蔵を行っているわけですから、
水素の保持についても非常に不安定だ、というわけです。
常温吸蔵型の水素吸蔵合金の宿命として、「常温で長時間の水素保持は困難」という側面があるわけですから、
自己放電率が高いのは当たり前だ、ということになります。

ただし、ここにNi-MH使いこなしのヒントがあります。
そうです!充電したときより低温で保管すればいいのです。
そうすれば吸蔵合金の水素保持力が高まります。
逆に、高温下での保管はNi-MH電池に「死んでくれ」と言ってるようなものです。
特に、低温で充電した後、高温にさらして保管するのは最悪です。
 (まぁそういうシチュエーションは考えにくいですが)

つまり、「Ni-MH電池は特に冷暗所保管が望ましい」ということです。

この他の実用上の注意点としては、
・現状では水素を吐き出す反応速度が「カドミウム→水酸化カドミウム」への変化ほど速くないため、
 どうしても大放電特性では不利です。
・耐久性の面でも、現状の水素吸蔵合金が60度程度の熱によって
自己崩壊してしまう(砂化現象)という難点を抱えているため、
Ni-Cdよりも低い運転温度を要求されています。

逆に言うと、燃料電池と同様の動作原理を持つNi-MHは高温で運転したほうが特性が改善するので、
今後、水素吸蔵合金の改良が進み、高温運転が可能になれば
とんでもないパワーを搾り出すセルが誕生する可能性があります。
このあたりの可能性を示唆しているのが、
最近日本国内でリリースされるようになったIntellect社製の新型3600セルです。
なんと80度以上の温度に耐えられる高温対応型の水素吸蔵合金を採用しているそうです。
放電中は、内部抵抗の低さもあって吸蔵合金の吸熱量の方が大きく、オーバークールが発生するほどです。
こうなると、ニッカドのようにデルタピークを深く取って、大電流でガンガン充電しても問題なくなります。
原理上のNi-MHセルは「熱いほうが性能が上がる」ものなのですから。

起電力の問題も、電極材料の改良による反応速度の改善や容量アップによって
かなりカバーされてきています。
既に起電力の面では容量が3300〜3600に達した時点でNi-Cd2400のレベルを凌駕しつつあります。
次世代の3900〜4000セルの特性はもはやNi-Cdでは実現できないレベルに到達するでしょう。

残る問題は低温特性の悪さです。
水の分解・合成反応で動いているので、水が凍ってしまうような温度では原理的に作動しません。
これも燃料電池と同じです。仕方ありません。
スペック上は0度まで作動温度範囲とされていますが、
実際には15度を切ると、充電の異常終了が頻発しますので
こういう条件ではあらかじめ放電するとか、ウォーマーやカイロで温めるなどして
セル温度の確保をする必要があります。

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〜 関連トピック 〜

<熱収支の問題>

デルタピークや電極・電解液の化学的活性、内部抵抗などとも深く関連する問題として、
バッテリーセルの「熱収支」の理解は非常に重要なポイントです。

上記のとおり、Ni-CdとNi-MHでは、充電・放電反応時の負極の反応が違うので、
発熱パターンが真逆になる、と説明していますが、これはあくまで「電極の反応」だけからみた話であって、
実際の現場で適用できる理論に発展させるためには、さらに
「内部抵抗による自己発熱」を加味しないといけません。
(電池缶や電極など構成部品はすべてごくわずか抵抗値を持っていますから、
 何十アンペアもの非常識な大電流をかけると立派な発熱体になってしまいます)

つまり、確かにNi-Cdは充電中の電極反応としては吸熱方向なんですが、
容量が小さく内部抵抗が大きいセルでは自己発熱が激しいため、
電極の反応から導かれる結論とは逆に「充電中に熱くなる」ことがあります。

1700SCRCの頃までのニッカドセルはまさにそうでした。
だから「冷やしながら充電」がもてはやされたわけです。
本来、電極材料の活性の点ではある程度温度が高いほうがいいのですが、
50度とか60度どいった限界点を超えてしまうと、電池材料の金属部分(端子金属など)の抵抗値上昇が
化学的活性による内部抵抗低減を上回ってしまい、全体として性能が悪化するのでダメなわけです。

しかしこれは、6セルストレートパックが50ミリオーム以上の内部抵抗を持っていた時代の対応です。
ザップ処理された2400RCセルでは、例えばタミヤの6セルストレートパックでは
おおよそ38〜40ミリオーム程度の内部抵抗しかありません。
ですから同じ電流を流しても発熱がその分少なくなっています。
一方で、容量アップで充電時に電極が吸収する熱量は増えてますから、結果的に
吸熱と発熱がほとんど収支均衡して、周囲温度25度で2C充電すると、
デルタピーク出して充電終了しても40〜43度程度にしかなりません。
充電中は一貫して25度〜30度とほとんど気温並みで推移します。
容量が理論値に近づき、充電時のの振る舞いも限りなく理論に近づいているわけです。
ですから、同じニッカドだといっても「容量」と「内部抵抗」で
取り扱いをハッキリと分けて考えなくてはなりません。

同じことはNi-MHセルにも言えます。
初期のNi-MHセルは、やはり内部抵抗が高くて、放電時の発熱が酷く、
放電中のセルの吸熱を感じさせることは微塵もありませんでした。
しかし、容量が3600を超えるようになってきて、今日では
内部抵抗による発熱よりも、電極の吸熱と大気中への放熱の量のほうが上回るようになってきています。

なおNi-MHセルの場合も、一定以上の温度を超えると、
電池としての化学的活性の改善(内部抵抗の低下)と電池材料の金属部分の抵抗値上昇のバランスが崩れ、
抵抗値が増大して性能低下につながることはNi-Cdと同じなのですが、
傾向としては、この「均衡ポイント」がNi-Cdよりも高めで、
結果として、Ni-Cdよりも高い温度で使用したほうが好結果を得られます。
燃料電池が200〜300度といった高温で運転されるのと同じ理由ですが、Ni-MHの場合は
100度を超えると、水素吸蔵合金の耐久性やセパレータ劣化の問題があるので、
中心温度が100度を超えるような使用は避けないといけません。
通常は表面温度30〜50度、中心温度50〜80度くらいで最も良好なパフォーマンスが得られるようです。
ただし、耐久性はその分犠牲になりますので、寿命を考慮しながら上手く温度管理しましょう。

4000を超えるような最新のNi-MHセルは、尖った性能を追求している関係で劣化も総じて早いです。
銘柄にもよりますが、5〜10回も充放電すると
内部抵抗が1割程度アップ、容量も5〜10%程度減少してしまい、
もはやレースには使えなくなるものが多いので要注意。


<電解液について>

電解液に使われている水酸化カリウム(基本的に飽和溶液状態)は強アルカリです。
皮膚を溶かしたり、目に入ると失明することがあります。
バッテリーから白い粉が吹いていたら、それが水酸化カリウムの結晶です。
ただ、結晶状態での反応性は極めて低いので、通常は恐れる必要はありません。
実際手についたからといって、何かヤバいことが直ちに起きることは決してありません。
ただ、手をよく洗って、取り扱いにはくれぐれも注意するに越したことはありません。

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<おわりに>

Ni-MHセルについての技術解説は
http://industrial.panasonic.com/www-data/pdf/ACG4000/ACG4000PJ1.pdf
にて詳しく述べられていますので併読するとといいでしょう。

セパレータ技術に関する次の資料も貴重です。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber/60/6/60_P_316/_article/-char/ja
(直リンクできないので画面上の「PDF(828K)」というリンクをクリックしてください)

水素吸蔵合金の水素貯蔵プロセスやNi-MH電池の反応は、
ここ数年、大学受験でも注目されているようで、何度か出題されているそうです。
下記のサイトに詳しいので、興味のある方は覗いてみるといいかも知れません。
RCカーが、いかに高度な科学知識の裏づけを要するか、再認識させられます。
http://www.google.co.jp/search?q=cache:Xj2edsvTZ7oJ:www8.plala.or.jp/grasia/juken/fuelcell.htm+%E6%B0%B4%E3%81%AE%E9%9B%BB%E6%B0%97%E5%88%86%E8%A7%A3%E3%80%80%E7%99%BA%E7%86%B1%E5%8F%8D%E5%BF%9C&hl=ja&ie=UTF-8

(以上)
ふぇら〜り伊藤 メール 2004/12/02木22:30 [136]



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2017/11/22水12:28