RCTシャシー研究室・TB-01分会
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補足します [2003/01/11 (Sat) 02:21:37]
[投稿者: ふぇら〜り伊藤]

我ながら、ややこしい問題に足を突っ込んでしまいました。

書いてから反芻(すう)したのですが、
私が書いている「リヤよりフロントのロール量が大きくてアンダーが出る」というのは
直感的には、F103LMなどダイレクトドライブ(DD)シャシーでよくやる
「リヤシャフトの車軸下げ」に似たもののように見えるわけですが、
あれは、クルマのアンダー消し(=オーバーステア傾向に味付けする)が目的で、
先の話とは180度食い違ってしまいます。どうしてでしょう?

ひとつには、DDシャシーの場合の「車軸下げ」というのは、純粋なロールセンターだけの問題
ではなくて、重心そのものが上がってしまうので、ロールモーメントを増やす方向に
作用し、それがステアリング特性に影響している、ということなのでしょう。

一方、四独サスのツーリングカーの場合、バネの硬さを変更しただけでは、
前後サスペンションのロールセンターが変わるわけではなく、
変わるのは、あくまでも、その瞬間のロール軸(シャシーの傾いている方向軸)です。

フロントサスのバネ(というよりタイヤで計測されるサスの反発力=ホイールレート)が
リヤよりも柔らかいクルマが、コーナリングを開始すると、
かりにこれが四駆マシンであって重量配分が50:50としても、バネの強さのバランス関係で
フロントが相対的に大きく沈み込み、クルマの姿勢としては斜め前傾になります。
すると、ロール軸はクルマの進行方向に対して外側を向くことになります。
フロントタイヤが向いている方向よりも、クルマ自身は外に向いて進もうとするわけですから、
アンダーステアになる道理です。

ダンパーのバネは、通常、ロールだけでなく、ピッチングの制御も担います、
1つのバネで2つ以上の動きを理想的に制御することは物理的に不可能です。
どちらかというと、ピッチングのほうがダンパーバネにとっては重要な仕事です。
(他で仕事を代替できないので)
そこで、通常のクルマでは、ダンパーバネは主にピッチングの制御に使い、
ロール制御は主にスタビライザーで行うのが常識です。

私はRCでもそのような方法論でクルマをセットアップしたい。ただそれだけです。
でも現実のEvo3はそうなっていない。形式上はなってるんですが、実が伴ってない。
スタビレスだとフロントのほうが圧倒的に柔らかいのに、
スタビ付けるといきなり前後がかなりバランスする、なんて不自然。
重量配分47:53くらいなんだから、前後のホイールレートも47:53=1.000:1.128くらいに
しないと、前後がキレイにキッチリ等量のロールをしないでしょ。
今の設定だと1.0:1.5くらいなわけで。これじゃピッチングもメタメタ、ロールもメタメタ。
前後サイズが極端に異なる(これまた非常識な)スタビで何とかロールだけ
つじつまを合わせてる。
これが現実です。でもそれじゃあ前後ピッチング剛性のアンバランスは解決できていないので
前後のスプリングバランスを見直す必要があり、するとさらにスタビをいじる必要が、という、
まさに堂々めぐりのドツボにハマる危険性があります。Evo3には。

幸いにも、スタビホルダーがかなりマトモできちっとスタビが機能してくれていることと、
もともとの低重心・マス集中、それに大幅な軽量化、ロングサス、といった要素があるので
従来のクルマからははるかにレベルアップしていますが、「テニスの王子様」風に言えば
「まだまだですね〜」という部分が残っていることも確かです。かなりイイ線きてるだけに
もうひとふん張りして、入門者が素組みでEXPとバトれちゃうような、
究極のシャシーを目指して欲しいものです。
「4」ではぜひサスアームのダンパー取り付け位置とスタビ形状を見直して
そのへんを改善して欲しいですね。